阿南町は20日、同町富草地区に「町化石展示館」をオープンする。同地区に広がる約1700万年前の新第三紀の地層「富草層群」から出土した化石を展示解説する。これまで近くの町化石館に収蔵してきたが、建物が老朽化したため、県外観光客も多い温泉施設「かじかの湯」の隣に整備した。埋もれがちだった地域資源を「町の魅力」として改めて発信する。
ユーラシア大陸から日本列島が分離しつつあった約1700万年前の下伊那郡南部は海だったとみられ、富草層群からはサメの歯やカキなどの貝殻が化石になって見つかっている。従来の町化石館は、地元の小中学生が採掘した化石など千点超を収蔵しているが、近年は建物の老朽化に人手不足も重なり、十分な展示ができなくなっていた。
新しい町化石展示館では、町化石館が収蔵してきた化石のうち約200点を展示。富草層群や新第三紀当時の様子をイラストも交えた解説パネルで伝える。解説によると、約1700万年前の富草地区は「浅瀬が広がり、暖かい亜熱帯」だったという。
10日には町民向けのお披露目があり、近くの富草小学校の6年生12人も見学。職員から「化石は水中の動物でできることが多い」「阿南町はかつて海だった」と説明を受けると、真剣な表情で聞き入っていた。小林可偉さん(11)は「いろんな種類の化石があった。昔の生き物が見られてすごい」と話していた。
町化石資料館の開館時間は午前10時~午後4時。水曜休館。入館料は中学生以上100円、小学生以下50円。問い合わせは町教育委員会(電話0260・22・2270)へ。
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