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《人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することの出来ない職務上著しく不適任な言動があったため、(中略)株式会社吉野家取締役から解任しました》(吉野家公式ホームページより)
「田舎から出てきた右も左もわからない若い女の子を無垢、生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、絶対に(牛丼を)食べない」
若い従業員が働いていたほうがいい
「(アルバイト契約の)更新回数上限は、若い従業員が働いていたほうがいいからです。私もそうだが、店に若い人が働いていれば、“ああ、また新しい子が入ったんだな”とか目新しさを求めて店に入ります。うちの客には、サラリーマンが仕事の合間に利用する人が多いので、そういう人のニーズでもあります。そうやって従業員が変わったほうが客に店として目新しさを与えることができていいですから」
「うちの会社では、“鮮度”って呼んでますけどね。定期的に従業員が入れ替わって若返ったほうがいいんです。これは、うちの社長の基本的な考え方でもあって、従業員が入れ替わらないとその店の新鮮度が落ちると言っています」
「会社としての利益は、そうやって従業員を入れ替えるほうにメリットがあります」
「原告は当時29歳の女性で、『ベローチェ』千葉店に勤務していました。原告が不当な雇い止めを受けたことから、運営会社である株式会社シャノアールに対して、雇い止め無効、未払い賃金、精神的慰謝料の支払いを求め、東京地裁に提訴した事案となります」(三浦弁護士、以下同)
「雇い止めされるまで、3か月間の労働契約を19回更新し、4年11か月もの間働いてきたこと、店舗で唯一の正社員である店長が不在の場合には、『時間帯責任者』として店長に代わって店舗を管理しており、その業務は店舗の根幹かつ恒常的であること、また契約更新手続きが形骸化していたこと、組合と会社間で“原告については上限なく契約更新することの合意”がなされたことなどから、労働契約法19条1号または2号に該当すると主張しました」
“鮮度が落ちる”発言は企業の本音か
「“鮮度が落ちる”という趣旨の発言は、ベローチェ側の“本音”としか考えようがありませんでした。原告の女性は、“大好きなお店だから働き続けてきました。なのに、辞めさせる理由として『鮮度』という言葉を使って、魚や野菜のようにモノ扱いされ、人としての価値まで奪われました……と涙ながらに話しました。
また、“ただ4年で人を使い捨てにするだけではなく、女性をモノ扱いし、年齢を重ねた女は、必要ないと言われたことが、私に裁判を決意させる決め手となりました”とも語っています」
「東京地裁は、“鮮度”発言について、“相当性を欠くきらいはあるとはするものの、交渉の際の一部の言動をとらえて不法行為の成否を判断すべきではない、人格を傷つける意図があったことを認めるに足りる証拠がない”などとして、違法な発言とまでは評価できないと不法行為責任を否定しました。あのような発言は、文脈や経緯はどうであれ、原告の人格や存在そのものを侮蔑するものであり、法的に違法とまでは評価できないとの判断は、著しく公平さを欠く判断と言わざるをえませんでした」
「原審(編集部注・その裁判の1つ前の段階で訴訟を審理した裁判)が労契法19条2号該当性を否定したことには問題があると考えている」
「ベローチェ側による女性に対する一定の解決金の支払いは、雇い止めおよび鮮度発言について会社が責任を認めたも同然であり、また、原告となった女性も“尊厳が回復されたと感じている。勝利に近い和解だった”と話しており、勝利的和解といえるものだと考えております」
「当該の件で訴訟があったことは事実です。すでに当事者間での和解が成立しており、和解内容については守秘義務を課せられているため、回答は致しかねます。現在は、6か月有期契約となっており、契約更新の上限は設けておりません」