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吾峠呼世晴『鬼滅の刃』1巻(集英社)より
「『鬼滅』は週刊少年ジャンプで'16年から今年の5月まで連載していた少年漫画。作者は本作が連載デビューとなる漫画家の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さん。舞台は大正時代で、炭売りの少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家族を鬼に惨殺され、妹の禰豆子(ねずこ)は一命を取り留めたが鬼になってしまう。妹を人間に戻すために“鬼狩り”の旅に出るというストーリーです」(マンガ誌編集者)
作者のイラストは“メガネをかけたワニ”
「公開から10日間で興行収入が早くも100億円を突破しました。‘01年に公開された『千と千尋の神隠し』が持つ、308億円という日本記録の更新も期待されています」(映画雑誌ライター)
「『鬼滅』のヒットを受けて、一部週刊誌がジャンプ関係者の証言として“作者は女性”“家庭の事情で、長く漫画家として連載活動を継続できない”と報じました。吾峠呼世晴という名前から、てっきり男性が書いていると思った方も多いのではないでしょうか」(前出・マンガ誌編集者)
作者が女性というだけで読まない人もいた
「どの業界もそうだと思いますが、まだ漫画の世界で働く女性が少なかったころの名残ですね」
「ひと昔前は、作者が女性というだけで読まないという人もいましたから、男性のペンネームを用いる女性漫画家は多かったです。また、“漫画の力は低いくせに、ちょっと美人だから仕事が取れている”などという女性蔑視も残念ながらあった時代でした。
『シュート!』の大島司先生、『鋼の錬金術師』の荒川弘先生、『ホイッスル!』の樋口大輔先生、『金田一少年の事件簿』のさとうふみや先生、『レイプ』や『最強ブス〜金も男も世界は私のためにある〜』の坂辺周一先生などは有名です。『モテキ!』の作者である久保ミツロウ先生は自画像を男性っぽく描いていましたが、女性漫画家さんです。
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「逆に、少女漫画や女性漫画、ハーレクインなど、女性がメインの読者層の雑誌では、“女性の描写は女性しかできない”という見方が影響しているのか、わざわざ男性のペンネームにする女性漫画家はほとんどいません。
例外として、先ほどの坂辺周一先生はその名の通り『レイプ』という漫画が実写化もされて大ヒットしましたが、そういう女性漫画家さんもいます」
ジェンダーレスのペンネームも多くなってきた
「ジェンダーレスの世の中になり、男と女の二元論自体が時代遅れという傾向にはなっています。そもそも、男性か女性かよくわからないペンネームも多くなってきました。『クール教信者』『天原』『Tiv』『知るかばかうどん』などなど、枚挙に暇がありません。この傾向は今後、ますます強まっていくと思われます。インパクトが強いペンネーム、覚えやすいペンネーム、そして何よりSNSで検索されやすいペンネームが好まれていくでしょう」
「SNSは人間を透化させる機能がありますから、さらけ出している部分が多ければ多いほど、好感度は上がっていきます。美人の女性漫画家さんに至っては、それだけでSNSのフォロワー数も増加しますし、複雑な世の中になってきました。
太田ぐいや
漫画原作者、脚本家、構成作家。原作や原案を手掛ける現在連載中の漫画は『私には5人の毒親がいる』(漫画・樹生ナト/秋田書店)、『ばくおん!! 台湾編』(漫画・おりもとみまな/秋田書店)、『そば屋幻庵』(漫画・かどたひろし/リイド社)、『余命一年のAV女優』(漫画・玉越博幸/小学館)など。