累計100万部(紙+電子)を突破したマンガアプリ「マンガボックス」の大人気トライバル・サバイバル・ストーリー『インゴシマ』の最新第10巻の発売〔電子版は4月23日、紙版は5月25日〕が決定しました! 100万部突破と最新刊の発売決定を記念して、著者の田中克樹先生とマンガボックス担当編集の野上さんに、気になることをいろいろ聞いてみました!
※編集部より:今回のインタビューはリモートで行いました。
気になる! すれ違いざまの「インゴシマのさぁ~」
――累計100万部突破おめでとうございます! 100万部の実感などありますか?
田中克樹先生(以降、田中) ありがとうございます! 実はあまり実感がないんですよね(笑)。数字としての感覚はあるんですが、あとは評価ですかね、世間の評価的なものが一気に変わりましたね。
――それはTwitterなどでの反応っていうことですか?
田中 それもそうなんですが、僕の会社(株式会社CROSTA)に出資してくれている親会社さんの反応も含めて、周りのみんなの反応が変わりましたね。
――それはリアルな感じですね。今の時代に100万部という大台は、すごいことですからね。
田中 単純に作品を知っている人が多くなりましたね。この前、家具を見に家具屋さんに行ったら、男子3人組が「このあいだ、インゴシマのさぁ~」みたいな会話をしながら通り過ぎていったんですよ。
――めちゃくちゃ「のさぁ~」の続きが気になります(笑)。
田中 エロい話してました(笑)。
――男の子な感じでいいですね、なんで家具屋でという感じですが(笑)。
田中 けっこう若かったですけど、大学生ぐらいですかね。僕の描く女の子キャラって、みんなエロい感じに描いてますから。わざと描いているわけじゃないですが、そこら辺が惹かれるのかもしれません(笑)。
――田中先生自身は、インゴシマの「どこ」が、読者の興味を引いていると感じますか?
田中 島ですかね。
――島…ですか?
田中 館モノや島モノ。若い子たちが、そこに行く話って絶対に鉄板だと思うんですよね。インゴシマは天下雌子先生が原案なんですが、実は担当編集から連載前にいくつか原案を貰っていて、その中から選んだのが島モノだったインゴシマなんです。一番面白かったんですよね。で、これはいけるなっと思いました。
――どうして「島」に魅力を感じたんですか?
田中 そのとき、ちょうどミステリーを描きたくて。綾辻行人先生の『十角館の殺人』(講談社)とか大好きなんですけど、なんでこんなに面白いんだろうと考えていたんですが、“閉鎖された空間”がやっぱり面白いんだなと。だから「島」という、いわゆる閉鎖された状況というシチュエーションがあるインゴシマに、魅力を感じたんだと思います。
そこから強烈なキャラクターを出していく、というのが一番やりやすいんですよ。WEBでの連載だったので、あんまり広い設定というよりは、幅を狭めてストライクゾーンを絞ったほうが、WEBとの相性も良いなと思ったんです。
だから「館」みたいに限定されたコミュニティである「島」で、自分たちと同じような価値観を持った人間が集まり、一貫して生き残ろうということをテーマにすることで、うまくストーリーに落とし込めると思ったし、刺さるとも思ったんですよね。
あとは、そういう所に行くと“無秩序”という言葉は絶対に付きまとうじゃないですか。エントロピーというのは増大していくものなので、どんどん無秩序になっていく状況で、そこに皆さんの期待感が生まれるんじゃないかなと。
そこにエロとかが入り込める余地がすごくあって、遊びだったりエンタメだったり、人間の脳を麻痺させる媚薬のようなものを入れこめれば、魅力につながるのかなと僕は考えていました。
――ちなみに、9巻までのなかで会心のエロなシーンはどこですか?
田中 うーーん(考え中)…………9巻のインゴシマR(9巻収録の描き下ろし漫画)ですね。
――え!(以外に最近…)インゴシマRですか!?
