高校軽音楽部の日本一を決める「第1回全国高校軽音楽部大会 we are SNEAKER AGES(スニーカーエイジ)」(産経新聞社ほか主催、大阪芸術大学など協賛)が昨年12月末、大阪市北区のグランキューブ大阪で開かれた。新型コロナウイルスの感染対策のもと有観客で開催されたステージでは、全国各地区を勝ち抜いた15校が熱いパフォーマンスを展開。応援団のエールも躍動した軽音楽の祭典を振り返る。
600人の応援団
「憧れの大舞台で大好きなメンバーと最高の演奏ができた。夢がかなってとてもうれしい」。全国大会の初代グランプリ校賞に輝いた大谷(京都)2年の山村萌愛(めいと)さんは、メンバーらの感涙の輪の中で喜びを爆発させた。
予選大会を含め計223校が出場した大会の理念に掲げられたのは「音楽を心から楽しみ全力でやりきること。そして仲間との絆」。大阪府知事賞を獲得した奈良育英(奈良)3年の山本満月(みづき)さんは「大会までの思い出をしっかり胸に刻もうと、メンバーらとともに日々の練習をていねいに積み重ね、心身ともに互いを大切にし合った」と語った。コロナ禍で練習量が激減したなか、結束を強めた。
緊急事態宣言が終わり、一時的に感染が小康状態になっていたなか、収容人数(約2800人)の半分まで制限し有観客とした客席を彩ったのは、ステージを盛り上げた応援団だ。
注目されたのは、客席で曲に合わせて動くカラフルなケミカルライトやポンポンだけではない。
実は客席に詰めかけた応援団には、出場校ではない関西の高校の軽音楽部員たちもいた。大会では感染防止対策のための人数制限により、出場校の応援団は関西地区のみに制限。そのため、他地区の出場校のステージも盛り上げようと部員たちが集ったのだ。出場校も含めた客席の高校生応援団は約600人。絆の強さをみせた。
温かいエールを送る光景に、大谷2年の山本歩空(ほたか)さんは「演奏中、勇気と励ましをもらい、客席とひとつになれたことを実感できた」と、スニーカーエイジの〝原点〟を味わった。
感染対策万全
舞台裏もコロナ禍の大会を支えた。マスクにフェイスシールドをつけた運営スタッフは、出場校の動線などを生徒らに細かく伝達する行動が光った。奈良育英3年の斉木羽七(はな)さんは「検温や消毒、演奏終了ごとに扉を開けての換気など感染対策に気遣いながらやさしく落ち着いたスタッフの対応に緊張感もほぐれた」と感謝する。
各校の特色ある歌や演奏をはじめ、シンガー・ソングライターのAMARIさんによるゲスト演奏や関西地区中学校大会でグランプリ校賞に輝いた大阪市立平野北中学校のエキシビション演奏など、見ごたえ聴きごたえがあった全国大会。
近大付(大阪)1年の原口萌奈(もえな)さんは「他地区の高校のパフォーマンスを見て、吸収する部分が多かった。この体験を新メンバーたちに伝え、第2回大会ではグランプリ校賞を獲得したい」と前を向いた。
最高のレベル
全国各地の強豪校が一堂に会した今大会。「コピー曲での歌や演奏は、最高レベルに達している」と、大会審査員らは上位校の歌や演奏を絶賛した。
一方、プロミュージシャンのコピー曲で勝負している現況に、スニーカーエイジ実行委員会委員長で「miki music mirai」(大阪市中央区)の戸田雄己(かつみ)社長(44)は「今後はオリジナル部門とコピー部門に分けての開催を検討したい」と話す。
高校生だからこそ生まれる等身大の〝オリジナルパフォーマンス〟に、期待を抱く戸田社長。「これからは君たちの歌詞や楽曲が誰かの音楽にならなくてはならない」と高校生にエールを送る。会場からの大声援など本来のスニーカーエイジの姿に戻ることを願いながら、第2回大会に向けさらなるステップアップを目指している。
GReeeeNも力に
「高校軽音楽部活動の向上のためにもスニーカーエイジを応援したい」。全国大会では、人気男性ボーカルグループ「GReeeeN」が大会へエールを込めたテーマソング「青焔(せいえん)」を提供。音楽にかける高校生たちの青春をイメージした軽快な楽曲は大会のグランドフィナーレなどで流れ、会場を盛り上げた。
「真っすぐ聞き手の心に訴えかけるメッセージ」を歌詞に込めるなど魅力的な楽曲を作り続ける4人組のグループ。当日の会場ロビーには、テーマ曲の感想やクラブ活動への思い、応援する人たちへの感謝の気持ちを「GReeeeN」に届ける「サンキューレターボックス」が設置された。
「自分の生活のテーマソングにもなった」「青焔の歌詞に勇気づけられた」「多くの人たちに支えられながらの音楽活動に励んでいる」-。高校生からのメッセージが、GReeeeNに届けられた。(高橋義春)