百音(清原果耶)が気象予報士の仕事に興味を持ったのは、彼女が手に取った本にも書かれていたとおり「気象予報士は命を守る仕事」であり、正確な天気の予測ができれば必ず誰かを救えると実感する体験をしたからだった。ただ、自分には何ができるのか、本当にやりたいことは何かをまだ掴んでいない。
『おかえりモネ』(NHK総合)の第3週「故郷の海へ」では、百音が好きだった音楽をやめた理由、妹の未知(蒔田彩珠)や同級生たちと同じように東日本大震災のときに島にいなかったことで感じた後ろめたさとわだかまりについてが繊細に描かれた。百音が「誰かの役に立つ」ことになぜそんなにこだわるのか、百音だけでなく未知や百音の同級生との関係も明らかになった。
ちなみに、百音とは対照的に未知は自分の目標がはっきりと定まっている。「将来私は研究者になって、科学的な見地から日本の水産加工業を更に発展させる方法を見つけたいと思っています」とテレビ局のインタビューに答える姿を見て、百音は「みーちゃん、すごい!」と喜びつつ、複雑な表情を見せていた。
未知役の蒔田彩珠は、清原果耶が主演を務め、脚本を安達奈緒子が手がけた2018年放送のドラマ『透明なゆりかご』(NHK総合)の第2回「母性ってなに」にも出演。看護師見習いのアオイ(清原果耶)が働く町の小さな産婦人科医院にある秘密を抱えて訪れる女子高生・中本千絵を演じた。
朝ドラにおいては、清原果耶が『なつぞら』でヒロイン・なつ(広瀬すず)の妹・千遥を演じてその演技力が高く評価されたように、『とと姉ちゃん』に出演して、今回で2回目の朝ドラ出演となる蒔田にも熱い視線が注がれている。
実年齢は清原が1歳年上で、落ち着いた声と凛とした佇まいという共通点があるせいか、並んでいると本当の姉妹のように見える。姉である百音以上に落ち着いた雰囲気を持つ未知だが、蒔田は未知の可愛らしい一面も見事に表現している。
父の耕治(内野聖陽)には塩対応で素っ気なく振る舞うが、幼なじみの亮(永瀬廉)に対する恋心は隠しきれないようで、そのギャップがとにかくかわいい。
百音が祖母・雅代(竹下景子)の初盆のために帰省して、幼なじみが永浦家に集合したときにも、百音の同級生・明日美(恒松祐里)が亮に告白した話に微妙に反応するところや「色気ダダ漏れ」という言葉に寝たふりをしながらも何度も頷く場面など、クールに振る舞いながらも抑えきれない甘い部分もあって、そのコントラストが未知の魅力となっている。
一方、百音の場合は、誰に対しても壁を作らず、理屈っぽくて辛辣なことしか言わない医師の菅波(坂口健太郎)にも素直に対応するように、言葉や出来事をそのままを受け止めてしまうので自分の気持ちが混沌としてしまうことがある。2011年3月11日をきっかけに好きだった音楽をやめても後ろめたさからは逃れられない。
久しぶりに実家に帰り、封印していた思い出を振り返り、眠れない夜を過ごしたが、未知や同級生と朝日を見るために浜辺に向かった百音。空を見上げて「雨は降らない」という亮の言葉を聞き、海を吹く風を感じながら天気予報士になるための知識と結びつける。百音にも新しい目標ができたことで、前へ進む準備が整いつつあるようだ。
第4週のタイトルは「みーちゃんとカキ」。祖父・龍己(藤竜也)の後を継ぐために勉強している未知にスポットが当たる。百音が自分の進路に思い悩むように、未知もまた家族や自分の将来について真剣に考えている。ヒロイン百音だけでなく、未知の成長を見守る。(池沢奈々見)
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