バブリーなファッションに身を包み、登美丘高校ダンス部が踊る『ダンシング・ヒーロー』の“バブリーダンス”や、芸人の平野ノラのバブルネタが注目を集め、次期朝ドラ『半分、青い。』も’90年代が舞台。日本中が元気で明るい未来しか見えていなかった’80~’90年代初頭を、モノや流行、出来事などで振り返ると、今の時代が見えてくるーー。
「バブルのいい面にも注目してほしい」
『ジュリアナ東京』で一世を風靡(ふうび)した“扇子ギャル”荒木師匠こと荒木久美子(47)は、“お立ち台の女王”と呼ばれるなど、元祖ボディコンギャルの象徴として多方面でブイブイ(死語!?)言わせていたレジェンドのひとり。そんなバブルの申し子が、今だから話せるバブルの功罪とは!?
荒木久美子
「万札を片手にタクシーを止めたり、クリスマスツリーくらいの大きさのフルーツの盛り合わせを注文するなど、今では考えられない時代でした。何をしているのかわからないけど、お金だけは持っている“バブル紳士”と呼ばれるオジサンたちが多数いて、自分の車のトランクにバーキンを詰め込んで、気に入った女の子に手あたり次第、プレゼントするなんて人もいましたね(笑)。
ディスコデビューしたものの、声をかけられないダサい女の子もたくさんいました。だからこそ、少しでもチヤホヤされるためにファッションやトレンドに敏感になって、自分磨きに一生懸命になる子が多かった。一方で若い男の子たちは、“いつかは毛皮”を合言葉に“打倒、バブル紳士”じゃないけれど、どうすれば女の子に振り向いてもらえるか躍起になっていた。バブルの時代って、健全な競争社会だったんですよ。えこひいきやヒエラルキーがあるからこそ、みんな野心があったしパワフルでしたよね。
若い世代にお金がないのは、実はいつの時代もそんなに変わらない。“お金はないけど、野心はある!”のが若い世代のいいところ。今の子たちの多くが野心までなくしていて、見ていてモヤモヤしますよ。時代に合わせて小粒になる必要なんてまったくない! どうせ女性におごるなら、チェーン店の居酒屋じゃないところでおごりなさい。
そもそもケチな男が、魅力的だったり出世できたりするわけがないじゃない!(笑)
某大手の広告代理店が、バブル期に使っていたタクシーチケット代をやめたところ、経費が3億円も浮いたなんて馬鹿げた話に代表されるように、バブルって悪い面にばかり焦点があたりがち。
でも、バブルにもいい面がたくさんあったことを知ってほしい。今の時代って、自分のことだけを考えている人が多くないですか? でも、あの時代は、男女ともに他者に対するアンテナが高かった。それが自分磨きにつながり、異性をケアする行為につながった。当時は、デートプランを下調べして当日に備えるなんてことは、男性のたしなみですよ。お金が潤沢にある以前に、野心や活気が健全に働いていたからこそ社会が熱を帯びていたのだと思います。
バブルという超資本主義かつ競争社会だからこそ、たくましくなれた部分が多大にあります。再び日本の景気がよくなったとき、バブルエッセンスの心構えがないと無気力な小金持ちばかりになってしまいそう。手堅く攻めることが現実的とは限りません。現実を豊かにするために、野心や他者への関心を持つことを忘れないでほしいですね」
あらき・くみこ◎高校卒業後、イベントコンパニオンやDJ、モデルとして活躍。1990年代、荒木師匠の通名で「ジュリアナ東京」の“お立ち台の女王”と呼ばれ一躍、脚光を浴びる。女性を美しくするファッションやメイクセミナー、恋愛心理学など婚活トレーナーとして活動中。現在は、「レンアイをカガクする美女活工房『結婚相談所アプレ』」を主催。スタイリング後、1か月で4件だったお見合いが130件に増えた例も! アナタは半年以内に結婚できるか?