車に乗って出てきた高嶋ちさ子('19年3月)
バイオリニストでタレントの高嶋ちさ子が、またまた世間をざわつかせた。1月6日放送の『1周回って知らない話+今夜くらべてみました 合体! 初告白連発4時間SP』(日本テレビ系)でのこと。男児と女児とで子育ての大変さが違うとして、
「(息子は)ハズレくじと(娘は)アタリくじ」
と表現。自身は男児ふたりを育てていることから「うちは、ハズレ、ハズレ」と言って笑わせた。
高嶋ちさ子の毒親発言!?
これに対し、視聴者からは「息子さんたちがかわいそう」などの声があがったが、彼女のこうした言動は今に始まったことではない。昨年5月には『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で、中学生の長男について「変な臭いがしてきました」、小学生の次男についても「(iPadに)女の子のおっぱいばっかり映ってる映像とか出てきて」などと語り「子供たちが学校でからかわれるのでは」と、視聴者をハラハラさせた。
そんな型破りの「伝説」の始まりは、2014年。ツイッターでのこの書き込みだ。
《昨日キレて破った子供の日記と宿題。私が破いたから、私に修復の義務があるのか、破く気持ちにさせた息子が修復すべきか…。》
さらに、この2年後には「ゲーム機バキバキ」事件が広く知られることに。これは「平日に任天堂DSで遊ぶのは禁止」という約束を破られたことに怒り、子供のゲーム機2台を壊したというものだ。この話を『東京新聞』のコラムに書いたところ「やりすぎ」「毒親では?」と批判された。
とはいえ、こういうキャラや子育てを面白がる人もいる。翌年には『題名のない音楽会』(テレビ朝日系)でこんな場面が見られた。中国人男性ピアニストのラン・ランに対し、子供をピアノの練習に集中させる方法を彼女が質問。すると、
「私の父はひどかったです。母は味方してくれたが、真面目に練習しないことに激怒し、おもちゃを全部窓から投げ捨ててしまった」
という答えが返ってきた。自分の「ゲーム機バキバキ」事件を思わせるエピソードに、さすがの彼女も苦笑い。視聴者から「これって台本?」という声があがったほどで、スタッフがわざと狙ったようにも感じられた。
また、その翌年には、ソフトバンクのCMにモンスターペアレント役で出演。次男は「ママが怖い人みたいになっててやだ」と嘆いたが、長男は「ママがやれる役ってそれ以外何があるんだよ」と納得していたという。
では、ちさ子はいかにしてこういう親になったのだろうか。じつは幼いときから気が強く、大人をいたずらで困らせるため、母から「悪魔」というあだ名をつけられたほど。そんなあだ名をつける母もなかなかのものだ。
ちなみに、最近出版された著書『ダーリンの進化論 ~わが家の仁義ある戦い~』(小学館)にはこんな一節が。
《父も、母方の祖母に「ごくつぶし」ってよく言われて「この性悪女」って返していました。そういうやりとりを、言葉遊びとしてとらえるような家族だったんでしょう。良くも悪くも、常に暴言が飛び交っていた家でした》
あの気性は、そんな祖母や母から受け継いだとも考えられるが――。どうやら、それだけではない。
絶縁状態の高嶋一家
レコード会社の音楽ディレクターとして、ビートルズを日本に紹介した人物でもある彼女の父は、今は亡き大物芸能人・高島忠夫さんの弟にあたる。すなわち、その息子である高嶋政宏(※1)・高嶋政伸とはいとこ関係だ。そして、このファミリーを束ねてきたのが寿美花代。元・宝塚歌劇団の男役トップスターで、女優としても活躍し、息子たちを一流俳優に育てあげた。また、夫が晩年に病で倒れると『「うつ」への復讐~絶望からの復活~』(日本テレビ系)というドキュメントタッチのスペシャルドラマに全面協力して、その巻き返しに尽力したりした。(※1、高は正しくは「はしご高」)
ちさ子の一家も、かつてはこの芸能ファミリーと懇意にしていたため、子供時代には高級肉のすきやきをご馳走になったりしていたという。しかし『女性セブン』の報道(2013年)によれば、その後、絶縁状態に。そのきっかけとなったのが、ちさ子がバイオリンを習い始めたころ、寿美が放った「お金がかかるのに大丈夫なの?」というおせっかいなひとことだったというのだ。
むろん、それだけが絶縁の原因というわけでもなかろうが、ちさ子もあの気性だ。自分の家族よりも格上なファミリーを仕切る、義理の伯母に対し、格下に見られがちな一家を代表する有名人として、特別な意識が生じても不思議はない。ともに宝塚やバイオリンという厳しい世界で成功し、息子たちを育てているところも似ている。それゆえの対抗心めいたものが、彼女の言動をますます激しくさせたのかもしれない。
さらにいえば『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)では、長嶋一茂、石原良純という日本有数のセレブ有名人と共演中。2年連続で大晦日特番にもなった。あの番組での彼女がやたらと生き生きして見えるのも、自分だって一流なのだという意識のあらわれだとしてもおかしくない。
1月1日、彼女はインスタグラムにこんな抱負を投稿。
「今年は適度に頑張って適度に遊ぶ、余裕のある生活を送り、他人、身内への八つ当たりを減らしたいと思いますので、仕事激減するかもですが、よろしくお願いします」
毒舌を控えるつもりなので、仕事が「激減」するかもというわけだ。とはいえ、あの性格が急に変わるとも思えない。ちさ子の「怪」進撃はまだまだ続くことだろう。
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。
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