香港九竜地区にキャンパスがある香港理工大のデザイン学部3年生31人が9日から14日までの6日間、大町市に滞在しながら農林業などの体験を積んでいる。日本の地方都市に暮らす人々の生活の営みに触れ、社会問題を解決する仕組みづくりに生かす目的。その一環で、13日には今秋の北アルプス国際芸術祭の会場となる旧大町北高校校舎に足を運び、ボランティアで清掃活動をした。
この日は2017年の芸術祭で制作された林間テラスでペンキ塗りの予定だったが、雨のため同校舎の清掃活動に切り替えた。学生は廊下をほうきで掃いたり、除菌シートでソファを拭いたり。日本のアニメが好きというユイさん(21)は「観光で来ても校舎の中には入れない。これも体験」と張り切った。
学生は9日に大町市に到着した後、太陽光で農業用水を温める水路を清掃し、コメ作りに欠かせない水について天然水工場を見学した。森林整備の一環で伐採も体験。「街の潜在的な魅力を引き出す」ことを目標に世界各地のアーティストが集う、今秋の芸術祭に向けた取り組みも関係者から聞いた。
学生の多くは都会育ちという。昨年も学生と共に大町市を訪れ、2度目の訪問となったマイケル・チャン教授(53)は「日本の人々がどんな課題を抱え、どう解決に取り組んでいるかを理解する上で、大町の体験が生かされる」と説明。受け入れ態勢を整えた北アルプス学びと遊びの旅行社(大町市)の鈴木幸佳代表(53)は「この縁を今後に大事につなげたい」と話した。
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