女優、桜庭ななみ(29)が6年ぶりに「ヒューマン」に帰ってきた。清純派から演技派へと成長したが、ピュアな魅力と向上心は変わらない。6月4日スタートの「WOWOWオリジナルドラマ ダブル」(土曜後10・30)では、マネジャー役に初挑戦。節目の30代に向け、変化の時期へ―。「一つずつできることを120%の力で頑張る」と飽くなき挑戦を続けている。(ペン・服部裕実 カメラ・福島範和)
前回の「ヒューマン」登場時に23歳だった桜庭は、美脚が際立つ緑のドレスをまとい、すっかり大人の女性の雰囲気を醸し出していた。記者が緊張しながら当時の紙面を手渡すと、「覚えてます! 懐かしい!!」。屈託のない笑顔は6年前と変わらない。
そんな彼女の新たな挑戦の舞台は「WOWOWオリジナルドラマ ダブル」のヒロイン。千葉雄大(33)演じる、天性の才能を持った俳優・多家良(たから)と、永山絢斗(33)扮する役者仲間・友仁が、世界一の役者を目指す物語で、桜庭は路上で見かけた多家良をスカウトするマネジャー役。実際に自身のマネジャーのしぐさや動きを参考にしたといい「現場でどこに立ってるか」など細かい部分まで観察。撮影でも「写っているか、写ってないかみたいなところで立っていた」と〝裏方〟に徹した。
自身も中学3年生の夏に、地元・鹿児島県で現在の所属事務所からスカウトされて芸能界入り。当時は興味がなかったが「話を聞いているうちに楽しそうだなって思ったし、すごく都会に憧れていて」とチャンスをつかむために上京した。
デビュー当時の目標は同じ事務所だった堀北真希さん(33)で、「もうとにかく美しさには驚きました! めちゃめちゃきれいで…女優さんってこんなにきれいなんだって思った」と目を輝かせながら熱弁。
自身も清純派女優として順調にスタートを切ったが、さまざまな作品に挑む中で大きな壁に何度も直面。殻を破るため、中国語、韓国語、ギターなど必要があればどんな難題も習得してきた。
そんな〝超努力家〟の転機は、2018年の香港・中国合作映画「マンハント」。共演した福山雅治(53)から刺激を受けた。「台本は当日、しかも英語のせりふがほとんど。それを当日にクリアされていて。やっぱりスターってすごいなって思いました」。
作品を通して、女優への考え方も明確になり、「いろんな作品で何が一番大切かって思ったときに、お仕事にどれだけ誠実にできるかだと思って…私もそういう女優でありたい。一つずつできることを120%の力で頑張ること。とにかく今はそれしかできません」と力を込める。
その後、NHK連続テレビ小説「スカーレット」で、ヒロインの妹役を少女時代から中年時代まで見事に演じ、高い評価を獲得。当時は衣装が奇抜で「全部ヒョウ柄で笑われないかなって思った」と懐かしそうに振り返った。20年にはフジテレビ系「13(サーティーン)」で、心が13歳から止まってしまう難役に挑戦するなど、清純派の殻を破った演技で見るものを魅了。30代を目前に「日本で頑張って、アジアでも活躍できるように」と、世界を見据えた。
目覚ましい成長に、内山理名(40)、黒木メイサ(33)に次ぐ事務所の「看板女優」に近づきつつあるようにみえるが、「笑っちゃう…そんな感覚」とチャーミングに否定。「先輩のような、お手本になれるように、跡をついでいきたい」と謙虚にほほ笑む。
12日発売の実写ゲーム作品「春ゆきてレトロチカ」では主演に挑み、「いろんなパターンを撮ったりすることが、普段の撮影とは違った」とドラマや映画との違いにも柔軟に対応した。一方、自身も最近「Nintendo Switch」を購入して「スーパーマリオブラザーズ」にドはまり中で、「とにかくクリアしていく。それがすごい楽しみ」と、無邪気な笑顔。
ピュアな魅力と作品一つ一つに真っすぐ向き合う姿勢を維持したまま女優道を突き進んでいく。
★コロチキに〝ハマっちゃってる~!〟
30歳目前となり、結婚願望を聞くと、「結婚はしたいです」とキッパリ。ただ、現実味はないらしく「32歳でしたいなって思っていたんですけど、あと2年にしかないことに驚きです」とはにかんだ。そんな桜庭が今、夢中な相手はお笑いコンビ、コロコロチキチキペッパーズ。YouTubeを毎日見るほど熱中しており「大好きで。移動中も見ちゃう。会いたいです」とラブコールを送った。
■桜庭ななみ(さくらば・ななみ) 1992(平成4)年10月17日生まれ、29歳。鹿児島県出身。地元のゲームセンターでスカウトされて、07年夏に芸能界入り。08年、映画「天国のバス」でデビュー。10年の映画「最後の忠臣蔵」でヒロインを演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞など多数の賞を獲得した。その後、NHK朝ドラ「スカーレット」や映画「焼肉ドラゴン」など幅広く活躍。来年には主演映画「有り、触れた、未来」の公開が控えている。