佐藤容疑者
古都・京都で、凄惨(せいさん)な殺人事件が発生した。
7月9日に陶芸家の古川剛(たけし)さんを殺害したとして、京都府警は10日、アルバイトの佐藤千晴容疑者を殺人容疑で逮捕した。
「事件現場は、京都市の郊外にあるラブホテル。容疑者は包丁で古川さんの背中を刺すなどして、殺害しました。現場からは凶器となった刃物のほかに使用した形跡のあるボーガンも見つかり、頭部には矢が複数、貫通していました」(全国紙社会部記者)
ホテルの従業員から「女性客が人を刺したと言っている」と通報があり、逮捕に至った。
世界で唯一の作家だった
佐藤容疑者は古川さんの陶芸の愛弟子で、2人は交際関係にあったという。調べに対しては、「殺してやるという思いでやった」と供述し、犯行を認めている。
亡くなった古川さんは、京都では有名な陶芸家だった。
京都市内にある実家は由緒ある清水焼(きよみずやき)の窯元(かまもと)で、古川さんは高校卒業後に焼き物の世界に入り、家業に従事しながら技術を磨いた。
2015年に独立した後は国内外に出展を重ね、多くの賞を受賞するなど、若くして才能を認められた作家だった。
生前に一緒に仕事をしたことがあるという知人によると、
「家業は長男が継ぎ、次男である古川さんは、独自の作品を生み出すべく、日々、研究を重ねていました。礼儀正しい性格で、仕事では常に完璧であることを追求していた。また彼は世界で唯一、金色の釉薬(うわぐすり:陶磁器の表面をおおうガラスの層のこと)を作りだせる作家でした。金箔で金色を出すことは簡単ですが、彼は金をいっさい使わずに色を表現していた。いずれは人間国宝になられる方だと思っていたのに……」
そんな古川さんを殺した容疑者はどんな人物か。
京都府出身の佐藤容疑者は京都精華大学で陶芸を専攻した。卒業後は日本屈指の陶芸の中心地、栃木県益子にある製陶所に勤務。京都に戻ったあとも陶芸の勉強を続け、最近は古川さんに師事していた。
容疑者の知人によると、
「佐藤さんはとにかくおとなしい女性というイメージですね。彼女は京都に戻った5年ほど前に、京都市産業技術研究所の人材育成コースで、陶磁器の勉強をしていました。古川さんは当時、研究所の講師を勤めていて、ふたりはそこで出会ったようです」
その後、容疑者は古川さんのもとに弟子入りすることになる。師弟関係を結んでいたのは容疑者だけで、ほかに古川さんのもとに弟子はいなかったという。
報道は“交際”だが実際はW不倫
現在のところ、詳しい殺害の動機はわかっていない。しかし週刊女性が取材を進めると、ふたりの周囲の人間関係を巡り、不可解な事情が明るみに――。
「亡くなった古川さんと佐藤さんは交際していたと報道されていますが、実は古川さんは既婚者で、妻と子どもがいたんですよ」
そう打ち明けるのは古川さんの友人。事実なら妻がいるのにもかかわらず、容疑者と不倫をしていたということになる。詳しく事情を尋ねると、
「古川さんが結婚したのは6年ほど前です。結婚式は京都の清水寺で挙げたようで、奥さんはとても幸せそうな写真をフェイスブックに上げていました。幼い娘さんもいるのですが、まさかこんなことになるなんて……」
それだけではない。容疑者の友人からも、驚くべき証言が得られた。
「実は佐藤さんにも、夫がいます。相手は同じ大学出身の男性で、学生結婚という話を聞いたことがあります。卒業後は栃木県で一緒に修行をしていましたね。それで、彼女も夫と一緒に栃木に暮らしていたんです」
栃木での修行を終えて、夫は2016年に京都市内で陶房(とうぼう)を立ち上げ、独立。夫婦は事件直前も一緒に暮らしていたようだ。
師弟関係を結んでいた古川さんと容疑者だが、お互いに既婚者だったとなると、2人は“ダブル不倫”の関係でもあったということになる。
容疑者の夫は自宅の裏に陶房を構え、小さな販売店も併設。それほど近所付き合いはなかったようだが、商品の数々はSNSで評判だった。
容疑者は度々、店の様子をインスタグラムに投稿していた。さらには「相方が作った作品です」などと説明のついた陶器の写真をアップし、パートナーの存在を公にしていたことも。
ふたりの不倫関係は事実なのか。そもそも、容疑者が古川さんのもとに弟子入りしていたことを夫はどれだけ知っていたのか。
詳しい事情を聞くため、週刊女性は自宅に帰る途中の夫を直撃した。しかし、
「捜査中なので……」
と取材拒否。妻の突然の逮捕と不貞疑惑に、憔悴しきった様子だった。
容疑者と夫が不仲だったのかはわからないが、逮捕の前日、容疑者は夫のインスタグラムに、普段はめったにつけない「いいね」を残していた。この時点で既に、翌日の“別れ”を覚悟していたのだろうか……。
ボーガンを用いた今回の残虐な事件。容疑者の放った矢は、尊い命だけでなく、お互いの家族の幸せも粉々に破壊し尽くしてしまった。
外部リンク