どれだけ覚えてる?昭和平成「懐かしお菓子」
お菓子でも「昭和・平成レトロ」ブーム
「昭和のお菓子が今のZ世代の人たちにも愛されるというのは本当にすごいことですよね。味がおいしいのはもちろんですが、パッケージデザインや手に取ったときの感覚など、どこかで懐かしさを感じて惹かれてしまうというのは、『クイッククエンチ-Cガム』だけでなく、いろんな昭和のお菓子にも共通する“懐かしお菓子”の魅力ですね」
「懐かしお菓子と聞いてまず思い出すのは、森永製菓の『ぬ~ぼ~』ですね。エアインチョコレートという、空気を含んだ軽いチョコレートをモナカで包んだ画期的な商品です。商品名の響きや、ゆるキャラのようなオリジナルキャラクターも相まってやさしいイメージがあり、特別な魅力を覚えましたね」(松林さん、以下同)
「外国のタバコのような高級感のあるパッケージで、上質な原料を用いて洗練された風味のチョコレート自体も、外見に劣らずハイクラス。
「黄金に輝くパッケージを開くと、バラとも金木犀ともいえない花の香りがフワッと漂う“香水ガム”です。今では粒状のガムが主流になりつつありますが、当時は板ガムがほとんどで『イブ』ももちろん板状です。ただし、花の香りのなかにミントの清涼感がある味わいはとても個性的。これを持っているとオシャレという感じもありましたね」
どちらを選ぶか、悩んだことも懐かしい
「私が小さいころは、まん丸の小さなガムが4粒入りで1箱10円と、子どもの味方のような商品でした。現在は当たりつきのお菓子は減りましたが、箱を開けた横のベロ部分に『あたり』の文字があればもう1箱もらえるというのも、ワクワクしましたね。パッケージデザインは現在もほぼ変わらず受け継がれ、最近ではこのデザインのポーチがグッズ化されるなど、変わらぬ人気を誇っています」
「アメも種類が多すぎて、それぞれ“推し”があると思いますが、やっぱり語りたいのは『花のくちづけ』。今なお人気の商品ですが、独特のミルクスモモ味はいつ食べてもどこか懐かしいと感じます。
個包装に366日の誕生花の柄と花言葉が添えられているのも、やっぱり懐かしくレトロな印象ですね。名古屋の春日井製菓さんという会社が作っていますが、懐かしお菓子のなかでも特によく浸透しているのはすごいことですよね」
「こちらもロングセラー商品ですが、コーヒー味のキャンディーというのは斬新な切り口だなと今も思います。リスが登場するテレビCMも印象的でしたね。
「指輪型のキャンディーで、大粒の宝石部分がダイヤモンドのようにカットされたアメ玉になっています。見た目もかわいく、指にはめてペロペロとなめられるという、女の子の憧れが詰まった商品。イチゴサイダーとメロンサイダーの2種類があって、ルビーかエメラルドか……と悩んだ記憶があります(笑)」
語り尽くせないお菓子の世界
「動物型の茶色いクッキーの上に、着色したクッキーで耳や鼻、模様などを表現した立体的なクッキーです。
「商品名の5/8には諸説あって、より食べやすい工夫としてアメリカの成型ポテトチップスのサイズを5/8にしたからという由来や、発売元のエスビー食品の文字『S/B』と『5/8』が似ているからという話まで、いろいろと臆測が飛び、盛り上がりました。調味料などで有名なエスビー食品さんがお菓子を出していたことも、今の人には新鮮に映りますよね」
「ホタテとしょうゆの風味というのが新鮮で、日本人が大好きな味わい。小さなおにぎり形のスナックで、食べやすいというのも人気の秘訣だったように思います。古くからあるおせんべいやあられ、おかきとも違う、ライススナックという新しい地平を切り開いたグリコの研鑽の賜物のような商品ですね」
「実際に食べて楽しむだけでなく、いろんな思い出を語り合うことで“お菓子は楽しい”ということが改めて広がっていくとうれしいですね」
松林さんセレクト!懐かしお菓子10選
『ぬ~ぼ~』森永製菓/1988年
『スプーナ』で開発されたエアインチョコ技術を使用した商品。現在は販売終了。
『5/8チップ』エスビー食品/1979年
社員の「ひと口で食べられるチップスが欲しい」という声をきっかけに誕生。2003年終売。
『イブ』ロッテ/1972年
花の香りが魅力の香水ガム。バラの香りの『ロブ』や、森の香りの『ドナ』も。現在は終売。
『オレンジマーブルガム』丸川製菓/1959年
ソフトな噛み心地の糖衣がけの玉ガムで、いちご味やグレープ味なども。現在も販売中。
『きどりっこ』ブルボン/1984年
立体の動物型クッキー。パッケージなどのリニューアルを行うも、現在は販売を終了。
『ハイクラウンチョコレート』森永製菓/1964年
『ミルクチョコ』『カシューナッツ』『クランチ』の3種類で展開していた。現在は販売終了。
『花のくちづけ』春日井製菓/1984年
ミルクスモモ味のキャンディー。各包装に366日の誕生花と花言葉入り。現在も販売中。
『ライオネスコーヒーキャンディー』ライオン菓子/1964年
余分な甘さや苦みをなくし、スッキリと楽しめる、香り高いコーヒー味。現在も販売中。
『コメッコ』江崎グリコ/1973年
お米の生地を薄くのばして焼き上げたライススナック。現在は小袋タイプのみ販売中。
『ジュエルリング』ロッテ/1979年
アメを宝石に見立てて指輪型に。イチゴサイダーとメロンサイダーの2種類で、既に終売。
お話を聞いたのは……
お菓子勉強家・松林千宏さん
●過去に3度のテレビチャンピオン優勝歴を持つ、自称日本一のお菓子好き。株式会社ローソンの社員でもある。
取材・文/吉信 武