70歳の人気ブロガー紫苑さん
「年金だけじゃとても暮らしていけない……!」そんな声をよそに、月に5万円の年金だけで毎日を楽しく生きる女性がいる。食費は月1万円。余ったお金は貯金にまわし、総額は200万円にも。話題の人気ブロガー女性の「おひとりさま節約生活」に密着!
楽しい節約でムリなく貯める!
「食費をきっちり節約し始めたのは、コロナ禍がきっかけです。外食することもなくなったので、自炊でどこまで食費を抑えられるか、実験的に始めてみました。食費がどんどん減っていくことがゲームみたいに楽しくなって、今ではすっかり節約にハマっています」(紫苑さん、以下同)
「若いときより元気かもしれません(笑)。以前は子どもが好きなから揚げやパスタなど、がっつり系の食事が多かったのですが、子どもも自立して今は自分のためだけに食事を作れるようになりました。健康に気を使えますし、食費も以前の半分以下になって貯金も増えたんです」
「月5万円というあまり余裕のない年金生活は開始当初はとても不安でしたが、食費1万円台でもやっていけることがわかったので不安は少なくなりました。決して余裕のある生活ではありませんが、工夫たっぷりの節約暮らしは楽しいですよ」と微笑む。そんな紫苑さんの詳しい月の収支と“食費1万円生活”の秘訣を紹介しよう。
■紫苑さんのココがすごい!
・食費は月にたった1万円!「節約食」でも楽しい&おいしい毎日!
・月5万円の年金生活でやりくりし、余ったお金は貯金。その額は5年で約200万円!
■紫苑さんの1か月の収支大公開!(2021年10月)
<収入>
国民年金 49,456円
<支出>
食 費(米代、酒代含) 11,564円
外食費 1,500円
光熱費(水道代含) 7,392円
通信費 7,560円
医療費 600円
交通費 3,000円
雑 費 5,000円
合 計 36,616円
余った12,840円は貯金!
【節約術1】レシピどおりには作らない
「例えばハンバーグを一般的なレシピで作ると結構手間がかかるし高くつく。私は安い鶏ひき肉と脂分の多い合いびき肉に、安くて節約料理に重宝するはんぺんをちゃちゃっと混ぜるだけ。玉ねぎのみじん切りやとき卵、パン粉などは入れません。はんぺんがつなぎの代わりになって、ふわっとした仕上がりになりますよ。タネが余れば冷凍。解凍して家にあるソースやケチャップなどで煮込めば、おいしい煮込みハンバーグになります」
【節約術2】余り野菜はレンチンで干し野菜に
「安売りになっているからといって多めに生鮮食品を買うと、腐らせてしまって無駄になることも。それに、同じものを何日も食べたくないので私は1、2回で使い切る量しか買わないようにしています」
「エリンギ、しめじ、にんじん、ブロッコリー、トマトなどが余った場合は干し野菜にしてストックしています。うまみがグンと増して味噌汁やチャーハンの具など、いろいろ使えるのがいいところ。ただし、ほうれん草などの葉物は向かないので、ジッパー付きの保存袋に入れて早めに使うようにしています」
【節約術3】防災用の食品で手抜きする
「買い置きの食材があればそれを使いますが、ないときは、防災用のツナ缶や板チョコ、シリアルなどの備蓄食を使います。備蓄食は長い間使わないと劣化するので、たまに料理に使って、その分を補充すると、無駄にならないし効率的ですよね」
「貧血予防や鉄分補給のためにレバーを食べたいけど、わざわざスーパーで生レバーを買って調理するのは面倒ですし、食べ切れない場合も。だから焼き鳥のレバーを買ってどんぶりの材料にします。効率的で無駄がないのでおすすめです」
【節約術4】讃岐うどんと比べて無駄買いなくす
「買い物のときに、いちいちこれはうどん何杯分かを考えると無駄買いが減りそうですよね。ぜひまねしたい節約ワザです」
■紫苑さんの節約参考本はコレ!
