子どもたちだけが入ることができる仮想空間“電空”を復活させるため、秘密基地に集められたてれび戦士がさまざまな経験を積み、困難へと立ち向かう姿を描く「天才てれびくん hello,」(毎週月曜~水曜夜6:20-6:45、毎週木曜夜6:20-6:54、NHK Eテレ)。番組内で放送されるドラマに出演している、世界的なダンスパフォーマンスグループs**t kingzとして活躍するNOPPOにWEBザテレビジョンでは、インタビューを実施した。
NOPPOが演じるのは、てれび戦士にとっては敵となるバックドアーズ。突然子どもたちを監視するかのように現れ、子どもたちを追いかける謎に包まれた存在だ。せりふは一切なく、感情は身体表現のみ。その奇妙な動きと見た目にSNSなどでは「怖い!」「一体何者なの!?」という声が多く上がっている。
“怖い”や“不気味”な印象を持たれているバックドアーズだが、演じるNOPPOは穏やかで優しいという真逆の印象。撮影の合間にはてれび戦士たちと笑顔で談笑する姿や、一緒にダンスを踊る姿もあった。しかし、ひとたびカメラが回れば、まるで“スイッチ”が入ったように不気味なバックドアーズへと変身していた。
周囲の「怖い」という声にNOPPOはインタビューにて「その反応がとてもうれしかったです」と語っている。その理由や、バックドアーズのキャラクターや動きをどのように作り上げたか、さらにs**t kingzが振り付けを担当したエンディングテーマについても聞いた。
s**t kingz・NOPPOインタビュー
――「天才てれびくん hello,」への出演が決まったときの気持ちはいかがでしたか?
やはり“天てれ”は誰もが知っている番組なので、出演できるのはとても光栄なことだなと思っていました。
打ち合わせをする前は、初めての体験だったので、すごく楽しみでした。その時にお話いただいたのが、しゃべらないで、身体表現で演じるということを聞いて、ダンサーの僕にとって、とてもやりがいのある役だなと思いました。本当に感謝でしかないです。
NOPPO「『こいつかわいいな』と思われるような存在になりたい」
――放送が始まってから、周りの人たちから反響などはありましたか?
初めて僕が出てきたシーンが放送されたときに、地元の友達から「あれ?お前出てた?」って連絡が来ました(笑)。あとは、SNSの反響を見ると「こわっ!」っていうコメントが多かったのですが、その反応がとてもうれしかったです。
この番組は、子供たちが太陽のような存在で、てれび戦士も本当に素敵な子たちばかりなので、僕が演じるバックドアーズは、変な存在として、ちょっと引っ掛かりのある方がより良いのではないかと考えていました。なので、異質な存在で、怖いという声を聞いてうれしかったですね。それに怖いくらいの方が心に残るじゃないですか。何もないよりはその方がうれしいです(笑)。
――てれび戦士にとって悪役といいますか、“怪しい存在”を演じると聞いたときにはどのような印象を持たれましたか?普段のNOPPOさんはとても穏やかな方だという印象なのですが…
普段はどちらかというと、明るいイメージの作品や、明るい印象のグループとして活動させていただいているのですが(笑)、やりづらいということはありませんでした。
バックドアーズは、言葉は話さない身体表現で演じることができたので、とてもキャラクターに入りやすかったです。
もともと話すことが苦手で、口下手なので、せりふがあると不慣れな部分もあるので、身体表現だけで演じると聞いたときは「よしっ!」って、とてもほっとしました(笑)。
僕たちのグループのダンスも、動きで感情を伝えることが多いので、抵抗は全くありませんでした。
――バックドアーズのキャラクターや、特徴的な動きはどのようなイメージで作られたのでしょうか。
バックドアーズは、子供たちを監視する“監視カメラ”のような役割なので、顔の周りで手を動かすことでカメラをイメージできるような動きを考えました。
真っ赤な手袋をしているので、手が目立つ動きがいいな…と思ったのと、バックドアーズはデジタルな世界観のキャラクターなので、モザイクをイメージした動きを取り入れました。
歩き方は、チャールズ・チャップリンが映画などでしている「足を延ばした歩き方」が不思議に見えるな…という印象があったので、それをイメージしました。チャップリンは後ろに蹴り上げるのですが、バックドアーズは前に蹴り上げています。
あと、僕の中でバックドアーズは “悪役”というよりは「仮面ライダー」のショッカーとチャップリンと、コメディ作品の「Mr.ビーン」の主人公を足して3で割ったみたいなキャラクターをイメージしています。子どもがメインの番組なので、そんなに主張の激しいキャラクターにならないように気を付けていて、シュールな存在でいられたらいいなと思って演じています。怖いけれど、なんか憎めない、一周回って、「こいつかわいいな」と思われるような存在になりたいなと思っています(笑)。
また、昔からチャップリンが出演する映画や「Mr.ビーン」のコミカルな動きが大好きで、ショートムービーや映画などをよく見ていたので、その影響は今回の役作りだけでなく、普段のダンスの振り付けにも影響しているなと思います。
NOPPO「みんなとてもピュアだなという印象です」
――衣装も特徴的ですが、着られてみていかがでしょうか?
