高松のジャズの「聖地」、15年の歴史に幕―。ライブ会場として親しまれてきた高松市塩上町の「SPEAK LOW(スピークロウ)」が28日に閉店する。2004年春のオープン以来、大物ミュージシャンを招くなど多彩な公演を開催してきた。マスターの美濃英明さん(72)は「もう少し早く始めていればもっと長く続けられたという思いはあるが、年齢を考えての決断で、悔いはない」と話している。
スピークロウは、県警の刑事だった美濃さんが退職後の同年4月に57歳でオープン。ライブでは約100人を収容できる。昼はカフェの営業も行っていたが、2年前からはライブを中心に妻の香代子さん(70)と2人で切り盛りしている。
閑静な住宅街に位置し、ケヤキ並木風のエントランスに明るい雰囲気の店内、段差がなく演者との距離が近いのが特徴で、来場者だけでなく出演者からも親しまれた。
これまで行った公演は600回を数え、ジャズを中心にポップス、クラシックなど多彩なジャンルのライブを開催。世界的なサックス奏者の渡辺貞夫さんをはじめ、トランペット奏者の日野皓正さん、ピアニストの大西順子さんら著名なミュージシャンのほか、俳優の西村まさ彦さんも出演した。月末まではピアニストの山中千尋さんら実力派奏者のライブを予定。閉店後の用途は未定という。
※写真は堂島孝平さんのライブが繰り広げられる店内