坂東眞理子さん
「“断捨離”に“終活”。捨てたり、終わったり……こんなネガティブなフレーズが“人生の後半”に紐(ひも)づけられて、世にあふれています。私はいま74歳ですが、そんな言葉は好きじゃないな」
「年を重ねることに対して、“人生下り坂、何もすることがない”など後ろを向かず、もっと前を向いて生きてほしい。50代、60代はこれからの新しい後半人生を切り開くパイオニアになってもらわなきゃ!」(坂東さん、以下同)
60歳で終活を考えるのは早すぎる
「60歳で悠々自適や、終活などを考えるのは早すぎる。今の時代、60代、70代はまだまだ元気な人も多いですから」
「定年後から20年かけて毎年100万円稼ぐと考えれば、無理なく近しい金額を備えられるのではないでしょうか」
後半の人生も、前向きに歩んで!
「本学(昭和女子大学)も社会人向け1年制の大学院を開設します。このような流れは今後、増えていくはずです」
「じっさいに起こるかどうか、わからないことを心配して何も動かないのはもったいない。私の知り合いの女性は数年前に“介護が始まるかもしれないから”と、素晴らしい仕事のオファーを断りました。でもね、そのお母様は今でもお元気なの。彼女“あの仕事、受ければよかったわ”と、悔しがっていましたよ」
「自己肯定感を持って。頑張ってきた自分を知っているのは自分だけ。自分の人生を受け入れられた人は、自分にも周囲にも優しくなれます」
【人生を明るくする「かきくけこ」】
か……感動
「なるほど」と感心、感激、感動する心を持ち続ける。
き……機嫌よく
意識して機嫌よく過ごすように努めるのが周囲への礼儀。
く……工夫して
同じことを繰り返さず、改善のための小さな工夫を。
け……健康
身体と心の健康が人生後半を充実して生きる基本。
こ……貢献・交流
新しい人と交流すると同時にできるだけ世話をし、貢献を。
坂東さんオススメ人生後半の3か条
■「親友」ではなく「新友」をつくるべし!
「親友」も大事だが、人生後半は新たな友人「新友」も大切。親友や旧友ばかりと付き合っていると世界が縮む。新しいことを始めることで「新友」もできる。
■「ベスト」でなく「ベター」を目指すべし!
■「きょうよう」と「きょういく」を持つべし!
(取材・文/松岡理恵)
《PROFILE》
坂東眞理子さん ◎昭和女子大学総長。東大卒業後、'69年に総理府入り。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、女性初の総領事(豪ブリスベーン)、内閣府初代男女共同参画局長を歴任。'04年、昭和女子大学学長を経て現職。ベストセラー『女性の品格』など著書多数。近著に『老活のすすめ』(飛鳥新社)