映画『ワイルド・スピード』シリーズで大人気となり、女性のみならず男性のハートも鷲掴みしたハリウッドスター、ポール・ウォーカーはご存知だろうか? クルマと海、そしてTシャツをこよなく愛した“男も憧れる男”の魅力を、改めて振り返る。
The Dude, Paul Walker!
[ポール・ウォーカー]
Paul Walker
profile
1973年、カリフォルニア生まれ。188㎝の長身と、ブラジリアン柔術で培った身体能力を生かし、映画俳優として幅広い作品で活躍。特に映画『ワイルド・スピード』(2001年)のブライアン・オコナー役が高く評価され、シリーズの顔として人気を博した。シリーズ第7作めの撮影期間中、不慮の事故により40歳の若さで惜しくも亡くなった。
The Dude, Paul Walker!
今もなお輝きを失わない……彼の魅力はいったいどこからくるものなのか?
不慮の事故により、40歳という若さで、この世を去ったポール・ウォーカー。死後、肉親や共演者たちによって語られたのは、真っ直ぐで、正義感が強く、心の優しい男の姿だった。周囲の誰からも愛され、また頼られる人物だったのは確かなようだ。
甘いマスクで女性ファンの多かったポールだが、それ以上に“男が憧れる男”としての魅力を備えていた。Tシャツをサラリと着こなす、鍛え上げられた肉体。映画『ワイルド・スピード』さながらにスポーツカーを愛し、ときに無邪気に乗りまわす。そして高校卒業後に生物海洋学を学び、一時はクルマよりもハマっていたほどの海好き。男が憧れる要素をいくつも備え、それがしっかり仕事に生かされている。しかも嫌味は全く感じさせない、そんな魅力あふれる男だった。
このように、いつまでも多くの人々の心に残るポール・ウォーカー。そういえば、彼は夏が最も似合うセレブの1人でもあった。本格的な夏が来る前の今、もう一度、彼の魅力をファッション、プライベートなど多角的に掘り下げてみよう。
ポール・ウォーカーの魅力 1
海を愛する男だったポールだけに、海と関連する作品にも多数出演。とても自然な演技を見せていた。ジェシカ・アルバと共演した映画『イントゥ・ザ・ブルー』では、バハマで沈没船のお宝探しを夢見る青年を好演。若かりし頃に出演した『シーズ・オール・ザット』でも、意地悪な役柄ながら、印象的なサーファーを演じていた。これらの場面写真を見るとわかるはずだが、抜群に海が似合う男なのは間違いない。
映画『イントゥ・ザ・ブルー』
映画『イントゥ・ザ・ブルー』
映画『シーズ・オール・ザット』
ポール・ウォーカーの魅力 2
ご存知のとおり、本誌の表紙に登場するのは旬のハリウッドスターたち。過去にはブラッド・ピット、ダニエル・クレイグ、オーランド・ブルームなど超有名俳優も登場している。そこに名を連ね、ポールが登場したのは、2008年の7月号。ビーチでの少しセクシーな濡れたシャツ姿は、まさしく海を愛するポールと本誌の夢のコラボレーション。当時はシリーズ4作めとなる『ワイルド・スピード MAX』のロケをメキシコで行っていた頃。
ポール・ウォーカーの魅力 3
ヴィン・ディーゼル演じるドミニク・トレット(ドム)とのコンビで、ポールを一躍スターの座に押し上げたのが、2001年に公開された映画『ワイルド・スピード』。以降、彼が亡くなるまでに撮影されたシリーズ7作品のうち6作品に登場し、シリーズの顔として活躍。レースマニアの潜入捜査官、ブライアン・オコナーは、まさに彼のハマり役。海と同様、クルマが似合う名俳優だった。
映画『ワイルド・スピード』
映画『ワイルド・スピード メガ・マックス』
The Dude, Paul Walker!
彼の魅力が最高に際立つ!Tシャツ姿が格好いい!