初めて見たときは、僕のイメージ通りで驚きました。衣装の下に来ている、肩幅を大きくするための特別なアーマーみたいなものがあるのですが、それをつけると、“男心”といいますか、少年の頃のワクワクする気持ちがよみがえってきますね(笑)。変身ベルトみたいな(笑)。
先ほどの話にもショッカーが出てきましたが、戦隊ヒーローとかが大好きなので、バックドアーズの衣装を身につけると、変身したような気持ちになります。
――バックドアーズの演技や動きなどを、ダンスの振り付けのように、事前に準備されることはありますか?
バックドアーズの動きは、現場でディレクターの方と動き方やキャラクターの位置とかを確認して、相談しながら見つけていきます。
普段のダンスのように鏡で見て準備をしたことはあまりなく、今のところは自由に、事前に決めた歩き方や手の動きなどの中から、ストーリーにあわせてその場で動きを考えるという感じです。
その場面や場所に合わせて、色んな現れ方をして追いかけて、見失って…というさまざまなパターンを現場で考えています。
――バックドアーズを演じる上で気を付けているところや、普段のダンスとの違いなどはあるのでしょうか。
なるべく瞬きをしないように、人間っぽくはならないようにしようと意識しています。表情もあまり作らず、少しデジタルな世界のものをイメージしてもらえるようにしています。
普段のダンスは、大勢のお客さんに対して“見せようという”気持ちで表現しているのですが、演技は相手との対面でのやり取りなので、バックドアーズを演じているときは、常にてれび戦士を追いかけて、“捕まえるぞ!”という気持ちで挑んでいますね。
――てれび戦士の皆さんと撮影の合間にお話しされている姿がとても印象的でした。共演されてみての印象はいかがでしょうか?
とても仲良くしてもらっています(笑)。演じているときは、みんな「こわっ!」って素直に反応してくれるので、「そんなに怖いんだ…」って改めて感じます(笑)。あとは、待ち時間などに、バックドアーズの手の動きを真似してくれたり、とても反応が良くてうれしいです。
マネジャーとも話していたのですが、少しませているところもあるのですが、僕に対してもたくさん話しかけてくれるので、みんなとてもピュアだなという印象です。
ダンスのレッスンの時にも「わかんないー!」って恥ずかしがらずに、素直に表現してくれて、打ち解けるのは早かったように思います。
NOPPO「キャラクターになりきってそれでダンスや表現をするのはおもしろそう」
――s**t kingzの皆さんは、番組のエンディングテーマの振り付けを担当されましたが、反響などはありましたか?
生命の誕生から未来へむかっていくというテーマで、ダンスの中にも食べるや、眠るといった日常の動きをイメージした振り付けを取り入れました。
今回は、難易度をあまり遠慮しないで作ってくださいというオーダーもあったので、難しいダンスに仕上がったのですが、たくさんの視聴者の方が動画を投稿してくださったり、子どもがいる友達から踊っている動画を送ってくれたりと、楽しんでもらえているようでよかったです。
てれび戦士も覚えるのがすごく大変だったと思うのですが、がんばって踊ってくれて、とてもうれしいです。
――子どもたちにダンスを教えるときにどのような工夫をされていますか?
人それぞれ苦手なことや、体格、分からない部分は違うと思うので個別に見てあげようということは注意しています。
でも、僕が見えていないところで、てれび戦士同士で教え合っていることや、年上の子たちがまとめてくれたりして、それが一番理想的な形だなと思いました。
先生に言われて緊張感のある雰囲気にすることも必要だとは思うのですが、子供たちのなかで注意したり、教え合っている姿はとてもいいなと感動しました。
――バックドアーズを演じて今後のパフォーマンスに生かしていきたいことなどはありますか?
これまでは、キャラクターを演じながら踊るということをやったことがなかったので、「NOPPOさんが躍ってる!」じゃない、違う見せ方も今後のパフォーマンスでできたらおもしろいなと思いました。
僕ではない、新たなキャラクターを作って演じるといいますか、キャラクターになりきってそれでダンスや表現をするのはおもしろそうですし、今後挑戦してみたいです!
――最後に、今後の番組の見どころを教えてください。
後半に差し掛かって、バラバラだったてれび戦士たちがどんどん集まってきて、意外な人がこうだったの!という展開や、謎がどんどん解けていくということを聞いたので、僕もとても楽しみにしています。
あとは、僕がいつ出てくるのかというのも楽しみにしてもらえれば(笑)。「この空気でるんじゃない?」と楽しんで見ていただきたいですね。