冬の乾燥トラブルから頭皮と髪を守る!正しい「お湯シャンプー」でお悩み改善
「空気が乾燥する冬のほうが頭皮にはよくありません。実は、夏場のウエットな環境は頭皮に悪い環境ではないのです。
傷を例に見ても、昔は“乾燥させて治す”とされていましたが、今は“ウエットに保湿する”ほうが傷も早く治りますし、皮膚にもいいという考えが主流です。
一方で、冬の乾燥は皮膚のバリア機能を破壊します。一定の湿度を保たないと、物理的に皮膚外側の表皮がはがれてしまうのです。頭皮も同じように、乾燥によってかゆみやフケが出たり、炎症が起きやすくなり、ばい菌にも感染するおそれがあります」
頭皮に優しいお湯シャンプー
「例えば私は、特に冬になるとフケが多く出る体質です。頭皮にまったく問題がないという人は湯シャンをする必要はありませんが、誰しもが頭皮に何らかの不安を感じているのではないでしょうか。それらを改善してくれるのが湯シャンだと、私は思います」
普段のシャンプーは“洗いすぎ”
「頭皮からは皮脂が分泌されますが、何のために出るかというと、外界からの刺激を防ぐバリアの役割を果たす角化層を、濡らして頭皮に張りつけておくことで保湿とコーティングをしてくれるのです。
皮脂がなくなると角化層がはがれ落ちやすくなりますが、これは深爪と同じで何らかの刺激ですぐに出血してしまいます。つまり、シャンプー剤を過度に使うことは、頭皮を守ってくれる皮脂を過剰に洗い落としてしまうのです」
「湯シャンといっても“シャンプー剤をまるっきり使うのをやめる”のはオススメしません。推奨したいのは2日に1度、シャンプーをした次の日は頭皮をいたわる気持ちで湯シャンにすることです。
最初は物足りないように感じるかもしれませんが、“明日、シャンプーで洗えばいいか”と気楽に構えてください。毎日、朝晩にシャンプーをしていたとすれば、肌にかかる負担は4分の1に減ります」
「これまでシャンプー剤を多用して頭皮に負担をかけていた人が、湯シャンにすることで髪の毛が増えることもあると思います。
極端な例で言えば、皮脂を過剰に落としすぎて皮膚炎を起こした場合、それが抜け毛、薄毛の原因になっていたとも考えられます。これを湯シャンで頭皮のコンディションを整え直してあげることで、再び髪の毛も元どおりになることもあります」
「フケやかゆみがある方、抜け毛や薄毛に悩んでいる方、頭皮に何らかの不安をもっている方は、試しに湯シャンを始めてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、その原因はシャンプーのしすぎにあるのかもしれません」
頭皮と髪を守る「正しい湯シャン」のやり方
1.ブラッシング
2.濡らす
3.洗う
4.流す
北條先生のポイント
「冬場の大敵といえば、乾燥が引き起こす静電気。髪の毛のキューティクルがはがれたりダメージにつながるので、トリートメントをして静電気を防止したほうがいいでしょう」
5.乾かす
※湯シャンの効果は体質によって異なります。頭皮の諸症状の悪化や違和感があった場合は中止してください。
髪の毛は若返らない!?乾燥から髪を守る湯シャン
よく美容院に行って“つややハリが戻った”と思われるでしょうが、言い方は悪いですが、“車のワックスがけ”と同じことで、髪の毛を一時的にコーティングしているだけなのです。
ワックスをかける必要のなかった新車が、年月がたつにつれて色つやが落ちてくるように、髪の毛も同様でトリートメントなどのケアが必要になります。
北條元治 医学博士 株式会社セルバンク代表取締役。RDクリニック顧問。東海大学医学部非常勤講師。信州大学医学部附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。'04年、細胞保管や再生医療技術支援を行う株式会社セルバンクを設立。著書に『美肌のために必要なこと』(スタンダーズ刊)、ほか多数。
イラスト/上田惣子