参考:ほか撮り下ろしカットはこちらから
「みなさんのお芝居に引っ張られる感じがありました」
――ドラマの反響は届いていますか?
西野七瀬(以下、西野):ファンの方がどういう反応をしているかわからないんですよね。でも、(周囲の人から)「すごいことになってるね」と言われた時には「だよね~」って(笑)。「どんどんすごくなっていくから、楽しみにしててね」と伝えています。
――初めてホラー作品を演じられてみて、いかがでしたか?
西野:あんまり怖い経験をしたことがないので、ちょっと非日常的なことを体験できている感じが楽しかったです。それに、特殊な撮影方法のシーンも多いので、いろんな人の力を合わせて協力して撮っている感じが不思議だなぁ、と思いながら見ていました。
――今までに“経験がないこと”を演じる上で、意識したことはありますか?
西野:びっくりするようなことが目の前で起きていたりするので、素直にそれに対してのリアクションを取るように心がけていました。見慣れちゃうこともあるので、あまり何度も撮るようなことはなかったですね。
――なにかハプニングなどはありましたか?
西野:私は特になかったと思います。平和に撮影していました。
――今作は、CGも多いですよね。
西野:あとから映像を観て、「ここはこうなったんだ」と思うことはよくありました。自分が出ていないシーンで、女の人が映っているのを観て「こーわっ!」みたいな(笑)。台本にも載っていないものが追加されていることもあったので、やっぱり知らないとびっくりしますよね……いい怖さだなぁって(笑)。視聴者のみなさんと同じように楽しめるポイントもたくさんありました。
――「後からCGでこうなります」と、実際には見えないものに対して演じるというのはいかがでしたか?
西野:難しかったですね、想像力が大切で。自分には見えていないけど、「そういう状況だ」と思い込んでやるしかないので、CGのシーンはとくに集中して演じるようにしていました。集中していないと、いろいろと冷静に考えてしまうので。
――客観的に自分を見ないようにしていた?
西野:そうですね。なるべく、そうできるようにと思っていました。
――同世代の共演者から、演技の面で刺激を受けることも多かったのでは?
西野:役柄もそれぞれ違うし、かなり大変なシーンもあったので、みんながどういうふうに演じるのかなと気になっていて。実際に近くで見て、「こういうふうに表現するんだ」と何度も思いました。同性で同世代ということで、「もし自分がその役だったら、どうやっていたかな」と考えることは多かったです。
――具体的に、こういう演技するんだと感じた場面は?
西野:みんなちょっと狂っていくというか、おかしくなっていく部分があるんですけど、そういう時の表現の仕方は本当にそれぞれになるんだなと思いました。私が目の前で見たのは、石井杏奈ちゃん。“よくわからないのにめっちゃ笑ってる”みたいなシーンが、すごかったです。
――驚くシーンより、怪演シーンにそれぞれの違いが大きく出る?
西野:そう思いました。でも、(中村)ゆりかちゃんはいつも怯えている描写が多くて。本当に心配になるくらい、悲鳴とか、過呼吸の感じを表現していて、それもすごいと思いました。コトハは乱れるようなことがそこまでなくて、基本的にはフラットにみんなを見ているんですけど、みなさんのお芝居に引っ張られる感じがありましたね。
――撮影中、特に印象的だったシーンを教えてください。
西野:今、思い浮かぶのはベッドの下に引きずられて行った栞(中村ゆりか)さん。すごい距離を引きずられていて、あのシーンで初めて怖いと思いました。それまではそんなに……怖いのは好きなので大丈夫だったんですけど。(内田)理央ちゃんと一緒に「怖いね」って言いながら見てました(笑)。でも、ゆりかちゃんはケロッとしていて、「お腹とか痛くなかった?」とか聞いても、全然平気そうでした(笑)。
――では、ご自身が経験した中で一番印象に残っている撮影は?
西野:やっぱり初日ですかね。まだ現場に自分も慣れていなくて、スタッフさんも含め、みんなと距離感があった頃。(撮影がすべて)終わる頃とは全然違う、初日の独特な空気感は覚えていますね。たぶん私は、誰とも喋っていなかったと思います。
「ここかぁ、楽しむところ!」
――そこから3カ月経って今では共演者との仲も深まったと思いますが、仲良くなるきっかけなどはありましたか?
