俳優の吉沢亮がゲストとともにトークを繰り広げる対談連載がリニューアル。「名作照明の下で語り明かそう」をテーマにリラックスしたムードでお届けします。記念すべき第1回のゲストは、現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」で共演する高良健吾さん。拡大版です!
(吉沢さん)ジャケット¥39,000・シャツ¥27,000/alpha PR(UNUSED) その他/スタイリスト私物
(高良さん)ジャケット¥290,000・シャツ¥145,000・パンツ¥87,000/クリスチャン ディオール(ディオール)
出演者みんなが全力で“ぶりっ子”しています
吉沢 高良くんと初めてちゃんと会ったのは、「青天を衝け」の剣術のリハーサルのときですよね。
高良 そうだね。吉沢くんは最初全然目を合わせてくれなくて。
吉沢 すみません、人見知りで(笑)。高良くんのことは、会う前はクールというか、それこそ温度感が自分と近い人なのかなと勝手に思っていたんです。だけど、いざ会ってみると意外と熱くて。もちろん芝居に対する熱量もそうだし、人として意外と熱い人なんだと初対面のときに思って、ちょっとびっくりしました。
高良 そうだったんだ。吉沢くんとはこれから本当に長いこと一緒に撮影をしていくわけなので、最初からけっこう話しかけまくった記憶はある。
吉沢 高良くんが演じる喜作は、栄一の従兄で、生涯の相棒となる間柄だから、お互い一緒にいる時間はたぶん誰よりも長いはずですよね。
高良 もうバディだよね。
吉沢 喜作のほうが2歳上なんですけど、どっちが上で、どっちが下というのもなくて、場面によってはそこが逆転したりして、すごく面白いバディだなと思います。
高良 吉沢くんは基本的には現場で淡々としている感じだけど、自分の中ではちょっと意外だったのが、けっこうふざけたがるんだなって。
吉沢 役としてってことですよね?
高良 そう。栄一として本当に振り切ってふざけてるから、それが面白いし、こっちも一緒になってふざけやすいんだよね。特に今はそういうのが必要なシーンが多いので、すごく楽しい。
吉沢 高良くんも本当にやりやすいです。安心感があるというか、役として一瞬の隙もなく向き合ってくれている感じがすごく心地いい。僕が台詞を言っているときに話を聞いてくれている顔とか、テンションとか、本当に芝居がやりやすいなと思いながら演じています。
高良 ありがとうございます(笑)。
吉沢 現場の雰囲気はすごくいいですよね。みんな自然体でげらげら笑っているんだけど、やるときはパシッと切り替えてやる感じで、それぞれがそれぞれのやるべきことをやっている。誰ひとり無理をしてない感じがすごく居心地がいいというか。
高良 特に前半は故郷の血洗島村が舞台で、コミカルな要素が多めだから、やっていて面白いよね。
吉沢 とても明るいです。橋本愛ちゃん演じるお千代が出てくるシーンなんて、ふたりしてニヤニヤしているだけですから(笑)。
高良 ほんとそうだね(笑)。
吉沢 前半はそういうヘンな若さみたいな、可愛らしさも見どころかなと思います。
高良 だって、俺が16歳を演じていて、吉沢くんが14歳で、愛ちゃんはたぶん13歳とかでしょ。20代後半、30代前半の人間がその年齢を演じてるからね。ぶりっ子してますよ。
吉沢 もうみんな全力でぶりっ子してます。そこも見どころです(笑)。ちなみに、自分より若い年齢を演じるのと、年上を演じるのはどっちが難しいですか? 僕は年上を演じるほうが難しいのかなって気がしていて。子どもって何となく定義みたいなのがあるじゃないですか。しかも、自分もその時代を経験しているから、わかる部分は多い。でも、30代、40代の世界は体験したことがないし、そこを演じるのは想像でしかない。今後、栄一が大人になっていったときに演じるのが難しそうだなという気はしているんです。
高良 たしかに難しいよね。若いときは自分も通ってきた道なのでさかのぼってイメージをしやすいけど、それこそ40代とか50代はまだ自分が経験をしていない世界だから。でも、前に86歳まで演じたことがあって。
吉沢 86ですか。すげえ(笑)。
高良 やっぱりそこまでいくと大変だった。下手するとコントっぽくなっちゃう。「青天を衝け」はまだ台本が最後までできていないので、どこまで演じるかわからないけど、ふたりとも実際に長生きしたし、けっこうな年齢まで演じるんだろうね。
吉沢 栄一は91歳まで生きたそうです。
高良 難しいと思う場面もあるだろうけど、ひとりの人間の人生をこれだけ時間をかけて丁寧に演じる機会はなかなかないので、楽しみだよね。
高良くんが喜びそうなものを何も持っていない!?
