小豆島町田浦の二十四の瞳映画村内の壺井栄文学館(大石雅章館長)に、栄の座像が設置された。3日には座像の作者大西徹山さん(本名金次郎、1904~88年)の長女・山本絹子さん(89)=大阪府茨木市在住=が視察に訪れ、遺作となった力作をじっくり鑑賞しながら小豆島を愛した父に思いを巡らせた。(写真は、壺井栄の座像の設置を喜ぶ山本さん=小豆島町田浦、二十四の瞳映画村内の壺井栄文学館)
三重県出身の徹山さんは生前、同町西村にアトリエを構えて彫刻制作に取り組んでおり、栄の座像は映画「二十四の瞳」(87年公開)の撮影を見学して感銘を受けたことをきっかけに作った。座像は完成から30年余りアトリエに置かれていたが、山本さんが町に寄贈を申し入れ、同館に設置されることになった。
座像には石こうを使用。高さは91センチで、台座を含めると1メートル66センチ。同館の入り口近くで1日から公開されている。
作品が人の目に触れるところに展示され、山本さんは「うれしくて涙が出そう。最高の場所に安置してもらい、父もきっと喜んでいる」と話した。大石館長は「壺井栄先生は包容力のあるおおらかな人だったが、座像はその雰囲気がよく出ている。来場者には栄先生の温かさを感じてほしい」としている。
同館の入場は無料だが、映画村の入村料として中学生以上790円、小学生380円が必要。