女性に告白して断られるのを恐れ、告白する前に「自白剤」を飲ませて気持ちを聞き出そうとした男にこのほど高雄地方裁判所は懲役4か月の判決を下した。『ETtoday新聞雲』『TVBS新聞網』などが伝えた。
事件があったのは2016年5月。台湾・高雄市内の大学に通っていた男は、被害者の女性とサークルで知り合った。男は英語の検定試験に向けてマンツーマンレッスンをしてほしいと女性に頼み、3月と4月にそれぞれ1回ずつ大学のキャンパス内でレッスンを受けた。
日に日に女性への想いを募らせていった男は女性に交際を申し込もうとしたが、断られるのではないかという不安もあった。そこでインターネットで「自白剤」として販売されていた薬を3,600元(約12,000円)で購入し、5月のレッスンの際にストロベリークリームフラッペに混ぜて女性に飲ませた。男は女性がドリンクを飲んだ後に「僕のことが好き?」と尋ねたが、女性は意識がもうろうとしており答えなかったという。
女性の帰りが遅いことを心配した両親が大学へ探しに行き、大学付近のレストランで発見した。女性はテイクアウトのフライドチキンを持っていたが、どこで買ったのか覚えておらず、不審に思った両親が翌日に娘を病院へ連れて行った。
病院での検査の結果、女性の体内から鎮静や睡眠導入の作用がある「ベンゾジアゼピン」が検出された。男は事件当日、女性に「ストロベリークリームフラッペをごちそうする」とメッセージを送っており、夜には「ゆっくり休んで。もし明日も気分が悪かったら病院へ行くんだよ」というメッセージも送っていた。
このことで女性は精神的に深いダメージを受け、約1年間引きこもり状態になってしまったそうだ。当初目指していた教員試験を受けることができなかったことから、見かねた両親が男を訴えた。
大学側の調査や検察の取り調べに応じた男は、ドリンクに自白剤を混入したことを認め、女性に好意を持っていたことを明かした。男は「告白する勇気がなかった。彼女に好かれていることが分かれば勇気を出して告白できると思った。傷つけるつもりはなかった」と話している。
検察側は、被害者の女性が現在も他人に対しての強い警戒心や不信感が拭えず、社会生活に大きな支障が出ているほか、男が事件について正式に謝罪していないことなどから、第一審で下された傷害罪、懲役4か月は量刑が軽すぎるとして控訴。このたび高雄地方裁判所で第二審の合議審が行われた。
しかし裁判官は、男の態度に反省が見られ前科もないこと、犯行の動機や目的、手段を考えると量刑を重くする必要はないとして控訴を棄却、原判決を支持した。また民事裁判では、被害者側は30万元(約100万円)の損害賠償を求めていたが、男の経済状況が考慮され20万元(約67万円)の賠償支払いの判決が出た。
なお台湾法務部の薬物乱用防止サイトによれば、男が購入した自白剤に含まれていた「ベンゾジアゼピン」は依存性があり、副作用には吐き気や記憶障害などが挙げられている。また過度に使用した場合、筋弛緩や深い眠りを引き起こすため犯罪に使用されることもあるということだ。
画像は『TVBS新聞網 2019年8月5日付「男大生暗戀家教竟下藥 女崩潰自閉1年不敢出門」(示意圖/TVBS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)