県教委は26日、行徳院(高松市)所有の「木造六字明王立像(ろくじみょうおうりゅうぞう)」と、総本山善通寺(善通寺市)の本尊「木造薬師如来坐像(ざぞう)」の彫刻2件を新たに県有形文化財に指定すると発表した。六字明王立像は平安時代後期に作成され、六字明王の彫刻としては国内最古。薬師如来坐像は、県内における江戸期の本格的彫刻の基準作例としても価値が高いという。
県文化財保護審議会(増田拓朗会長)が答申し、同日の県教委の3月定例会で議決した。県指定の有形文化財はこれで計123件(うち彫刻44件)となる。
六字明王は密教で崇拝される仏。立像は腕が6本あり、右足を左足の後ろに跳ね上げて左足1本で立っている。行徳院が所有する円成庵(高松市多肥上町)に安置されている。
後年になって全身が黒色に塗装されたが、2018年度の保存修繕で塗料を除去。本来の木目や穏やかな表情が現れ、主要部分に制作当時の木材が残っていることも明らかになった。
善通寺金堂(重要文化財)とともに造立された薬師如来坐像は、江戸時代に活躍した京都の仏師・初代北川運長の手で1700年に完成。光背と台座を合わせると高さ約6・5メートルにおよび、堂々とした存在感を放っている。
造立に関する当時の文書も現存し、江戸幕府の将軍徳川綱吉の武運長久や京極家の繁栄を祈念して制作されたことが分かるという。
木造六字明王立像の開帳は毎年1、4、8月の計3日間。次回は4月8日で、午前10時からの法要の間のみ開帳する。木造薬師如来坐像は、午前7時から午後5時まで金堂で毎日拝観できる。