シンプルなTシャツを格好よく着られる男は、誰見たって格好いい。これって、いつの時代も変わらない真理なのでは? で、そんな“永遠のいい男”といえるのが、まさにポール・ウォーカー。映画『ワイルド・スピード』シリーズではハリウッド屈指のマッチョ男として知られるヴィン・ディーゼルと共演したが、そのヴィンに負けず劣らずのたくましいTシャツ姿を披露。それでいてポールの場合、ムキムキのマッチョという印象もなく、ほどよいたくましさ。しかも、海を愛していた彼だから、Tシャツの似合う健康的な日焼け肌もちゃんとキープできていた。彼のTシャツ姿は、やはり色褪せない。
ヴィン・ディーゼルと甲乙つけ難い無地T姿!
『ワイルド・スピード』で共演したヴィンとのTシャツでの2ショット。いかにもマッチョなヴィンに対して、ポールはほどよい筋肉量
ヘルシーな日焼け感もTシャツが似合う理由のひとつ!?
こんな真っ赤なTシャツも着こなせるのは、男らしい彼だからこそ!
日焼け肌だからT シャツがよく似合う!
バハマの海を舞台にした映画『イントゥ・ザ・ブルー』では、まさに海の男らしい日焼けしたTシャツ姿を披露
単なる運転姿だってこんなに格好いい!
クルマ(しかもボロボロ!?)を運転しているだけなのに、サマになる。坊主頭も男らしい!
クルマの窓から無造作に腕を出す仕草も、ポールのたくましさだからこそ絵になる
少し褪せているブルーTで、ワイルドな雰囲気を漂わせている
なんとも爽やかでヘルシーなブルーのTシャツ姿
海男だから!? ヤシ柄がよくハマる!
本物の海男だからこそ、ヤシの木モチーフのTシャツもサラリと着こなせる。「もっと彼のビーチ映画が見たかった!」という人は多いかも!?
ストリート感あるプリントTでも男らしい!
こちらは、シリーズ2作め『ワイルド・スピード X 2』のポール。ストリート感のあるプリントTでも、色気があってちゃんと男らしい
シンプルなものを選び
さらりと1枚がポール流!
ポールが公私ともによく着ていたのは、シンプルなデザインのTシャツ。上質な大人の白は基本として、ワンポイントロゴを効かせたブルーや黒もイメージに近い。上から、白Tシャツ1万450円(ジェームス パース/ジェームスパース 青山店)、ブルーTシャツ、黒Tシャツ各4400円(以上ヴァンズ/ヴァンズ ジャパン)
The Dude, Paul Walker!
自他ともに認めるスピードマニア!?無類のクルマ好き!
『ワイルド・スピード』で演じていたブライアンさながら、プライベートでも大のクルマ好きだったポール。なんと30台を超えるクルマを所有していて、そのほとんどがスピードとパワーが自慢の特別なものだったとか。といっても、単に珍しいクルマを集めるコレクターではなく、実際に走ることを愛していたのが彼らしいところ。なかでも映画にも登場した〈トヨタ〉の“スープラ”は、よく運転していたお気に入り。撮影期間中に亡くなってしまったシリーズ7作めには、オマージュとして彼の実際の愛車が登場するシーンまであった。そんなクルマ好きなのも、ポールの魅力のひとつ。男が憧れるレジェンドスターなのも、これに大きく起因する。
某レーシングチームのキャンペーンとして、サーキットでのタイムアタックに挑んでいたことも
検証 1
映画の中で何度もストリートレースに挑んだポールだが、実際に自他ともに認める走り好きだった。子供の頃から父親と一緒にクルマの改造をするなど、どうやら筋金入り。映画の撮影時、運転のトレーニングプログラムとしてサーキットに通い、実際のクラブカーレースにも参加。それゆえに『ワイルド・スピード』は彼にとって、本当にハマリ役だった。
レーサーの友人が運転するクルマに乗っている際、不慮の事故に遭って亡くなったポール。事故現場には多くのファンからの寄せ書きが残されている
検証 2
大きなガレージに30台以上のクルマを所有していたという、ポール。マニア垂涎のレーシングカーや希少なモデルも多く、すべてピカピカに磨いて、きちんと整備していたという。若い頃は愛車の軽量化やチューンナップに時間を割いていたというから、クルマ好きの度合いの深さが窺える。
検証 3
『ワイルド・スピード』の第1作に登場したのが、〈トヨタ〉の名車“スープラ”。この映画がきっかけとなり、当時アメリカの若者の間で“スープラ”が爆発的な人気となったんだとか。そして実際、ポール自身もその走りに魅了され、白の“スープラ MK4”を所有。彼にとって“スープラ”は作品、役柄を超えた、特別なクルマだったようだ。
映画『ワイルド・スピード』/映画『ワイルド・スピード』で、“スープラ”がフェラーリとストリートレースを繰り広げる名シーン!
