宇野昌磨
「“1人でやれると思っている。1人だからこそ、今まで以上にうまくならないといけないと思う”と話していました。宇野選手は冷静でしたが、あまりの異例の発表に記者たちは驚きを隠せずにいましたね」(スポーツ紙記者)
“やる”選手になりたい
「フィギュアスケートには、常にプロの目線が必要だと言われています。コーチは技術指導を行うだけではありません。本人がビデオを見ても気づかないクセを教えてくれるし、客観的な視点を持つという面でも重要な存在です。コーチをつけないという選択は、かなりのリスクですね」(フィギュアライター)
「宇野選手は今年6月、5歳のころから師事していた山田満知子、樋口美穂子両コーチ兼振付師のもとを離れました。彼女たちの指導のおかげもあって'18年の平昌五輪では銀メダルを獲得。恩人であり、家族同然の関係です。宇野選手いわく“満知子先生のほうから離れたほうがいいんじゃないかと持ちかけていただいた”と話していました」(前出・スポーツ紙記者)
「2月の四大陸選手権では、ルール改正後の世界最高得点をフリーで叩きだして優勝。自信を深めた宇野選手は、世界選手権を前に“初めて結果を求めて臨む”と語っていました。しかし、4位と表彰台を逃す結果に。優勝したアメリカ代表のネイサン・チェン選手と50点以上の差がつく惨敗でした」(同・スポーツ紙記者)
「宇野選手はまぎれもないトップスケーターですが、国内では羽生選手に次ぐ2位。羽生選手を超えることを目標としていた大会ということもあり、自身の結果にかなり悔しさを滲ませていました。彼は“羽生選手が現役で活躍しているあいだに勝ちたい”と話しているそうです」(前出・フィギュアライター)
単身ロシアへ
「技術的な可能性を考えてみても、5回転はまったくの夢物語ではないと思います。その前に4回転半があると思いますが、5回転が飛べれば、世界でトップになれることは間違いありません」
「メドベージェワ選手やザギトワ選手ら女王を育てた“名伯楽”エテリ・トゥトベリーゼコーチ主催の夏合宿に参加しました。彼女は指導が厳しいことで有名。古巣を飛び出してでも、自分の実力を上げていきたいという執念が感じられました」(前出・スポーツ紙記者)
「彼女が育てたザギトワ選手は、総合的なバランスがとれた選手だったので、すべての平均値を上げていくような指導でした。メドベージェワ選手の場合はまったく別の方法で、彼女の表現力の高さを伸ばすことに力を入れていた印象でしたね」(佐野氏)
「双方のやりとりで行き違いがあり、契約に至らなかったようです。宇野選手は報道陣に対して“あくまで夏合宿だけが目的だった”と話していましたが、実はエテリ氏の合宿に参加する際、彼女を今後のコーチにつけるつもりで準備を進めていました。しかし、エテリ氏は“一時的に見るだけ”という認識でいたため、最終的な契約時に宇野選手サイドの細かい条件をのむことができなかったようです」(スケート連盟関係者)
たった1人の“武者修行”
「一般的に、交渉では選手とコーチの間にスケート連盟関係者が介在します。羽生選手を指導するブライアン・オーサーコーチは、元フィギュアスケート連盟の城田憲子氏の紹介です。宇野選手とエテリ氏の間にも関係者が懸け橋にはなったと思いますが、行き違いが生まれてしまうのは連盟の詰めが甘かったとしかいいようがありません」(同・スケート連盟関係者)
「ジャンプ指導を受けている本田武史氏をメインコーチとして迎える可能性はあるかもしれませんが、本田氏もアイスショーに出場したり解説者としての仕事もあったりと多忙なため、マンツーマンで見るというのは難しいでしょう。いろいろな合宿に参加しつつ、コーチも探していくという形を取ると思いますよ」(同・スケート連盟関係者)
「今、宇野選手は1人でやることに前向きな姿勢を見せているので、古巣に戻ると周囲にネガティブにとらえられてしまったり“なぜ戻ったの?”と探られる可能性を避けているのかもしれませんね。これまでにコーチをつけないという決断をした選手の事例がないですし、それくらいリスキーなことなので、戻ってもいいと思うのですが……」(同・スケート連盟関係者)
「そういった取材にはご対応していません」