綾瀬はるかと高橋一生で話題のドラマ『天国と地獄』
入れ替わりドラマの歴史
「綾瀬はるかに壁ドンされて涙ぐむ高橋一生、お互いが入れ替わったあとの演技力がすごい!」(テレビ誌記者)
「同作は綾瀬さん演じる堅物な刑事と高橋一生さん演じるサイコパスな殺人鬼の魂が入れ替わる男女逆転モノ。脚本は綾瀬さんのヒット作『JIN―仁―』、『義母と娘のブルース』(いずれもTBS系)などで知られる森下佳子さんですからテッパンでしたね」(同)
「古くは小林聡美さんと尾美としのりさんの映画『転校生』('82年)からでした」
「以降、入れ替わり手法として階段落ちが最も多いパターンです。綾瀬さんの『天国と地獄』も歩道橋の階段落ちでした。
『転校生』の原作は『おれがあいつであいつがおれで』という山中恒さんの児童文学で、その後数回ドラマ化されました。石野陽子さん主演の『転校生!オレがあいつでアイツがおれで』('85年/フジテレビ系)、吉澤ひとみさんと勝地涼さん('02年/TBS系)、蓮佛美沙子さん版('07年映画)もあります」(高橋さん、以下同)
「まず女性になった男性が胸を確認する、それを男性になった女性が阻止するなどのひと悶着が必ずある(笑)。さらに女→男はメソメソ泣き、男→女はひたすら楽観的でがさつというわかりやすさ」
「いしださんのデビュー作。いしださんのフェミニンな雰囲気と男女逆転が見事にはまりました。その後、いしださんを中心とした中性的な美少年のフェミ男ブームが巻き起こったほど。観月さんもガニ股で自分の胸を揉むなど、コメディエンヌとしての才能を開花させていました」
石田ゆり子や永作博美、舘ひろしも
「ほかの入れ替わりものと異なる点は、友美ががんになり、その身体に宿って死を迎えるのは薫の心、という生死をテーマにしたところ。この作品の前年に第2子を43歳で出産したばかりの永作さんが子を思う母を熱演しました。一方の石田さんは子を持たずいつまでも美しいキャリアOLと、お互いが自分の生き方を反映させているかのような役柄で、新境地を開いたように思います」
「こちらは事故が原因で父と娘の人格が入れ替わりました。仲よくなかった父と娘が入れ替わったことでコミュニケーションをとるようになり、互いの年代層の独特の社会を学びながら成長していく物語。
「事故でこの世を去らねばならなくなった主婦(泉)が、死ぬに死に切れずに偶然その場に居合わせた女子高生(宮崎)の身体を借りて地上に舞い降りるというストーリー。
「この2年後、砂羽さんの夫の浮気が報じられて、マジの“夫のカノジョ”を経験した鈴木さんには黒歴史に。敗因としてはタイトルから不倫モノと誤解されたこと。39歳の主婦と20歳のOLが入れ替わってもそこまで大きなギャップはないっていうこと。やはり入れ替わりドラマは男女逆転や、親子逆転などギャップが大きければ大きいほど面白い、と痛感しましたね」
入れ替わりはギャップが大事!?
「虐待をやめない親、非行をやめない悪ガキ、頭の固いお役所、窮地に陥った子どもたちなどさまざまな問題を2人で解決していく痛快エンターテイメントに仕上がっています。なぜか親分(入れ替わり後の松田翔太)がみんなのヒーローとなっていくさまが面白かった。入れ替わりドラマに無限の可能性を感じました」
「篠原さんはこの後、『光とともに…』で自閉症の子どもを持つ親を好演。コメディーからの脱却に成功しました。翌年には『anego』(いずれも日本テレビ系)が大ヒット。一躍主演女優に。宮藤官九郎さんは'06年にも斉藤由貴さん主演の『吾輩は主婦である』(TBS系)で、主婦が夏目漱石の魂と入れ替わるという昼ドラを描いています。ギャラクシー賞を受賞するなど隠れた名作です!」
「46歳で脳出血のため過労死した百貨店の課長・椿山(船越)は現世に強い未練を残し初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で現世に逆走されるというファンタジー。映画版だと西田敏行さんと伊東美咲さんで大ヒットしました」
「母娘が互いの人生を体験し向き合っていく姿を描きました。太鳳ちゃんのお相手役は中川大志くん。田中さんが制作発表時に“入れ替わりの役はやってみたかった”と目をキラキラさせていました」
「なんといってもコワモテ総理大臣とおバカ大学生という最大のギャップ! 主演2人の振り切った演技が抜群でした。政治にまったく興味のない翔が国会答弁に苦労する様子や、泰山が就職活動で面接官を偉そうに論破してしまうシーンなどは爆笑もの。また、高橋一生さんが演じた総理大臣のクールな秘書・貝原役が人気でスピンオフ作品も生まれ、出世作となりました」
「入れ替わりに主演した俳優さんって必ず売れるんですよね。それは振り幅の大きい演技ができるからだと思います」(同)