サザンオールスターズの桑田佳祐
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サザン好きな曲ランキング
「音楽に興味を持った10代のころに流行っていて、初めて買ったCDがこの曲でした」(神奈川県 32歳男性 フリーター)
「サザンの中でエロがなく、歌っても聴いても心に響く曲。ほかの曲も好きだけど、この曲が一番好き」(青森県 37歳女性 会社員)
「カラオケで合唱するようにみんなで歌うと盛り上がります」(神奈川県 41歳男性 会社員)
「当時付き合っていた彼氏とドライブのときによく聴いていました」(東京都 51歳女性 会社員)
「彼らがデビューした'70年代後半から'80年代あたりを知らない30代の層には、大ヒットした『TSUNAMI』がサザンの代表曲になるのでしょう」
「ドラマ『ふぞろいの林檎たち』でここぞ、というときに流れるこの曲の印象が強いです」(東京都 49歳女性 専業主婦)
「初めて聴いたときからメロディーが耳から離れず、ファンになったきっかけの曲です。ずっとファンだけど、この曲を超える曲はまだありません」(北海道 52歳男性 公務員)
「リアルタイムでは知らなかったけど、“懐かしのメロディー”みたいな番組で初めて聴いて、いい曲だなと思いました」(大阪府 34歳女性 パート)
「コンサートで最高に盛り上がる曲。40年以上たっているとは思えないパワーがある」(大阪府 54歳男性 会社員)
「カラオケで“今何時!”とみんなで騒げる。歌っていて楽しい」(埼玉県 57歳女性 専業主婦)
「初めて聴いたとき、衝撃的だった。何を言っているのかわからなかったけど、耳に残るメロディー、軽妙な感覚にハマりました」(神奈川県 59歳女性 専業主婦)
「'78年から'79年は『勝手にシンドバッド』『いとしのエリー』で、サザンが日本の音楽シーンに新しい風を吹かせた時期なんです。
この2曲は1枚目と3枚目のシングルですが、対極的な作品です。『勝手にシンドバッド』ではジョギングパンツで大騒ぎしながら走り回って歌っていた兄ちゃんが、ビートルズのようにメロディアスないい曲を書いた。どちらも衝撃でしたよ」
「確かに歌詞の内容もわかるようなわからないようなものが多いです。胸さわぎする腰つきって、どんなだよ、と僕もいまだにわかりません(笑)。でも、曲の2番で江ノ島が見えてきて、自分の家も近くなる、というくだりがありますよね。あの表現が、桑田佳祐のセンチメンタリズムなんです。
光景が浮かんでくるじゃないですか。僕は大阪出身で江ノ島を見たことがなかったんですけど、あの歌詞を聴いたとき、大阪湾の向こうに江ノ島が見えました(笑)」
「サザン20周年のコンサートの1曲目がこの曲。それですごく印象に残っています」(愛知県 39歳女性 会社員)
「当時、好きだった人と映画館で一緒に映画を見ながら聴いた曲です」(北海道 42歳男性 会社員)
「キーボードの原坊が出産のために、'86年4月にサザンは1年間の活動休止に入りました。僕はそれ以前を“初期サザン”と呼んでいます。実験的でラジカルな楽曲を多数出しました。それ以降は日本を代表するバンドになったので“メガサザン”。
『希望の轍』は'90年の発表ですが、“初期サザン”の薫りがするんです。『勝手にシンドバッド』『いとしのエリー』が野球の打順でいうところの3番バッター、4番バッターなら、『希望の轍』は5番、6番。“いぶし銀”のような存在です。
「平成最後の『紅白』で大トリをつとめ、『希望の轍』『勝手にシンドバッド』と2曲演奏されました。もはや国民的愛唱歌と言ってもおかしくない『勝手にシンドバッド』に並んだということで、この曲がどれだけの力を持っているかがわかりますよね」
「ものすごいタイトルと歌詞だな、とインパクトがあったことを覚えています」(熊本県 42歳男性 自営業)
「この曲をカラオケで歌うたびに爆笑が起こります」(東京都 49歳男性 会社員)
「エロを歌うことを目的としているというより、洋楽はもっとエロいじゃない?というのが桑田さんの中にあるのだと思います。
もともと彼のベースは洋楽。日本語だと歌謡曲はもちろん、ロックでもセックスを直接的に歌うことがほとんどなかった。そういう部分でも日本のロックの歌詞の領域を広げたいという意志があると思います」(スージーさん)
歌詞に隠された思い
「『夕方 HOLD ON ME』('84年)は“夕方”と“You've gotta”で韻を踏んでいます。同じアルバムに入っている『JAPANEGGAE』('84年)では英語の発音を無理やり日本語にして、“I could never”を“愛苦ねば”と置き換えたり。“初期サザン”のこういった実験的な試みが面白いんです。これも桑田さんの英語に対する妬み、憧れの現れなのかも。
「1曲あげて、と言われたら僕は『メロディ(Melody)』('85年)ですね。個人的に自分の浪人時代という屈折した時代に聴いていたということが理由なのですが(笑)。この曲に続くのは……『ピースとハイライト』('13年)かな。歌詞については炎上したりしましたけど、ああいうあっけらかんとしたメッセージソングが大好きなんです。
「国民的バンドでい続けられる理由は、桑田さん自身の中に内包されている、大衆の前で道化として振る舞う自分が好きということかなと。僕はこれが彼の“業”だと思っているんですけど。マニアックなことでなく、1億人の前で全員を喜ばせたいという気持ちが強いのでしょう。
「そこにエロとか、コミックソングとかメッセージソングといった違うタイプの曲がそれぞれのアルバムに山ほどあります。2段構造になっているんですよ。この両輪の回し方が実にうまいんです。サザンが売れ続けているのは、桑田さんの大衆性と、狂気といったふたつの輪がバランスよく回っているから。
PROFILE●スージー鈴木(すーじーすずき)●音楽評論家、小説家、野球評論家。『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『恋するラジオ』(ブックマン社)など著書多数。近著に桑田佳祐の歌詞の世界に迫った『桑田佳祐論』(新潮新書)がある。
(取材・文/蒔田 稔)