・『激せまキッチンで楽ウマごはん』草野かおる著(ぴあ)
「手間暇かけず、パパッと簡単に作れる料理のレシピがいっぱい載っています。ヘルシーでコスパがいいので、とても役に立っています」
・『OKUDAIRA BASE 自分を楽しむ衣食住』奥平眞司著(誠文堂新光社)
「少ない生活費で暮らす知恵がいっぱい詰まっています。こんな若い男性でもこれだけ節約して楽しく生活できているのだから、自分にもできるはずと思って参考にしています」
【節約術5】賞味期限切れショップを大活用!
「賞味期限というのはおいしく食べられる期限なので、過ぎるとすぐに食べられなくなるわけではありません。といいつつ、私は生鮮食料品は買いませんが、パスタやオリーブオイル、サバ缶やトマト缶、またパンを作るための小麦粉など、保存がきくものを主に購入しています」
【節約術6】“欲望の波"は10分で引く
「私の場合は10分くらいたつと“欲望の波”がさっと引いて、必要か不要か冷静に判断できるようになります。大波がくるけど、そのうち引いていくイメージで、私はこれを『欲望の引き潮』と呼んでいます(笑)」
【節約術7】100均アイテムを使い倒す
「よく選ぶのは丈夫で長く使えて便利なものが多いです。かわいいゴミ袋や吸水性のいいスプーンなど、ちょっとしたものを工夫して使うととても役立つのでおすすめ。コスパがいいと思えば、100円のものだけでなく、300円や500円のものも買いますよ。100均は商品の入れ替えが早いのでまめに棚をチェックするようにしています」
■紫苑さんのヘビーユース100均アイテムベスト4
「紙の袋は、キッチンのシンクの中で生ゴミを入れる防水加工のもの。絵柄が可愛いので気に入ってます。内側にビニール袋を入れて汚れないようにすれば何度か使えます。グリル皿は肉や海鮮とオリーブオイルを入れてオーブンにかければ、アヒージョの完成。そのまま食卓へ出せるスグレモノです」
「珪藻土のスプーンはよく水分を吸うので、調味料をストックしているボトルに入れておくと、いつも粉がサラサラです。アルミ製の箱型飯ごうのメスティンは、中に網と桜チップなどを敷き、肉や魚、チーズなどを入れて直火にかけると本格的なスモーク料理もできるんです。これは500円しましたが、コスパは最高です」
【節約術8】洋服はリメイクして長く楽しむ
「買ったとしてもリーズナブルな古着ぐらい。下のコートはベルトを締めてワンピースとして着てもいいし、インナーの上に羽織って、アウターとして着てもいいですよね。着回しの利くものを重宝しています。これはもともと紺一色だったので、襟部分をチェックの布に付け替えてリメイクし、可愛いテイストをプラスしました。ちょっと甘いテイストが好きなんです」
「もともと針仕事が大好き。集中してやっていると雑念を忘れられるので、気分もスッキリします。仕上がった服を着て写真を撮ったり、散歩に出かけたりすると気分も上がります。お金を使わなくても自分好みのおしゃれはできますよね」
【節約術9】不用な服をフリマで現金化
「よく売れるのは着物関係です。以前たくさん買った着物や帯をフリマに出しているのですが、いちばん高い値がついたのは、ある有名女優さんが使っていたものと同じ花帯。なんと5万円にもなりました! それ以外にも、自分で作った帯が7千円ほどに。洋服は千円ぐらいにしかなりませんが、自分が着なくなったものが誰かの役に立ち、さらにお金になるのはうれしいですよね」
【節約術10】格安DIYでインテリアを気軽にチェンジ
「100均で売っているものを使ってインテリアを自分で作ることもできます。家の中を整理整頓しつつ、あまりお金をかけずに部屋を自分好みに変えていきたいですね」
紫苑さん
ブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」が人気の70歳、一般女性。30代で離婚し、1男1女を女手ひとつで育てたフリーライター。子どもたちが結婚したことで都内に一軒家を購入し、快適なおひとりさま生活をエンジョイ中。
(取材・文/東野りか)