ドラマ『家なき子』の安達祐実演じる、すずとリュウ
時代の変化においてけぼりの作品
「過激ないじめの描写などが、コンプライアンス的な観点から地上波での放送が難しいといわれています。赤井英和主演の『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系)も、いじめが原因で堂本剛が命を落とすなど過激な描写があり、地上波では再放送しにくい。『家なき子』も『人間・失格〜』も野島伸司さんの作品ですが、彼のヒットドラマは、地上波再放送のハードルが高いものが多いと思います」
ドラマの影響で起きた事件・事故
「キムタク主演の『ギフト』(フジテレビ系)は有名ですね。実際に起きた刺殺事件の犯人が、このドラマでバタフライナイフを見て、それに影響されたと供述したことで、再放送ができなくなりました。
頭部切断の描写があった堂本光一主演の『銀狼怪奇ファイル』(日本テレビ系)も、放送が自粛され封印作となっています。ほかにも草なぎ剛主演の『フードファイト』(日本テレビ系)も、子供が大食いをまねて窒息死するという事故が起こったため、再放送されなくなっています」
「松嶋菜々子主演の『やまとなでしこ』と江角マキコ主演の『ラブレボリューション』(ともにフジテレビ系)は、保護責任者遺棄罪と薬物使用で逮捕された押尾学が出演していることで封印状態になっています。
同じ理由で加勢大周や、最近ではピエール瀧の出演作も当面、地上波での再放送は難しいでしょう。清水健太郎が出演していたことで地上波再放送がずっとされていなかった『ムー』シリーズ(TBS系)が、現在BSで再放送されるようになりましたが、これらの作品も、BSやネット配信としてなら、見ることができるようになると思います」
「三浦春馬主演の『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)などの、パンデミック描写のあるものは、コロナウイルスとの苦しい闘いを連想させるため、まず難しいでしょうね」
<取材・文/渋谷恭太郎>