中国で興味深いニュースが配信された。
今週火曜日にカタール・ドーハで開催されたワールドカップ・アジア最終予選、日本代表は中国代表と第2節を戦い、なんとか大迫勇也の決勝点で1-0の勝利を飾った。戦績を1勝1敗とし、10月シリーズではオーストラリア、サウジアラビアとの過酷な2連戦に臨む。
無観客で行なわれた中国戦で、ちょっとした話題を提供したのが中国の李鉄(リ・ティエ)監督だ。タッチライン際で選手たちに発破をかけ続け、幾度となくテレビ画面にその様子が映し出された。どうにも視聴者が気になったのは、指揮官が前髪に息をフーフーと吹き上げる仕草。中国ファンに計算によると「9秒間で7回」を記録した過去があるようだ。
日本ではSNS上のホットワードランキングで急上昇。これに呼応したのが中国のメディアだ。全国紙『成都商報』は「李鉄の前髪吹きが日本でホットワードに! 28年来の癖はブラジルでの金欠から生まれた」と銘打ち、特集記事を掲載。「当然、日本のファンはあれが李鉄の有名な癖であることを知らない」と記し、“フーフー”の誕生秘話を解説した。
サッカー少年時代から反骨心の強かった李鉄は、短髪を強いられて不満を溜め込んでいた。本当は髪を伸ばしたかったが、当時の厳格な指導者に「前髪を目にかけるな!」と言われていたため、ずっと角刈りを余儀なくされていたのだ。長きに渡って鬱積していた想いがようやく昇華されたのは、16歳のときだ。ブラジルでの長期留学中、現地のコーチはヘアスタイルに注文などいっさい付けなかったため、ここぞとばかりに伸ばし放題だったという。
だが、物事には限度がある。前髪が目の高さはおろか超ロングな状況になっても、ブラジル留学中はお金がないためになかなか散髪に行けなかった。そのまま放置していたところ、前髪で視界が遮られるようになり、練習中も試合中も前髪を飛ばすためにフーフーを連発するようになったという。そこから28年間、いまだ直らない癖になってしまったと本人が明かしている。
さらに『成都商報』紙は「マスク着用が義務付けられた時期が終わり、ふたたびクローズアップされるようになった。ちなみに選手時代のフーフーは下から上だったが、最近は左から右、右から左に吹き分けている。複雑な技術だ」と補足。そして日本人ファンが書き込んだ、「中国の監督、マジで前髪吹きやめてくんないかな」「李鉄の前髪ばかり見ていて試合内容を覚えていないよ」「前髪ばかり気にしていた自分の学生時代を思い出した」「そんなに前髪が熱いのかな?」といったコメントも紹介している。
日本に敗れて、開幕2連敗を喫した中国。試合内容については、第1戦のオーストラリア戦(0-3の黒星)より改善されたとの意見がある一方、依然として監督更迭論も燻るなど賛否両論が渦巻き、李鉄の周辺は穏やかではない。
目下、UAEのシャルジャで超長期合宿を継続中。しっかり課題と向き合い、10月に迎えるベトナム、サウジアラビアとの連戦で結果を叩き出せるか。44歳の指揮官にとって、本当の正念場はここからだ。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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