田中 めちゃめちゃ気合入りましたからね。あとはなんだろ……薫子も好きですね。女王様キャラがうまくハマった感じで(笑)。
――たしかに、薫子さんの“女王様キャラ”は魅力的です。
田中 あ!「エギ」のバトルで男キャラがオスマビにお尻を吸われるところとか。
――いやいや、エロと言っていいのかどうか(笑)。あれは記憶に残るシーンですよね、いろいろな意味で。
田中 あれは1年前からずっと、マンガボックス部長の松崎さんに「アレ(オスマビの「ケツスイ」)をやるから」と言ってました(笑)。でも引き延ばされていたので、この辺で絶対にやるぞと「ケツ」意を持っていました。
――担当編集の野上さんは、どう思っていたんですか?
マンガボックス 野上(以下、MB野上) インゴシマは、田中先生のある意味で「変態的」な発想のスパークが、作品の骨子だと思っているので(笑)。基本的に「思いついたものは描いていただく」というスタンスですね。
田中 (激しくうなずく)でも最初は止められました(笑)。1巻で若林先生が捕まって、牢屋で裸で吊るされるというショットが最後にあるんですけど、そのあとに相川君は使い物にならなくて、チオモにお〇ん〇んを切り落とされるっていうネームだったんですけど、さすがに飛ばしすぎたみたいで、止められました(笑)。
MB野上 でも、後日、そのネタは太一の非業の死のところで活かされましたね。
――太一君でネタが昇華されて良かったです(笑)。
MB野上 オスマビのケツスイのところは、アプリに掲載するときに半分以上、表示ができないという状況になってしまって……。
――あーーー! ありましたね、真っ黒いやつですよね。
MB野上 田中先生には謝りながら「掲載するにはかなり黒塗りしないと厳しい……」ということを電話で報告したんですが、いっそのことアプリではページの半分ぐらい黒くしたほうがインパクトあるし、修正ナシの原稿もWeb版や単行本で読みたいと思ってもらえるのでは? と、快諾いただきました(笑)。マンガボックス内でも、あれだけ黒くしたページがある作品はなかったので、伝説にはなりましたね。
田中 あれは最高でした(笑)。
――たしかに、何が隠されているんだ!? と気になりますよね。田中先生の会心のエロシーンは、9巻に描き下ろし収録されている「インゴシマR」ということですね!
田中 いや…オスマビ……。
――だから、エロシーンですって(笑)。現在連載中の話も、かなり過激なシーンが盛りだくさんですよね。紙の担当がヒヤヒヤしていました。
田中 えーどれだろ(笑)。でもやっぱり男は、お〇ん〇ん見せないとっ!(謎の威圧感)
田中先生がこだわる女性のつなぎ目!?
――魅力的な女性キャラが多いですが、田中先生のこだわりなどありますでしょうか?
田中 こだわりはやっぱり、触ったらプクプクと柔らかそうな感じや、節々の膨らみとかですかね。
――節々の膨らみとは、どんな感じのことですか?
田中 股下の太ももと……(指で宙に股下の絵を描いている)、付け根とかあるじゃないですか。
――ん? ここら辺の…(画面にインゴシマ7巻の茜ちゃんの股下を指さす)感じですかね?
(謎の股下確認が画面越しに続く…)
田中 そうですね、そこです(笑)。そこら辺のつなぎ目が、すっごく難しくて、そこを極めるのに、めちゃくちゃ時間がかかりました(笑)。
――なるほど~。田中先生の強いこだわりを感じます。
田中 それと……お尻ですかね。女性のお尻は、とても芸術的な曲線美なんですよ。これを描くのが本当に難しいですね。なので常に追求・探求している感じです。あとは、おっぱいと乳首の膨らみも、すごい芸術的なんですよ。肉と肉のつなぎ目が、本当に神、すっげぇなって思ってます(笑)。
――あ、アツい…。おっぱいと乳首のつなぎ目って初めて聞きました。
田中 いやホント、そこのつなぎ目はすごく難しいんですよ(笑)。膨らみと膨らみを描かなければ、いけないんですけど。へこませちゃいけないって部分が、めちゃくちゃ大変で。
――膨らみと膨らみですか…。ふ、深いですね。野上さんは担当編集として、そこは熟知している感じですよね?
