昭和から平成に発売された、懐かしいシャンプー&リンスの数々
「朝シャンブームを受けて、'80年代、'90年代には個性豊かな楽しいシャンプーがあふれていました。パステルカラーにポップな書体、青リンゴやレモンなどフルーツの香り……'80年代に小学校高学年だった私は、思い出すたびキュンキュンします!」と語るのは昭和レトロの世界をイラストとともに発信するトロッコさん。
「中身は変わり、ボトルも昭和の面影はなく寂しいです」
あのころのシャンプーを振り返る
「1984年にライオンから発売された『フルーツシャワー』は本当にもう一度使いたいです。色鮮やかなシャンプーの中に、いい香りのつぶつぶが入っていて、使い心地も楽しく、小学生だった私も見事に子ども心をつかまれて。髪を洗うだけでは飽き足らず、つぶつぶを湯船に浮かべて入浴剤代わりにも(笑)。ロゴもかわいくすべてが最高!」(トロッコさん、以下同)
『フルーツシャワー』とほぼ同時期に発売された花王『ピュアシャンプー』もカラフルなボトルが鮮烈だった。
「ピンクやパープルなどのボトルで、今までのシャンプーにない色み。当時、松田聖子さんが「ピュアピュアリップ♪」と歌う『Rock'n Rouge』という曲も流行し、当時の女子たちは『ピュア』を目指してこのシャンプーを使ったのではないでしょうか」
「『ティモテ〜ティモテ〜♪』というCMソングを覚えている方も多いのでは」
CMも話題になった個性派シャンプーたち
「早見優さんのCMを記憶している人が多いと思いますが、短期間であるものの中森明菜さんバージョンもありましたよね。当時、私は思春期で、もし買ったら父親に“大人ぶっている”と思われそうで恥ずかしいから(笑)、一度も使わず、でもずっと気になっていました」
「キョンキョンこと小泉今日子さんが出ていた資生堂の『スーパーマイルド』のCMを見たときは“シックで素敵なパッケージ!”と感動。当時はファッションもモノトーンや紺ブレ(紺のブレザー)などシックなものが流行していて、時代の気分にマッチ」
「CMのセリフで“それでも毎日シャンプーしてるんだな”というのがあって。洗いすぎると傷むと思ってシャンプーは数日おきだった人も、毎日するもんなんだ!って思ったのではないでしょうか」
「テレビ番組で、山田邦子さんがモノマネする『ちゃんりんしゃん』が話題を呼んだことで、さらに大ヒットした記憶も」
「ボトルがブルーの『海の恵み』と、オレンジの『太陽の恵み』のどちらにするか迷いました。リゾートを思わせる香りで洗うのが気持ちよかった」
「細長いボトルにシンプルな書体のロゴと、化粧品のような洗練されたパッケージで、コロンをつけたようないい香り。ジューシー・ジューシー、フローズン・ブルーなど新しい香りが続々と増え、買う楽しみも増しました」
昭和レトロな懐かしシャンプー
「幼稚園くらいのころに家にありました。ボトルデザインは昭和レトロを絵に描いたようなロゴや、丸っこい形。レモンイエロー、深いクリアグリーンなど独特な色合い。今思い出してもめちゃめちゃかわいい! お中元などでもらう箱詰セットも素敵でした」
「CMによる宣伝の量が格段に違います。当時は多くのシャンプーのCMが流されており、それが情報源でした。新発売のものがあれば気になってお店に行ったり、CMの世界観から選ぶ楽しみも」
「昔はCMやパッケージの世界観や香りに酔いしれながら、髪と頭皮の洗浄よりも、シャンプーという行為自体を楽しんでいた気がします。また“シャンプーを楽しみたい!”と思わせてくれるような製品に出会いたいですね。科学が進歩した今なら、『フルーツシャワー』のようなエンタメ性に、ヘアケア機能も兼ね備えたスペシャルなシャンプーができるのでは!」
トロッコさんセレクト! 懐かしシャンプー10選
(1)バスボン 資生堂/1974年
(2)恋コロン、髪にもコロン、ヘアコロンシャンプー 資生堂/1982年
(3)ピュアシャンプー 花王/1983年
(4)フルーツシャワー ライオン/1984年
(5)ティモテ ユニリーバ/1985年
(6)ソフトインワン ライオン/1989年
「忙しいときもちゃんとケアできるリンスインシャンプー」として今もなお30年以上のロングセラー
(7)スーパーマイルド 資生堂/1988年
(8)ティセラ 資生堂/1995年
(9)マシェリ 資生堂/1996年
「シャンプーするだけで透明ヘアマニキュア効果」のコンセプトが、染色で傷んだ髪も優しく洗い上げる
(10)海の恵み・太陽の恵みのリンスで洗うシャンプー 資生堂/1996年
『海の恵み』はマリン系、『太陽の恵み』はシトラスの香り。シリーズのボディソープも人気に
お話を伺ったのは……トロッコさん●昭和レトロなお菓子や日用雑貨などの魅力を伝えるため、商品800点を自作のイラストとともに紹介するブログ(https://retrox.biz/)とYouTube『懐かしむん』を運営。
取材・文/野中真規子