城田優 撮影/佐藤靖彦
「今年6~7月に出演していたミュージカル『ピピン』のために身体づくりをしたんです。それで自然体でありながら、お見せできる身体に仕上がっていたことも大きいですね。ありのままの城田優を見せたかったので、メイク前の無精ヒゲ姿などオン・オフ関係なく撮っていただきました」
ハーフで“区別”された過去
「小さなころは外国人やハーフが珍しかったこともあり、同級生などからは残酷な言葉を投げかけられることも多かったです。13歳でこの世界に入ってオーディションを受けるようになってから、再び同じような言葉を投げかけられる機会が増えて。
今のようにコンプライアンスへの意識が高い時代ではないから、僕の容姿について否定する大人ばかりで……。もともとネガティブな性格ということもあり、傷ついては泣いて帰る日々が続きました」
「物心ついたころからテレビに出たりお芝居をするビジョンしか思い描けなかったんです。何の根拠もないのに(笑)。だから夢をあきらめるという選択肢は考えたことはなかったけど、家族やスタッフの応援がなければ、挫折していたかも。
事務所のスタッフさんが、“必ずハーフの時代が来るよ”と励まし続けてくれたことは、かなり支えになりました」
「それまでは名前も出ないようなチラシのモデルやエキストラのお仕事ばかりだったので、初めて城田優として出演させてもらうお仕事ができたことが本当にうれしかったですね。ミュージカル俳優としてのスタートでもあるので、今の僕の原点といっても過言ではありません。
毎回、生でお客さんの前でお芝居をするのはプレッシャーもあるけど、それ以上にワクワク、ドキドキします」
「海外に比べると、作り手も演じる側も努力が足りないのでは? と思う作品もありますね。見る側であるお客さんもそれでいいと許してしまっているように感じることもあって。お客さまの厳しい目がないと、そのジャンルは成熟していかないと個人的には思っています。
最近は演出も担当させていただいていますが、決して安くはないチケット代をお支払いいただいているので、お支払いいただいた以上に満足のいくものを提供すべきと思っています。自分がかかわる作品に関してはぬるま湯にならないように気をつけています」
城田が大事にする“オンとオフ”
「エンターテイナーという仕事は刺激がなければ何も生まれないと思っています。家でボーッと過ごしているだけの人に、ステージに出て派手なことをやれと言っても無理。携帯電話も充電器に差さず、放置していたら電池がなくなって使えなくなるのと一緒。美味しいものを食べたり、人としゃべったり、恋したり失恋したり、笑ったり泣いたり……。
私生活でのさまざまな経験が芝居に生かされると思います。今回、登場してくれた仲間から受ける刺激は多いし、公私ともに仲よくできる人は少ないので貴重な存在です」
「お仕事をいただけるようになってからも立ち止まったこともあったし、走ってみたり迷ったり、暗闇の中をさまよったような状態もありました。この20周年のタイミングで改めて自分を見つめ直してみたんです。ありがたいことではあるのですが、若いころは忙しすぎて“バグ”が起きてしまい、人間として機能していなかった時期があったなと。
そのころは自分の感情を殺さないと、仕事がこなせなかった。器用な人なら同時にいろんな仕事もこなせるんでしょうが、僕には無理だなと痛感したので、30歳を過ぎたタイミングで事務所ともお話をして、自分に合ったペースで仕事をさせてもらうことにしたんです。無理をするのが、不健康のもとだとようやく気づきましたね」
「すべてをさらけ出しました(笑)。ひとりのエンターテイナーが成長していく過程が詰まっているので、ファン以外の方にも読んでもらえたらうれしいですね」
城田優 ソロ写真集
『SonadorYuShirota20thAnniversaryBook』(主婦と生活社)4909円(税抜)(※Sonadorの「n」は正式にはnにティルデを付けたスペイン語エニェ)