MB野上 そこは完全に田中先生にお任せですね(笑)。むしろ僕が最初の読者として一番楽しませてもらっているところかもしれません(笑)。女の子の描き方で、僕からアドバイスをしたことは一回もないですが、インゴシマの女性キャラは体形のバリエーションも多くて、瘦せ型だったり、ふくよかだったりと、いろいろなタイプのキャラを出していただいているので、それだけで担当編集としてありがとうございます! という感じです。
田中 乳首の形にも個性を持たせている感じです(笑)。
――たしかに、クイズとして出題したいぐらいにそれぞれ個性がありますね。
田中 たま~に間違えたりもしますけど(笑)。
――一番描いていて楽しい女性キャラなどいますか?
田中 アキラやジウベエとかかなぁ~。
――色っぽいけど、アクションがすごい、動ける女性キャラですよね。意外と筋肉もすごそう。
田中 筋肉好きだからかな~(笑)。
――筋肉といえば、インゴシマ男性キャラに妙な色気を感じるのですが、男性キャラへのこだわりはありますか?
田中 もちろんあります。男性キャラは後ろ姿が一番こだわってますね、特にお尻なんですよ。
――お尻!?
田中 男性キャラって、背中もカッコよく描くんですけど、一番気をつけて描くのは、お尻の筋肉なんです。お尻の膨らみから……ガッっとエクボができる部分とか、背骨あたりにあるY字のラインを入れたりとか。筋肉の流れなど、そのあたりをこだわって描いていると、めちゃくちゃエロい。一部の人が喜んでもらえる感じになるんですよね、たぶん。期待に答えたいところですよ(笑)。
――同じ筋肉でも、アレックスと若林先生でも違いますよね?
田中 そうですね、やってきたスポーツとかでも筋肉の付き方が違うと思うし、アレックスは軍人として鍛え上げられた筋肉、若林先生は柔道をやっている筋肉なんだろうなと思いながら描いていますね。
――2人の筋肉の違いを見直したくなります。ちなみに、インゴシマはどういった流れで制作されているんでしょうか?
MB野上 おおもとのベースになっているのは天下雌子先生の原案ですが、それをもとに田中さんにアイディアを膨らませていただいて、大まかな物語の流れとして、田中さんと僕の間で共有できているものがあります。そこから各話ごとに、田中さんにシナリオ&ネームを起こしてもらっています。あまりネームや作画段階で直してもらうということはないですね。マンガの担当編集者としては、とても楽をさせてもらっている作品だと思います(笑)。
田中 野上さんからは、シナリオについて、もっと会話シーンを入れてはどうか、という要望をもらったりすることはあるんです。例えば、アレックスとジウベエの会話とか。ただ、会話だけではマンガは楽しめませんから、魅力的なラブシーンを入れたり、バトルの演出を入れたりしています。
――なるほど。ちなみに9巻までで、物語としてどのぐらい進んでいる感じでしょうか?
田中 最初に想定していた「第1部」まででいうと、現時点で半分いっているかどうか? ぐらいですかね。
――めちゃくちゃ大河なドラマになりそうな予感ですね。
田中 まだストーリー的には1週間経っているかどうかですからね(笑)。
――まだまだインゴシマを楽しめる感じですね(笑)。スピンオフの『カムゴロシ』もマンガボックスさんで連載が始まったので、さらにインゴシマワールドが深まりますね。
田中 僕のイメージ的には『インゴシマ』シリーズとして、あと5本ぐらいあっても良いかと思ってます(笑)。
――おーー! パワフルですね。累計100万部記念ということで、担当編集である野上さんから田中先生への“お願い”はありますか?
MB野上 作品に関しては全くないですが、あるとしたらスケジュール管理ですかね……。締め切りの日時としては、なるべく現実的なものを設定していただきたいという感じです(笑)。どうしても間に合わないときは、事前に言っていただければ調整できますので。
田中 間に合わなくても、なんとかなるんだ……とわかってから、ちゃんと言うようになりました(笑)。
――田中先生から野上さんへ言いたいことなどはありますか?