吉沢 高良くんは今30代ですけど、20代のときと比べて何か変わりました?
高良 めちゃくちゃ変わった。それこそ20代は何でも許されると思っていたし、とことん生きたいみたいな感じだったけど、30歳になった瞬間ぐらいにパタッと変わった。自分の中で大切なものがわかったというか。大事なのはこれとこれとこれぐらいだから、それをもっと大切にしていこうってなった。あとは、確実に20代のときより社交的になったかな。
吉沢 社交的になりました?
高良 なった、なった。変わりたいと思っていたし、実際に変わったと思う。30代はいいよ(笑)。楽しい。
吉沢 僕も30代になるのは楽しみなんです。どう変わるのかわからないけど、たぶん気がラクになるんだろうなって。人生の捉え方とか、それこそ仕事に対する向き合い方とか、いろいろなことがもうちょいラクに俯瞰的に見られるようになるのかなと。
高良 きっとそうなるんじゃないのかな。俺もそうだったし。
吉沢 こういう話って現場でもけっこうしてますよね。
高良 そうだね。会うとまずはお互いの近況報告から始まって。「俺、最近これをしているよ」「自分は今これをしています」みたいな感じで。
吉沢 このあいだは服をいただいて。
高良 たまたま整理していたら、「これ、吉沢くんに似合うな」というのがいくつか出てきて。
吉沢 すごくよく着ています。僕も何か高良くんにあげたいなって思っているんですけど、僕が持っているもので高良くんが喜びそうなものがないんです(笑)。
今月の名作照明
1958年にデンマーク人デザイナー、ポール・ヘニングセンによってデザインされ、ルイスポールセン社から発売された傑作「PH 5」。シェードの独自の形状はインテリアとして美しいのはもちろん、眩しさを感じさせず、人にとって心地よい光を実現。デザインと機能性を兼ね備えた名品として愛されている。
ポール・ヘニングセン PH 5ペンダントライト¥104,000/ルイスポールセンジャパン
RYO YOSHIZAWAよしざわ りょう●1994年、東京都生まれ。映画『キングダム』(’19)で日本アカデミー賞ほか各映画賞の助演男優賞を受賞。「青天を衝け」(NHK)では主人公の渋沢栄一を演じる。映画『東京リベンジャーズ』(7月公開予定)、舞台「マーキュリー・ファー」(2022年1月)の出演も決定している。ニット¥59,000・シャツ¥32,000・Tシャツ¥17,500・パンツ¥33,000/Acne Studios Aoyama(Acne Studios) ブーツ/スタイリスト私物
KENGO KORAこうら けんご●1987年、熊本県生まれ。現在公開中の映画『おもいで写眞』に出演。「青天を衝け」(NHK)では渋沢栄一の従兄、喜作を演じる。待機作に『あのこは貴族』(2月26日公開)、『くれなずめ』(GW公開予定)がある。
SOURCE:SPUR 2021年4月号「吉沢 亮のGathering in the Light」
interview & text: Masayuki Sawada photography: Remi Hasegawa 〈S-14〉 styling: Daisuke Araki (Ryo Yoshizawa),Shinya Watanabe 〈Koa Hole inc〉(Kengo Kora), Reiko Ogino (prop) hair & make-up: Masanori Kobayashi 〈SHIMA〉(Ryo Yoshizawa), Satoka Takakuwa (Kengo Kora)