池脇千鶴
《40代独身女性を等身大でリアルに演じている感じ》
芸能界入りのきっかけは『ASAYAN』
「まだハイハイしているぐらいのときに、ソファの下から出てこなくなったことがあって。心配して声をかけたら“アタチね、泣きたいの!”と言ってから泣きだしたんです。人前で泣くというのが悔しかったんでしょうね。自分で感情をせき止めるような部分が昔からあって、手のかからない子でしたよ」
「小学校や中学校では“女優になりたい”と周囲に夢を話していて、先生や同級生たちが応援してくれていたそうです。でも私が知ったのは、中学3年の進路相談面談のとき。先生が“東京に通うなら、新幹線の駅にアクセスしやすい学校のほうがいいんじゃないですか?”と、アドバイスしてくれました」(池脇の母)
「同級生が応募したところ書類審査を通過して。その後、ビデオ審査があったんですが、ビデオを持っている知人などを探している間に年末になり、郵便が止まってしまい、締め切りに間に合わなくなっちゃって……。ちぃちゃん(千鶴)がショックで泣いていると、当時、運送会社でアルバイトをしていた兄が頼み込んで、金融機関用の特別な配達車に応募書類を積んでもらえることに。何とか間に合ったんです」(池脇の母)
「CM畑出身の市川監督が選んだだけあり、15秒の中でも存在感を出せるアイドル性の高い女の子が現れたなと強く印象に残っています」
風吹ジュンも絶賛する“プロ意識”
「最初から大物でした。ハードな撮影が続いていましたが、いっさい首を垂れることもないタフな心で終始、笑顔で接していましたね。庶民的でありながら時代に媚びるでもなく自分のペースであり続ける。女性の強さ、根っからのプロ意識の高さを感じました」
「俳優が多くいる事務所であればCMのオファーなども考えて、朝ドラのヒロインを務めた直後にヌードになる仕事は断るケースが多いと思います。しかし池脇さんは、デビュー当時から吉本興業(の系列)に所属。事務所が長期的な戦略を立てて、急いで売り出さなかったことが彼女のスタンスとマッチし、早い段階で脱・清純派に成功しましたね」(北川さん)
《強いて言えば『ジョゼと虎と魚たち』ですね。アイドルっぽい目線で見られていたのが、初めて女性からファンレターをいただいたんです》
《自分が面白いか、面白くないか。観たいか、観たくないかの台本ありきですね》
「金欠で食事は炭水化物ばかりという太りがちな貧困女性を演じるためか、ぽっちゃりボディでラブシーンに挑んでいて、本気度が伝わりましたね。呉美保監督も“知名度があるのに、ここまで身体を張れる女優さんは彼女くらいです”とトークショーで称えていました」(映画ライター)
周囲も驚く徹底した役づくり
《回を追うごとに綺麗になっていっているのがすごい》
「衣装合わせの際に池脇さんが演じるアララのドレスを着た瞬間、あまりに役柄にハマりすぎていて思わず感動で涙を流したスタッフがいたほどクランクイン前から役が板についていたそう。1話目の老け具合が話題になりましたが、撮影に入る前に見かけたときの素顔は20代後半に見えるほど若々しかったので、余計に驚きました。どうやったら短期間であそこまで役づくりができるのか不思議なくらいですよ」(テレビ誌編集者)
「年齢に左右されることなく、不動の存在を保てる女優さんだと思います」