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「平成に入ると、候補名に奇抜なものが少しずつ見られるようになりましたが、それでも100に1つくらい。ところが、いまや候補名の3割は奇抜ですね」
キラキラネーム、実は昔からこんなにいた!
「これらの名前の難点は指摘したので、実際にはつけられていないと思います。また、挙げたもののすべてが絶対タブーというわけでもありません」
(1) 間違った読み方
(2) 読み方は正しいが、あまりに奇抜
(3)外国の言葉を無理やり、漢字にした名前
(4)意味と読みを混同した間違った読み方
「そもそもキラキラネームは、名づけの新しい流れだと思っている人が多いんですが、実は昔もありました。大正・昭和初期までは、キラキラネームは多かったんです。意外でしょ? もちろん、ランキングに入るほどの数ではありませんが」
「杏双(あんぬ)、於菟(おと)、真章(まくす)、半子(はんす)、不律、茉莉、類です。そして与謝野晶子の子どもも、八峰(やつね)、エレンヌ、麟、宇智子、アウギュスト。現在のキラキラネームとまったく変わりませんよね」
昔はどんな奇抜な名前でも支障はなかった
「これでも、ごくごく一部です。ただ、昔は奇抜な名前をつけても、周りがそれほどまねしなかったので、あくまでマイナーな名前でいられたんです」
「むしろ、都会に働きに出るほうが少数派。だから、自分の村で暮らしていくぶんには、どんな奇抜な名前でも、支障はなかったんです。コミュニティーが小さいうえ、何十年も同じ人と付き合っていく。だから、みんながその名前を覚えてくれたんです」
「名前の原則は、1人ひとつ。誕生して14日以内に出生届を役所に提出します。現在、名前に使用できる漢字は2999文字と決まっています。その範囲の字が使われ、空欄がなく、捺印されていれば、窓口で受理されます」
「名前の漢字の読み方は、法律の定めがありません。そのため、“どう読ませようと親の自由だ!”とおっしゃる方もいますが、文字は社会の共有物。読み方の約束があるからこそ機能を果たすもので、個人が勝手に作り出すものではないはずなんです」
「軽はずみに変えられないよう、法律で厳しく定められています。本人が15歳になって、“正当事由”があれば裁判所に申し立てができます。それを認めるかどうかは、裁判所の判断になります」
(出典:日本人の名まえ、名前の読み方辞典、明解名づけ辞典、名乗辞典)
《PROFILE》
牧野恭仁雄さん ◎命名研究家。30年以上にわたり、12万人以上の名づけ相談に乗ってきたスペシャリスト。『幸せの扉をひらく赤ちゃんの名前辞典』(朝日新聞出版)など著書多数