京本政樹 撮影/廣瀬靖士
「“いったん、ひと区切り”という印象を受ける“還暦”という言葉に抵抗があったんです。それで、去年の頭に“完暦を目指して”と表現したら、悲しまれるファンの方がいらっしゃって。(芸能生活を)完成させる、終わらせる暦だと思われたみたいです。違うんですよ、人生を完全な歴史にするための通過点のひとつと考えて“完暦”なんです」
「この30年ほど、生活が全然変わっていないんです。28歳くらいのころかな、スキューバダイビングにハマってね。朝からTボーンステーキを食べて、気にせずに日焼けもした。そうしたら、ファンの方からの手紙に“最近、顔が丸くなってきた”って書いてあって。僕、身長が178センチで体重62キロがベターなんですけど、そのとき65・5キロに。日焼けをしすぎたせいで、時代劇の舞台のメイクもうまくのらない。そんな経験から生活を1日1食にして、日に焼けることもいっさいやめました。暴飲暴食もしないし、アルコールもほとんどなくて平気。あとは、お風呂に入ったみたいで気持ちいいから、よく蒸しタオルでゴシゴシ顔をふくんです。そのあと、氷水でしぼったタオルでしめる。それがいいのかもしれない」
変わらぬ美貌ゆえ悩んだことも
「最初の打ち合わせで“そのままで”と言われても、衣装を着たときに“白髪のウイッグをかぶってください。次は、メガネを。それでも若く見えるからシワ書きますね”と。それは、京本政樹という役者、自分自身を否定されている感じがして」
「1〜2年前は、もう役者としての自分を追求することはやめて、音楽や時代劇をプロデュースする側に専念しようかとも考えていました。それが60歳を目前に映画『翔んで埼玉』(2月22日公開)で伝説の人物・デュークを演じてほしいというお話をいただいたんです。より人物像が出せるのではと、銀髪のロングのかつらをかぶることを提案させていただいたりして。このデュークから始まり、詳しい内容はまだお話しできないんですが、かなりハードなアクション作品も撮影しました。時代って、本当に回るんですね。