乃木坂46の中村麗乃がヒロイン・綾里真宵役で出演する舞台「逆転裁判 -逆転のGOLD MEDAL-」のゲネプロと囲み取材が1月16日、東京・北千住のシアター1010にて行われた。
会見に立った中村は、「今すごい緊張してて、『うう…』ってなってます。初めてのことがたくさんあって不安もいっぱいあるんですが、それ以上に楽しい舞台にしていきたいです」と意気込みを語り、主人公・成歩堂龍一を演じる加藤将は「初座長で先輩に頼りっぱなしだったんですが、本番ではみんなを引っ張っていきます!」と力強く宣言した。
本作はカプコンの人気ゲームを舞台化した作品。中村が「原作のだけでなく、舞台オリジナルキャラの出演にも注目してほしい」とその注目ポイントを挙げたように、物語は「司法オリンピック」を舞台にオリジナルストーリーが繰り広げられる。
中村にとってはグループを離れた初の外部舞台。「初めてお会いする方たちなので、(最初は)それはそれは緊張したんですけど、皆さん良い方たちばかりで、毎日を楽しく過ごせました」と、昨年からの稽古を笑顔で振り返った。
オリジルストーリーの舞台だが、ゲームディレクターの巧舟が監修として参加。効果音やオーバーアクション、ギャグのバランス、御剣怜侍にゾッコンのオバちゃん(大場カオル)など、原作のツボは舞台でもしっかり生きている。
優勝賞品副賞の世界遊園地ツアーのチケットを欲しがる真宵のせいで、司法オリンピックに出場するハメになった成歩堂。どんな裁判対決が始まるのかと思いきや、1回戦の種目はラップ対決。成歩堂と御剣怜侍(小波津亜廉)のラップが披露されるという奇想天外な「逆転裁判」らしさはもちろん、演じるキャストのファンにとっても面白い展開になっていく。
ダンスシーンあり、狩魔冥(花奈澪)の鞭シバキあり、ゴドー(友常勇気)のキザでアホな台詞あり。そして、逆転に次ぐ逆転で解明されていく、ある事件の謎。キャラの濃さは随一、仕掛けも満載の舞台では、通路降臨も幾度とある。運が良ければお目当ての役者を間近で見られるかも。
麗乃ちゃんらしい真宵と、表現力で作った花奈の狩魔
前回のインタビューで「物真似にならないように」と語ってくれた通り、“麗乃ちゃんだけど、真宵らしい芝居“は、ひと言で言えばとってもキュート。子供っぽさ、おっとり感のある「真宵ちゃんってこうだよね」という芝居をしっかり作り、チャチャの入れ方も可愛いところ。もちろん演技レベル云々を言えば拙いところはあるものの、真宵=中村の芝居は舞台全体を楽しませる大きなエッセンスになっている。
成歩堂、御剣、ゴドーといった原作キャラ、舞台オリジナルキャラも「逆転裁判」らしい味がたっぷりだが、個人的に注目だったのが、花奈澪が演じた狩魔冥だ。
原作ユーザーなら周知の通り、狩魔は振る舞いは傍若無人で表面上は優しさのカケラもないが、実はプンスカしまくりのツンデレ女子。花奈の狩魔はそれが表情の芝居でよく表され、可愛い強気女子が好きな人にはたまらないキャラだろう。脇に立ちつつも、シーンによっての表情が見たくてつい追ってしまうところだった。
宝塚歌劇団出身で、卒業後の舞台出演数も増すばかり。役への表現力は非常に高く、芝居による人の変化は彼女の出演作に出会うたびに見せつけられるところだ。
舞台「逆転裁判」の上演は、1月21日(月)まで全9公演。ここでは触れなかった演出の組み方も見どころとなる、原作ファンならずとも楽しめる作品となっている。(ザテレビジョン・取材・文:鈴木康道)