映画『ワイルド・スピード』/“スープラ”のあざやかなオレンジのボディは、『ワイルド・スピード』シリーズのイメージを象徴する存在
7作めのラストシーン。実際のポールが所有する白の“スープラ”が使用された
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劇中に登場するのは愛車の白スープラ!
トヨタ“スープラ”
ポールが実際に所有していた白い“スープラ”。通称“80スープラ”といわれ、〈トヨタ〉が誇る“2JZ型エンジン”を搭載。クルマ好きにはたまらない1台だった
北米での人気もあり、名車が進化して復活!
映画『ワイルド・スピード』のヒットにより、北米での“スープラ”人気が急上昇。その後押しもあり、満を持して2019年に〈トヨタ〉が17年ぶりに復活させたのが、この“GR スープラ”。直列6気筒、FR仕様を踏襲している。
トヨタ“GR スープラ”
エンジンを改良し加速性能が向上。よりスリリングな走りが楽しめるようになった“GR スープラ”。ロングノーズ&ショートデッキのフォルム、2シーターというところもソソる!
The Dude, Paul Walker!
マリンスポーツもこなす爽やかさとたくましさ!海が似合う!
海が身近なカリフォルニア出身で、高校卒業後に海洋生物学を学んだこともあるポール。海は彼にとってなによりも大切な存在。もちろんサーフィンをはじめマリンスポーツも大の得意なのはいわずもがな。ビーチリゾートで休暇を楽しむ姿もたびたび目撃されていた。海洋環境保全のチャリティにも力を入れていたが、彼が亡くなった後は娘のメドウが基金を設立して遺志を引き継いでいるという。
理由 1
映画『イントゥ・ザ・ブルー』の作中では、巧みにジェットスキーを乗りこなす姿が映し出されている。ジョン・ストックウェル監督の方針で、マリンスポーツが得意な俳優を集めて撮影したという。しかも、すべてノースタント! 本物のサメに囲まれながら水中シーンを撮影したというエピソードもあるとか。私生活ではボディサーフィンに興じたりと海遊びが得意だった!
ジェットスキー
ボディサーフィン
理由 2
ポールといえば、しっかり鍛えられたボディと、ほどよく日焼けしたブロンズ色の肌。これって、男女問わずに憧れる、最強の組み合わせかも。プライベートでもよく海に通っていた彼だからこそ、自然に焼けた肌が魅力的だったのかもしれない。
鍛えられた身体にブロンズ肌が最強!
理由 3
多くのセレブがバカンス期間にビーチリゾートを訪れるが、もちろん海好きのポールも然り。マウイ島、コパカバーナ、サンタバーバラと、各地でその姿が目撃されている。特に娘が暮らしていたハワイには何度も訪れていた。
ビーチリゾート❶ ハワイ・マウイ島
ビーチリゾート❷ コパカバーナビーチ
ビーチリゾート❸ サンタバーバラ
スタイリング=榎本匡寛 文=野中邦彦 styling:Masahiro Enomoto(remix) text : Kunihiko Nonaka(OUTSIDERS.Inc)
photo by AFLO, amanaimages