上田西高(上田市)生徒会の役員らが、能登半島地震で被災した石川県七尾市でボランティア活動をした。5日、同校では全校生徒約800人への報告会を開催。活動には同校新聞委員会編集局員が同行し、取材内容をA4判1枚に両面印刷した校内紙「千西一遇(せんざいいちぐう)」にまとめて集まった全校生徒に配った。生徒会役員は「経験を校内外に共有し、支援を続けたい」と訴えた。
同校生徒会は発生直後から被災地のために何かしたいと模索。募金などをしてきたが、現地で必要な支援をしたいとの思いがあった。同校と、七尾市にある鵬(おおとり)学園高校のサッカー部は練習試合などで交流。地震発生3日前にも両校サッカー部は鵬学園高で試合をしていたこともあり、ボランティア先は七尾市にした。
現地には3月25、26日、七尾市災害ボランティアセンターを通じて生徒会役員11人と編集局員2人が行き、被災住宅の片付けを手伝った。
報告会で、上田西高生徒会副会長の3年小林明快(あきよし)さん(17)は「東日本大震災や西日本豪雨の際に現地でボランティアをした先輩の伝統があり使命を感じた」。鵬学園高の生徒とも交流し、同校では校舎や体育館が被災するなどして「学校行事も部活もままならない様子だった」と説明。「東信地域の高校生を巻き込み、募金など必要な支援をしたい」と呼びかけた。
同行取材を志願したという編集局員で3年の大田すみれさん(17)は報告会で、「(2019年の台風19号災害で)中学生の時に上田市国分にあった祖母の家が床上浸水した。ある日突然、被災者になるつらさを身近に感じた」と振り返った。七尾市では被災した家に住み続ける84歳女性の家の片付けを手伝い、「思い出の場所だから」との言葉が印象に残ったという。
編集局は、生徒会による能登半島地震関連の活動を報じてきた。今回も5日未明までかけて局員2人で校内紙を作り、報告会での配布に間に合わせた。
「生徒会が被災地でボランティアに携わったのは、私たちにとってすごく大きな話」と大田さん。報告会で配った校内紙では、通常の学校生活を送ることができなくなった鵬学園高の状況を踏まえ、「当たり前の日常生活は普通ではない」と訴えた。
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