「ひとりっPの突撃ワンダートーク in The World」=「突ワン」第9回目は、自らも「乙女おっさん」と名乗るほど、可愛いものやスイーツが大好きなモデルのリヒトが登場。ひとりっPがメンズノンノの編集部員だった10年以上前からの顔見知りという事もあって、お久しぶり感ゼロのリラックスムードで旅トークはスタート。
緑に囲まれたレストラン「code kurkku(コードクルック)」で、大好物のスイーツをいただきながら、現在住まいのあるアメリカ・ポートランドのリアル事情や旅のスタイル、まさに一期一会の旅の思い出を話してくれた。ここでは対談の一部を抜粋。
今までで行った旅の中でいちばん思い出深いところはどこ?
P:記憶に残っている思い出の海外ナンバー1はどこでしょう?
R:家族旅行や学校の友達との旅行ではなくて、自分から行きたくて行った初めてのパリかな。
P:まさか撮影?
R:プライベートです。ヨーロッパ行きたくて。だけれど、「行くんだったら、向こうのモデル事務所に顔を見せてこい!」って、マネージャーに言われて、その通りにしたら翌日から仕事になっちゃった(笑)。
P:えー、いきなり!
R:パリの事務所のスタッフは僕が英語もできないってわかっているから、時間と場所だけ書いてある紙を渡されて、そこに行くという日々。行くと、撮影だったり、オーディションだったり。
P:ミステリーツアー的な感じだね。
R:英語は話せないし、契約書に何が書いてあるかわからないから。でも現場には有名なモデルさんがいっぱいいたから、怪しくない大丈夫って感覚で、のりきりましたよ。10日間の予定だったんだけれど、仕事でパリ延泊になって、トータル20日間くらいいたのかな。挙句、もともとはパリの後に行く予定だったロンドンには行けなくなっちゃった。
P:パリでいっぱい仕事したんだね。
R:そのとき全然知らないおじちゃんがいて……、後から、カール・ラガーフェルドって知るわけ。
P:えーーーーっ!!カール様の事務所に行ったってこと!?
R:アトリエみたいなところに行ったの。屋上で何枚か写真を撮って、その後『インタビュー誌』の撮影があるから、「後日また!」って、初回は別れた。そうしたら、東京に戻ってから、「カール・ラガーフェルドのショーがあるから出て欲しい」って、事務所に連絡が入った。何よりシャネル本社からFAXが来たって、マネージャーがびっくり(笑)。そのショーの来日の際に、その日に撮った僕の写真をプリントしてきてくれて、そこにサインもしてくれたの。すごいでしょ。
P:カール様、すごい!いい人だね!
R:めっちゃ、いい人だよ。色々細々言うんだけど、すごく気配りしてくれるし、ものすごくジェントルな人。それに面白い。
パりである日、髪はボサボサの上下ジャージ姿で、事務所から言われた雑誌の撮影場所に行ったんですよ。住所はどうみてもあってるんだけど、門番してる人がいて、「ここ違う」って入れてくれないの。そこに、大きなBMWがキィーって、目の前で止まって、後ろからカールが降りてきて。そうしたら、さっきの門番が青ざめた顔で「どうぞ、どうぞお入りください」みたいになったことがあったんだ。
お城みたいなところでの、『インタビュー』誌の撮影。あの瞬間あそこでカールに会わなかったら中に入れず、撮影できなかったかも。事務所に戻って、怒られてた(笑)。
P:そのエピソード、すごいね。
R:その時は2回目だから、「カールだ!」とはわかったんだけれど、そのすごさはわかってなかった。
P:大事な出会いだったね。
Photography:Wakaba Noda