卑怯だけどケンカは強い金髪の三橋貴志を賀来賢人、三橋の相棒でツンツン頭の伊藤真司には伊藤健太郎が演じ、人気を博した2018年の連続ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)の劇場版が大ヒット公開中。
劇場版から登場するキャラクターで、開久(あけひさ)高校に通うマジメな高校生・森川悟(泉澤祐希)のいとこ・森川涼子(山本舞香)。ある誤解から三橋に戦いを挑むことになる涼子を演じる山本に、涼子の衣装やメイクについて、清野菜名演じる理子とのアクションシーンなどを聞きました。
私にできるのか?というプレッシャーがありました
――“今日俺”に参加すると聞いた時の感想から教えてください。
福田(雄一)監督の作品は面白いイメージだったので、私にできるのか?というプレッシャーがありました。ただ、台本を読むと私はそこまで面白パートがなかったので安心したのですが、読み進めていくと急に怖くなって、一旦読むのを止めてしまいました。
何て言うのか、かなり出来上がった世界観だったのでここに私が入れるのか?と思って不安で、自分で勝手に妄想して怖くなって(笑)。さすがに撮影に入る数週間前に、スイッチを切り替えましたが、なかなか勇気がいる現場でした。
――現場でもその気持ちは変わらなかったですか?
実際にメイクして衣装に着替えると自分も“今日俺”の世界観にスッと入ることができ、余計な不安や変な気持ちは全く生まれませんでした。ただ、いまだに完成したものを見たいとは思わないんですよ(笑)。自分がみんなに負けているような気がして…。こんな風に思う作品はこれまでになかったので、私にとっても初めての気持ちです。
――涼子はいとこの悟のためならどんなワルにだってケンカを売れるスケバンですが、どういう人物だと思って演じていましたか?
見た目はあんな感じですが、悟を思う気持ちが強くて優しい女の子です。ただ若干気持ちが強すぎて空回りをしているんですけどね(笑)。
私も兄弟がいて、その気持ちはちょっと分かります。あと思っていることをすぐに口に出しちゃうところは似ているのかも。でも涼子はそこが面白い。自分が守りたいものを一生懸命守るというアツい感じはすごく好きです。
とにかくスカートが長くて走りにくい
――木刀を持って三橋を追い掛け回すなど、かなりのスケバンっぷりでしたが、違和感なく演じられましたか?
それはなぜかスッと入れました(笑)。三橋に「待て!コラ!」と言うシーンは、最初はどうやって言ったらいいんだろう…と思っていたのですが(笑)、現場に立ったらすごく自然に出てきて。でもそこには衣装とメイクの力があると思います。
――コスプレではないけれど別人格になれる感じですか?
涼子の格好になると急にスイッチが変わりますから。山本舞香のままだとああはなれないです(笑)。ただ、あの衣装はつらかった…。とにかくスカートが長くて走りにくいんですよ。そしてスカートの下はタイツ履いているので、余計にスカートが足に絡んで、何度もこけそうになりました。というか、こけてNGを出してしまいました(笑)。
あの時代の人たちは本当に大変だったんじゃないかな? ちなみに制服の上に着ている特攻服は、赤と紫のどっちにしようか悩んだんですが、結果、紫にして正解でした。めちゃくちゃカッコよくなっていて。般若のワッペンも最高です! あと、京子を演じているプライベートでも仲のいい(橋本)環奈ともこの衣装で会いたかったですね。二人でロングスカートにあのメイク。絶対に楽しかったと思います。
――そんな動きにくいロングスカートを着て、理子(清野菜名)と戦うシーンもありましたね。
清野さんは本当にすごい! 私以外とのシーンもたくさんあったと思うのですが、ひとつひとつのアクションに集中してくださって。アクションができる方ってなんとなく流れが見えたら後は本番で!となりやすいのですが、清野さんにはずっと付き合っていただいて。
実際のアクションは、スカートはもちろんなのですが、私は剣道で清野さんは合気道なのでその戦いも難しかったです。何度か清野さんの手に竹刀を当ててしまって…。でも「大丈夫!」と笑顔で言ってくださって、本当に優しかったです。次は小道具なしでアクションしたいです。
私だったらずっと笑いっぱなし
――福田監督からの演技指導はいかがでしたか?
こういう芝居が欲しいというときはご自身で動いてくださるのですごく分かりやすくてありがたかったです。きっと自分の中に思い描いているものが明確だからこそできるんですよね。ただ俳優としてはそれを超えなきゃいけないので、その部分は大変。特に賀来さんたち面白パートを演じる方々はなかなかのハードルで…。本当に面白パートがなくてよかったと感じました。
――ドラマ「死にたい夜にかぎって」(2020年TBS系)でも共演された賀来さんの演技はいかがでしたか?
本番でのスイッチの入り方がすごかったです。もう三橋そのものでした。そしてそんなに面白いシーンでも笑ってはいけないというのは本当につらかったです。三橋と今井(仲野太賀)に挟まれて笑わないなんて無理ですよ。かなり笑いはこらえましたが、結構笑っていると思います。そして改めて、そんな二人と一緒にいるのに何ともない風な表情で演技をしている清野さんがすごいなと。私だったらずっと笑いっぱなしですよ(笑)。
――最後に見どころを教えてください。
とにかく笑える作品になっています! そしてアクションはカッコいい! ぜひ劇場で楽しんでもらえたらと思います。そして涼子が長いスカートにあたふたしているところも見ていただけたらうれしいです。(ザテレビジョン・取材・文=玉置晴子)