『月曜から夜ふかし』スタッフの悪意に怒りの熱弁をする桐谷さん
「私の意に沿わない放送をされることはしょっちゅうなんですよ」
「実は、番組スタッフと絶交状態だったので、出演オファーをずっと断っていました」
「彼女が毎日放送の『カンニング竹山の銭ナール』に出演していて、そこに出てくれないかと言われたんです。まぁ、しぶしぶ出演したのですが、竹山さんは私をすごく褒めてくれました。“私の事務所に入らないか? 桐谷さんは有名になれるから”とも言ってくれて。そのときは芸能人になるつもりがなかったので断ったんですけど、芸能事務所に入るのは狭き門なんだと後で知りましたね」
「中居正広さんがMCを務めるフジテレビ系の『うもれびと』という番組に出てくれと言われていたんですが、断っていたんです。すると、ある日、テレビ局から連絡があって、“忙しい中居さんと竹山さんがわざわざスケジュールを作っている。あの中居さんが待っているんだから来て!”と怒られました。まぁ、そこまで言われたら出ようかと」
“ウチにも出てほしい”と頼み込まれ──
「番組を見てみると、出演者がみんな笑ったり、踊ったりしてるんですよ。そのころ、株で大損して暗い人間になっていた私には絶対無理だなと思っていました」
「事前に履歴書を書かされたんですけど、そこに“株式投資を始めたこと”とか“大失恋のこと”とかを記入したんです。それで生放送のスタジオに行くと、ナレーションがいきなり“失恋をきっかけに株式投資を始めた”とか言い出して……。思いがけない展開でしたね。そこに、千原ジュニアという人がいてね、“失恋相手はどんな人でしたか”って聞いてくるんですよ。それはとんでもなく私が騙された恋愛話なんですけど、“年上で水商売の人です”と答えたら会場にドッと笑いが起きて。
「『いいとも』を見ていた『夜ふかし』のスタッフから“うちにも出てほしい”と連絡が来ました。それで頼みこまれて、まぁ1回ぐらい、いいかなぁという気持ちになったんです」
「ギャラがいくらなのかを確認しないまま、何度もスタッフと打ち合わせを重ねました。そしたら、撮影前日に日テレの経理から電話があり、“明日のギャラは1万円だ”と言うんです。“終日撮影で1万円なんて冗談じゃない!”と言うと、“では2万円にします”と言われて」
「チャイムが鳴って玄関に行くと、菓子折りと現金10万円を持ったスタッフがいて“これでお願いします~”と、深々と頭を下げるんです。1万円が10万円になったら、ヤル気が出ましたね(笑)」
『夜ふかし』はこんなことを言い出してきたという。
「“今後は他番組への出演はすべて禁止”と言われました。さらには、雑誌の取材を受けても“私と自転車が一緒に映った写真はダメ”とか。私の書籍が回収騒ぎになるほど、厳しかったんです」
“ドジなシーン”以外は全カット
「せっかく言ってくれたけど、私と自転車が映っている写真が使えないとなると売れないから止めようと。そうしたら連盟の役員が“顔写真だけでもいいから作らせてほしい”と言ってきたんです。その心意気に感動して、『夜ふかし』とは絶交しようと。これが1回目ですね」
「“講演会なら自転車に乗ってもいいですよね?”と聞くと、すぐに“ダメだ!”と返事が来ました。これでまた絶交しちゃいました」
「なぜ、そこまで規制されなければならないのかと聞くと、“メディアに消費されてしまう。桐谷さんには息の長い芸能人になってほしい”なんて言うんですよ。私は当時すでに63歳(笑)。別にずっと芸能界にいるつもりはないと伝えると、“まぁまぁ”と諭されましたけど」
「私がドジをしたシーンばかり放送するんですよ。壁をよじ登るスポーツ『ボルダリング』をやらされたことがあったんですけど、私はスイスイできちゃったんです。そしたらどんどん難易度の高いコースをやらされて……。でも、全部クリアしましたよ。ジムの人も“すごい、最年長記録ですよ!”って褒めてくれたんですけど、放送を見たら全カット。スタッフに詰め寄ったら“桐谷さんのドジなところを撮りたかった。だからボツです”と悪びれもせずに言われました」
「スタッフらはロケバスに乗っていて、私は必死で自転車こいでるんです。それで、“ハイ、立ちこぎして!”とか指示を出してくる。彼らはバスの中でサンドイッチを食べてくつろいだりして、みんな遊んでるだけなんですよ!」
2部屋分の家賃を払わされるハメに……
「ニューヨークでロケをしようと提案されて、私も忙しいので“拘束4日間ならOK”と言ったのに、いざスケジュールが来たら8日間になっていた。私が怒って“もうヤメだ、スタッフが遊びたいだけでしょ!”と伝えると、“ハイ、そのとおりです”と開き直って……。
