いつでも誰に対しても、確かな効果が期待できるトレーニングギアを探すため、パーソナルトレーナーが試してレビュー。今回パーソナルトレーナー・寺田大一さんが試したのは、ケガ予防の観点から生まれたギア《Angles90》。特に初心者がやりがちな「代償動作」(鍛えたい筋肉以外を動かしてしまうこと)の改善に効果的だという。
試した人
今回試したギア:《Angles90》
ケガ予防の発想から生まれたギア。
トレーニーの間で神器と囁かれているのが、この「Angles90(アングルス90)」。イタリア・アルプス生まれのトレーニングギアで、開発したのはプロの体操選手。理学療法士やトレーナーからの知見も活かして、ケガ、故障を回避するトレーニング器具として考案されたわけだが、これがホントに目からウロコ、背中から力こぶ。
グリップの持ち手が360度回転することにより、アンダー、オーバーハンドと握り方に関係なく引っ張り動作の可動域が広がり広背筋に効かせることができる。
たとえばバーベルを使う時、肩と手首は実は生体力学上不自然な位置になっていて、人間本来の動きとしては不自然ではある。そこで握りの部分が回転することで、肩関節が内転して肩甲骨も内側に寄せられ、回旋腱板といったインナーマッスルに刺激が入るという原理。
屋外で懸垂するのにも重宝。
寺田さん実はプレイベートで愛用していて、ランニングの際には必ずウェストバッグに入れているとか。「公園のぶら下がり健康器だったり鉄棒って太すぎたり、持ち手の幅がミョーに短すぎたりして懸垂がしにくいんですよ。そこで、これひとつ巻きつけて使うだけで自分の可動域に合わせて、場所の制約を受けずに正しく懸垂ができるのは素晴らしい!」
このコロナ禍であれば、直接手に触れるのも気にはなるところ。
「懸垂だけではなくぶら下がった状態でのニートゥチェスト、公園によくある謎の(?)平行棒的なものにぶら下げてのディップがおすすめです」(寺田さん)
ジムのマシンやバーベルでも活用可。
公園の遊具でストリート・ワークアウトの質を上げることができるのは最高だが、ジムでのマシンやバーベルにひと添えすることでチンニング、ロウ、プルといった種目にも抜群の効果が期待できる。
そもそも人それぞれ骨格、筋肉が違うのでマシンの一定の角度で無理にトレーニングを行っては怪我のリスクが高まってしまうけども、これなら自身のコンディションに合わせグリップの角度を変え、握りの調整ができることで関節へのダメージを軽減できる。
代償動作の是正に効果的。
「代償動作といって、ある動作に対して本来使いたい筋肉が使えていないということは一人でのトレーニングではよく起こります。これはプロのトレーナーに見てもらわないと、なかなか改善できないんですが、こんなに原始的なもので正しいフォームに導いてくれるギアは画期的ですよ」(寺田さん)と感心しきり。
デッドリフトであれば背筋を伸ばした状態を維持して体幹を安定させなければ脊椎を痛めてしまうし、バーベルを持ち上げる時にも僧帽筋ばかりを使ってしまいがちで使いたい広背筋をうまく使えていないことも多い。
持ち手が回転することで広背筋が自然と伸び、三頭筋も締まってくる。筋肉がより強い収縮と弛緩を感じることができるという。道具で補完し、カラダ本来の動きを達成するAngles90はまさに代償動作のベストアンサーともいえる。
開発者は体操選手というから、つり輪がヒントになっているのかもしれない。そういえば寺田さんも元・器械体操選手だ。器械体操こそありえない動きしてるように見えるが、その実は理にかなっているのか。深い!
今回のギアを使ってみて…
- 携帯にも便利で屋外で使える
- 自分の可動域に合わせて無理なく懸垂ができる
- コロナ禍でも安心の非接触型
取材・文/本田賢一朗 撮影/逢坂聡