「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
婚約指輪を披露する福原愛(左・2016年)と谷亮子(右・2003年)
第53回 福原愛
「アピール大好き」は大成するのに必要な能力
『女性セブン』発売と同日、『週刊文春』は愛ちゃんが夫である卓球元台湾代表・江宏傑との離婚を決意していること、原因は夫からのモラハラや姑、小姑との関係悪化と報じています。国際結婚ということもあり、いろいろと難しい点もあるのでしょうが、モラハラがあったからといって不倫をしていいことにはなりません。この記事で愛ちゃんの好感度が戻ると私は思いません。
「見られる」ことを楽しむ女性アスリートと言うと、思い浮かぶのが元柔道日本代表、谷亮子(以下、リョーコ)です。日本のお家芸・柔道が低迷していたときに現れた天才少女・リョーコは、世界選手権で7連覇、2000年のアテネ五輪、2004年のシドニー五輪で金メダルを獲得して、日本中を沸かせました。当然、メディアは彼女を追いかけます。リョーコの成人式に密着した番組を見た記憶がありますが、嫌がっているような感じはしませんでしたし、自分から恋愛の話をするなどサービス精神も豊富でした。
「オリンピックには魔物がいる」とよく言われます。想像できない番狂わせが起きることから、こんな言われ方をするのでしょうが、こういうプレッシャーの強い環境においては、強い精神力が求められるでしょう。その際に「見られる」ことが好きな性質はプラスに働くのではないでしょうか。観客もしくは国民が自分を見ている、応援してくれると思うからこそ、実力以上の力が出せるのだと思うのです。
結婚後、リョーコは「嫌いな女」1位に
リョーコは自分を見せる能力にも優れています。多くのアスリートがマスコミの質問に対し、「そうですね」「頑張ります」くらいしか言わないのに対し、彼女は「最高でも金、最低でも金」「田村で金、谷でも金、ママになっても金」というように、スポーツ紙の見出しとして、そのまま使えそうなキャッチコピーを自分で提供していました。“ひとり電通”とでもいいましょうか、自分に注目が集まるように仕向け、「見られる」ことを自分のエネルギーにし、実際に結果を出すという偉業をやってのけるのです。
愛ちゃんのこれまでのやり方は通用しない
「見られる」ということに関しては、リョーコより愛ちゃんのほうが場数を踏んでいると言えるでしょう。愛ちゃんは4歳くらいのころから、「卓球の天才少女」としてワイドショーやバラエティー番組でちょくちょく見かけました。「オリンピックを目指している」と公言し、大人顔負けの腕を披露しますが、負けそうになったり、実際に負けると泣いてしまう。そんな姿がかわいくてウケたのだと思いますが、人に見られることに慣れたことが関係したのか、愛ちゃんは2008年の『FRIDAY』にテニスの錦織圭選手との路チューを撮られたりもしています。
『週刊女性PRIME』は3月10日配信記事で、《福原愛、“台湾限定”発売のエッセイに書かれていた「離婚したがる理由」のすべて》、『女性自身』は3月9日配信記事で《福原愛 夫の帰国要請を拒否!親権失う可能性浮上も離婚決意か》と離婚は不可避のように報じるメディアは多いようです。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」