松坂桃李(2019年) 撮影/廣瀬靖士
「あんまり早いとも感じなかったかな(笑)」
「20代前半はあっという間だったんです。というのも、本当にがむしゃらで。事務所もこの松坂という男を売り出さなきゃいけないし、僕自身もこの仕事を続けていくためにはそうである必要があった。オーディションを受けたり、映画に出たり、やることすべてが初めてのことだらけでしたね」
「30歳を過ぎてもこの仕事を続けていくためには、どういう仕事を選んでいったらいいかというのを、マネージャーさんと話して。がむしゃらとはちょっと違う頑張り方をして、みなさんが抱いてくださってるイメージとは相反することにあえて挑戦しようと。なかなかハードな作品だったりもしましたが(笑)。そういうのも加味したうえで、20代後半は長くて、とても濃厚だったように思います」
「年齢が上がるにつれて、演じる役も変わってきて。結婚している役、不倫相手の役なんかもやりました。どんな役でもちゃんとやれるように、視野を広げていきたいですね。例えば、僕は父親ではないけど、お父さんの役をやっても違和感がないように、説得力も欲しいし、役へのなじみ方も学ばなきゃいけない。そういった積み重ねが40代、50代へとつながっていくんだと思います」
難しいけど、楽しい!
「声のお仕事は、自分の中で想像力をふくらませることが重要なんだなと。今回は絵が完成していない状態で声を入れたので、いかに監督が想像する世界観にフィットした声が出せるか、探っていく作業が難しかったです。でも逆に言えば真っ白なぶん、可能性は無限大! 楽しさ、やりがいもありましたね」
人間の役でよかった(笑)
「今回、映画『HELLO WORLD』で声優をやらせていただきました。僕がクマの声を務めた『パディントン』を見て、監督がオファーをくださったそうなんです。最初は“何かの間違いでは……”と思ったんですが、ちゃんと人間の役だったので安心しました(笑)」
昔の僕に言いたいこと
「今回は10年前の自分に会いに行く役の声を演じましたが、僕の10年前といえば、とあるバラエティー番組のMCをやらせていただいていて。“俳優がやりたいのに、なんで……”と悩んだ時期もありました。でも当時の自分にちゃんと伝えたい。『それもいい時間なんだぞ!』って。演じることだけが俳優じゃない。結局僕は1年で卒業しましたが、今思えばとてもいい経験だったと思います」
初映画の思い出は……
「僕の初めての映画出演は、向井理さん主演の『僕たちは世界を変えることができない。』でした。カンボジアでの撮影で、しかもそれが人生初の海外。向井さん以外にも、柄本佑さん、窪田正孝くんがいて、男4人の中に一体感が生まれていって。いま思うとすごいメンバーですよね! そのとき、映画の楽しさというものを実感して。そう思えたのは幸せだったなと。いまでも忘れられない思い出です」
モテ期、到来!?
「高校2年生くらいのころかな。僕、他校の子とお付き合いをしていたんですが、同じ学校のほかのクラスの子から連絡先を聞かれたり、下校中に声をかけられたりすることが何度かあって。これがモテ期か! と(笑)。廊下を歩いていても“あ、いた!”って言われたりするのはまだいいんですが、“ああいうパン食べるんだ~”みたいな(笑)。動物園のパンダになったような気分で、ちょっと恥ずかしかったです」
映画『HELLO WORLD ハロー・ワールド』
9月20日(金)全国東宝系にて公開
京都に暮らす男子高生・直実(北村匠海)の前に、10年後の未来からやってきた自分・ナオミ(松坂桃李)が突然、現れる。ナオミは過去の自分に、「今日から3か月後に一行瑠璃(浜辺美波)と恋人同士になる」と告げ──。