それで話し合いになって、“ロケ日数は7日間”“好きな食べものをおごる”という条件を出されました。なので、リーマンショック以降、お金がなくて何年も行けなかった『かに道楽』でカニをごちそうになりました。ニューヨークも行ってみたら、楽しかったんですけどね」
「3年前に引っ越しして、いまだ未開封の段ボールが150箱もある状態なのに、スタッフが“引っ越し企画”をどうしてもやりたいと言って聞かないんです。結局、無理やり引っ越ししたもんだから、新居にネット環境が整備できず、何もなくなった前のアパートの部屋で仕事をしていた。その間は、2つ分の家賃を払っていたんですよ」
「私は学生時代、いつも寝るときに猫を抱いていたほどの“猫好き”なんでけど、ひとり暮らしだから飼えるわけがないんです。でも、スタッフは“猫を飼え”としつこくて。そこで、ペットショップへ撮影に行って、彼らの台本どおりに“いちばん安い猫はどれですか?”と発言したら、ネットで大炎上。愛猫家からたくさん批判を受けました。私は猫を飼うとしても、ペットショップで買うつもりはまったくなかったのに」
「ずっと抱いたまま、何日も撮影をさせられました……。マンションのベランダで猫のぬいぐるみを抱いて空を見るシーンも撮ったんですけど、これもすごい叩かれて。私もスタッフも知らなかったんですけど、マンションのベランダに猫を出すのって“ご法度”なんですってね」
「結局、23年前からファンになってる演歌歌手の山口かおるさんと共演ができるなら、まぁ出演してもいいかなと」
「どうも彼女の色気に惑わされちゃったのかな~。でも、23年前にひと目ぼれした女性と再会したもんだから運命というかね……。かおるさんの歌に『最後の恋人』というのがありますが、私も70歳ですから最後の恋かなと思っていまして」
「彼女には現金でぶどうを買って送ったんですよ。ポスターを7枚もいただいていたので、お礼をしたかったんです。私は今まで株主優待で得た金券を使った贈り物しかしたことがなかった。現金を使わない私に、初めて現金を使わせたのが彼女なんです。うちの親戚が経営するブドウ園に足を運んで、いちばん高いぶどうを選びましたよ」
『夜ふかし』の“善意”
『夜ふかし』では、“松たか子好き”として知られていたが、
「昔ね、かわいい動物を見ると仕事の作業効率が上がるって聞いたんで、それなら私は人間の美女を見るのがいいんじゃないかと。それで、『ヤマザキ 春のパンまつり』の松たか子さんの写真がキレイだから集めていました。それで、私が好きということで彼女との対談の話もあったんですが、実は断ったんです。彼女はもう奥さんだし、背が高いしね。対談しても親しくなる可能性はない。先が見えないので」
現実的に考えて、独身の山口さんへの思いを募らせたのだろう――。彼女との共演を果たした今回の放送については、
「かなり満足のいく出来映えでした。番組側も頑張ってくれたなと思っているんです」
「道でコケたり、海鮮丼のワサビが辛くて涙が出たり……。私のドジって、すべてやらせじゃない。ほかにも、携帯で話している女性が写った大きなポスターの前に、私が自転車で停まって、たまたま同じポーズをとったことがありました。これも本当に偶然なんです。あと、自転車で走行中に携帯が鳴ったと思って電話に出たら、近くにいた赤ちゃん連れの母親の携帯が鳴っていて彼女と私の動きがシンクロした。これも偶然。だって1週間ずっと撮りっぱなしで、偶然の一瞬としてとらえたものを20分間にまとめているんですから。ガチなんですよ」
「私は基本、ノーミスなんですが、それができなかったのが悔しくて。すると放送で私のスコアを映さなかった。初めて『夜ふかし』スタッフのやさしさを感じましたね。ネットで《桐谷さん》を検索すると、《ボーリングうまい》って出てくるんですよ。だからスコアを晒されたら本当に恥ずかしいことで……。スタッフが勘弁してくれたんですよね」
「今は1週間のロケでギャラが30万円。一時は60万円になったこともありました。でも、お金だけじゃない部分も大きい。何回も絶交して、『夜ふかし』に説得されて復縁のパターンでしたけど、今があるのは彼らのおかげとも言えますよね。私の講演料も最初は10万円でしたがすぐに20万、30万円になりましたから。講演会にたくさんの人が集まってくれるのも『夜ふかし』を見てくれた人がほとんどかもしれませんしね」