現在は17歳年下の夫と楽しい日々を送れているという大西結花。取材中も笑顔が絶えなかった
「いい時代というか、めちゃくちゃな時代でした」
「ミスコンでスカウトされドラマでデビューしましたが、松田聖子さんのようなフリフリな衣装を着て、かわいい曲を歌うのが夢だったんです。女優デビューの翌年に歌手デビューもさせてもらったのですが、フリフリとはほど遠い衣装。デビュー曲『アラベスク・ロマネスク』はアイドルソングとはかけ離れた曲調で、私がやりたかったのはこれじゃないなと思いながら、淡々とやっていました」
台風の中で全裸で撮影した10代
「劇中で台風の中、みんなで全裸になる……というシーンがあるんです。実際は肌色の肌着を着て演じたのですが、それでも10代の多感な時期に男の子もいる中でそういうシーンを演じなきゃいけないのは本当につらかったです。長野県に寝泊まりして撮影したのですが、出演者もスタッフもともに合宿しているような毎日で、過酷な現場でした」
「初代は斉藤由貴さんがされていましたが、私たちは3作目。まさか自分が演じることになるとは思っていなかったですね。忍者の血を引く者が刑事として戦う。しかも私は、折り鶴を武器に悪を退治すると聞いたときは、それが武器なんだ。どうやって戦うんだろう〟と考えちゃいました。実は怪力で、すごく重たい鶴を投げてやっつける……という自分なりの裏設定を作ったりして楽しんでいました(笑)」
「当時は携帯がなかったのでプライベートで連絡をとり合って遊ぶことはなかったけど、歌番組など同世代のアイドルたちが会う機会は多かったので、みんな仲よしでした。逆に後輩の中村由真ちゃんは先輩である私たちにいじめられると思って、最初はかなりビクビクしていたみたい(笑)。でも『スケバン刑事』も撮影が過酷すぎて、結束力は自然に強まっていきましたね」
「今みたいに、写真をパソコンで修正できない時代だったので、撮影期間中はアイドルなのにミニスカートなどの肌を露出する衣装が着られなかったほど。真冬の海で溺れかけるというシーンがあったのですが、引きで撮影するシーンは周りにつかまるものが何もなかったので、本気で溺れかけて。だからあのシーンは演技ではなくリアルなんです。過酷な撮影を経験したおかげで、少しのことでは大変だと思わなくなりました」
事務所社長が多額の借金を残して失踪
順調に歌手や女優活動を行っていたが、1998年に事件に巻き込まれてしまう。当時、所属していた事務所の社長が多額の借金を残し、消息不明になってしまったのだ。
「当時の週刊誌やスポーツ紙にいろいろ書かれましたが、本当に失踪した理由を知らなくて。現場マネージャーも私も報道で知ったぐらい。逆にマスコミの方に状況を教えてもらっていました」
「友人に相談したところ、“まずは自分の身の安全を守るべき”と言われ、友達夫婦が面倒を見てくれることになったんです。彼女たちの家で楽しくワインを飲みながら、海外ドラマなどを見て過ごしていたら、ある日『大西結花、社長と一緒に失踪?』という報道が出たんです。こっちが居所を知りたいくらいなのに! って(笑)。当時、SNSがあれば自分の言葉で真実をお伝えできたんでしょうが、そういうことができる機会もなく……。これはきちんと説明しなければならないなと思い、話をしていた弁護士さんに同席していただいて、記者会見を開くことになりました」
「もちろんニュースでいろいろ報じられていたのは知っていましたが、こんなに大変なことになっていたんだとビックリ。その一方で、内心“ワイドショーで見る記者会見みたい”って、どこか他人事のようにも感じていました」
「恨みや怒りより、どうしてあんなことになったのか、真相を知りたいです。私も本当に何も知らなくて……。話を聞いても納得はできないかもしれませんが、理由がわからなければ自分自身の気持ちの落としどころがないので」
17歳年下の男性と結婚「安心感ある」
「30歳直前は結婚しなきゃと焦っていたのですが、30歳を越えて気持ちが楽になり、結婚は意識しなくなっていたので、自分もまさかでしたね(笑)。日々の生活で安心感があるので、結婚してよかったです」
「友達の病気がきっかけで、髪の毛を寄付する『ヘアドネーション』の活動を知って。こんな素敵な活動をもっと多くの人に知ってほしいなと思い、まずは自分の髪の毛を50cmドネーション(寄贈)させていただきました。もっとたくさんの人に知ってもらえるように何かできないかと考えているところです」
「その時期に歌える場所があったら、デビュー35周年を記念したライブなどができたらいいなと思っています」