田中 言いたいこと……たぶん、そのうち原稿料が上がることを信じてますから(笑)。
MB野上 …………(画面の奥で意味深な笑み)
デビュー作は大好きな「忍者」モノ
――話は変わるのですが、2月25日に『シノブグサ~柑子忍形由緒~』が、電子書籍合冊版として発売されましたが、田中先生のデビュー作ですよね?
田中 実はその前に「少年チャンピオン」で連載をしていたんですよね。まぁ打ち切りで半年ぐらいなんですが。初めて単行本を出してくれたのが、ワニブックスさんの『シノブグサ』なんで思い入れがあるんです。
――『インゴシマ』と通ずるキャラも『シノブグサ』にはいますよね。
田中 います、います! ヒントというか糧になっているんでしょうね。
――この頃から、女性キャラ(特に胸)へのこだわりも感じます。
田中 ヒロインが可愛いって、どういうことだろうと探求した時間があったときですね。同人誌の世界に勉強として足を踏み入れたりとか。エロく可愛い女性キャラを描いている作家さんがたくさんいて、すごい世界だなと思いながら、1年半ぐらいやって胸の描き方なんか勉強しました。
――それが作品に反映されている感じですね(笑)。インゴシマの“まんじゅう”に似たキャラも出てきますよね。
田中 え!? いました? 誰だろう……。
――大川君ですね。2巻に出ているクラスメイト。
田中 ああ~! たしかに、似てるかも! でも、ああいうキャラ(まんじゅうや大川)っていいっすよね。僕好きなんですよね~。このまえもペルーの人に褒めてもらいました(笑)。
――ペルーの人!? どのあたりを褒められたんですか?
田中 まんじゅうとサイコって、いいキャラだよね~って(笑)。
――個人的にシノブグサでは、主人公が通う高校の羽鳥裕子先生が好きですね。エロかっこいい感じで。
田中 いいですよね! 羽鳥先生は、インゴシマでの小早川先生のモデルにもなってます。
――2月25日に電子合冊版として発売されたシノブグサですが、ここを見てほしい! などはありますか?
田中 そうですね~。今もなんですが、僕は忍者が大好きで、原作の為我井先生には「現代版忍者って、こんな感じよね」という感じで描かせてもらった作品なので、やはりそこを見てほしいですね。
――もしシノブグサのスピンオフを描くとしたら、どんなものを描いてみたいですか?
田中 そうですね~、妖怪みたいな忍者を出してみたいですね(笑)。
――田中先生の忍者モノはすごく読みたいですね~。くのいち系のやつとか。
MB野上 見たいですね。房中術全開のエロエロくのいちとか(笑)。
田中 いろいろ設定とかを考えていたときもあったんですよね。架空の明治時代に第三次世界大戦が起きて、そこで日本が誇る人型決戦兵器〈カラクリ〉というのが、実は忍者で……みたいな感じのを(笑)。
――インゴシマのスピンオフも見たいですが、そっちも見てみたいですね~。
田中 キャラデザもあったりします(笑)。
――早い(笑)。
田中 これをシノブグサのスピンオフでもいいんじゃないですかね(笑)。
――うう…見てみたいです。最後に100万部を突破した『インゴシマ』の次なる目標は1000万部ということで、今後の展開はどうなっていくんでしょうか?
田中 そうですね、次回は『若林、おつ!』じゃないですかね。
――ええええええ! 若林先生…もしかして退場ですか?
田中 いや『乙』じゃなくて『堕つ』ですね(笑)。闇落ちするって感じです。どうかなって思いながらシナリオを作ったんですけど、まだ野上さんには見せていないです(笑)。あとは、コリオのところに高崎が運び込まれるところもやりたいですね。こういう感じで(画面に向かって、なにやら両指をつまむしぐさをする田中先生)これ、なんだかわかります?
一同 (え…ちょっとよくわからない…どうしよう)
田中 高崎の乳首をつまんでます。
――…なるほど、いろいろな需要に答えていく感じですね! とりあえず『インゴシマ』から、ますます目が離せない展開になっていきそうです。田中先生、担当編集の野上さん、本日はありがとうございました!