早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(通称プロジェリア)を患う米オハイオ州在住の女性が、『Metro』『The Sun』などのインタビューに応じた。女性は現在43歳で、プロジェリアの患者では世界最高齢だという。
米オハイオ州コロンバス在住のティファニー・ヴェーデキントさん(Tiffany Wedekind、43)は、先天的な遺伝子異常を原因とする「プロジェリア」を患っている。
自分が「他の人と違う」と感じたのは20代前半で、身長が伸びずに髪の毛や歯が抜け始めたという。ただ当初は自分が病気であることを知らず、プロジェリアの特徴である低身長や細くて小さな顎、こわばった肌や皺などをからかわれることもあったようだ。
ティファニーさんがプロジェリアだと分かったのは20代後半の頃で、兄チャドさん(Chad)が「子供を持つ前に」と行った遺伝子検査がきっかけだった。チャドさんに異常が見つかったことで一家全員が遺伝子検査を受け、実は母親が異常遺伝子のキャリアであること、2人の子供たちに遺伝して発症していたことが明らかになった。
アメリカの非営利団体「プロジェリア研究財団(Progeria Research Foundation)」によると、典型的なプロジェリアの患者は2歳くらいまでに発症し、約8~10倍の速さで老化が進行するという。平均寿命は14歳で、動脈硬化による心疾患や脳血管障害で死亡することが多いそうだ。
現在のティファニーさんは、身長が約134.6センチ、体重は約26.3kg(58ポンド)で、髪は薄く入れ歯をしている。ただ幸いなことに心臓の血管障害や骨の変形などの症状はそれほど酷くなく、最近になって老化を遅らせると言われる「ロナファルニブ(lonafarnib)」という薬を飲み始めたそうだ。
また私生活では2017年6月に8年の結婚生活に終止符を打っており、クリーニング事業を展開し、自分でキャンドルを作って販売するなど実業家としても活躍している。
そんなティファニーさんはプロジェリアの患者では世界最高齢だそうで、長生きの秘訣についてこう語っている。
「薬が効くかどうかはわからないけど、常にアクティブに活動しているの。離婚後はひとり暮らしで、ヨガやダンス、サイクリングと人生を楽しんでいるわ。そして友達とワイワイやって、毎日をハッピーに生きてるの。前向きなのが一番よ。」
ちなみにプロジェリア患者で世界で2番目に長生きしたのは、2012年に39歳で亡くなった兄のチャドさんで、世界3位は29歳でなくなった米コネティカット州出身のマーガレット・ケイシーさんだという。
ティファニーさんのケースを研究する臨床遺伝学者キム・マクブライドさん(Kim McBride)は「兄妹がプロジェリアと診断されるのが遅かったのは、典型的な患者と違って2人がとてもユニークなケースだったから。ティファニーさんがこれだけ長生きしていることにも注目している。私の仕事は彼女の老化をできるだけ遅らすことだよ」と述べている。
一方でティファニーさん自身は「自分がこうして生きていられることをラッキーだと思ってる。でも『どんな病気を持っていようと、人生は楽しむことができる』ってことを多くの人に知ってもらえたら嬉しいわ」と生き生きとした表情で語った。
画像は『The Sun 2020年10月22日付「SKIN DEEP I age 8 times faster than other people, I only realised something was wrong when my hair and teeth fell out in my 20s」』『Metro 2020年10月21日付「Woman, 43, who ages eight times faster than normal is oldest ever with rare condition」(Picture: Tiffany Wedekind/metro.co.uk)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)