西野:いつの間にか、だったような気がします。同じシーンがあって、ちょっと喋る時間があったら、そこでお互いのことを知って……。最終日近くには、みんなでジェンガをしながら写真を撮っていて、すごくいいなと思いながら見てました。
――西野さんは参加せず?
西野:私がどこかに行っている間に、もう数人で始まっていたんです。なので、私は参加しないで写真を撮っていました。
――ちなみに言霊荘メンバーの中で、一番イメージとのギャップがあった方は?
西野:森田望智ちゃんです。なんとなくのイメージで「こういう方かな?」と思っていたのとは全然違って、一番お茶目というか、一番明るくてムードメーカー的な存在だったので、それはすごく意外でした。
――第9話からは菜々緒さんも出演されています。
西野:あまりお話はできていないんですけど、幽霊姿がとても似合っていました。すっごく綺麗で、オーラがありました。血色をなくしたメイクをされていたんですけど、あんなに似合う人がいるんだ、って。幽霊だけど、美しい感じなんですよね。怖いというよりも、綺麗だな~と思いながら見ていました。
――第5話で、西野さんが滝行をされている姿も話題になりました。
西野:滝行、めっちゃよかったですよ。寒いんじゃないかと思ってちょっと怖かったんですけど、わりと温かい日だったので、そんなに寒さはなく、清々しい気持ちで帰りました。楽しかったです。
――滝行は初めて?
西野:何度かやったことはあったんですけど、かなり久しぶりでした。ずっとプライベートでいつか滝行に行きたいなと思っていたので、ちょうど撮影で行けてラッキーでした。
――コトハは、レイシ(永山絢斗)に対するドSな喋り方も印象的です。
西野:難しいセリフとかもあったので、どうやったら自然に言えるのかなと、初めから最後まで悩んではいましたね。
――最後まで掴みきれないまま?
西野:たまに、(ドSの雰囲気が)よく出ていたらいいな、という感じです(笑)。でも、私が「どうやって言おうかな」と現場で話していたら、撮影の中盤あたりで永山さんが「それが醍醐味じゃない?」みたいなことをボソッと言っていて。「すごい格好いいこと言ってる」と思って(笑)、それを聞いた時に、たしかにそうかもと思ったんです。そこから、他の作品でも「どう言おう?」と悩んだ時に、その言葉が頭をよぎって「ここかぁ、楽しむところ!」と思えたので、すごいなと。
――永山さんの言霊が(笑)。でも、俳優としての意識が変わりそうですね。
西野:変わりましたね。これからも頭に残ると思います。
――この作品を通して、あらためて感じた俳優のおもしろさや、難しさについても聞かせてください。
西野:すごく難しかったです。コトハっていう人に対して、「なんでこういう行動するんだろう?」とか「なんでこういう発言するんだろう?」と分からなく思うこともあったりして。でも、その疑問を取り除いて撮影していかなきゃいけなかったので、そこが難しいなと思いました。「なんでだろう?」と思いながら演じるのはあまり良くないかなと思ったので、自分なりに答えを探してからやるようにしていましたね。
――ご自身とコトハは遠い存在?
西野:もう、全然違います(笑)。私だったらすぐに引っ越すし、関わらないって決めると思うので。あんなに怖いもの知らずな感じで突っ込んでいけるのは、すごいなと思いますね。
――たしかにそうですよね(笑)。それでも、ご自身の中で納得してお芝居をするようにしていた、と。
西野:そうですね。でも、そうやって考える時間を重ねていくことで、すんなりコトハに入れるようになったというか。少しずつ、「コトハならこうするか」と考えやすくなりました。
――ドラマスタート時のインタビューからは不安な様子も伝わってきて、自信に変えることはできたかな? と思いながら取材に伺いました。
西野:自信には……なっていないかもしれないです(笑)。でも、不安な気持ちも忘れられるくらい作品に集中して毎日お芝居できていたとは思うので、よかったです。撮影を通して、一歩前に進めていたらいいなと思っています。
――ありがとうございます。いよいよ最終回が放送されますが、コトハの見どころは?
西野:コトハは第1話から「どうにかしてみんなを幸せに~」という心がすごく強い子だな、という印象があって。お人好しというか、放っておいてもいいものを放っておけない! みたいなコトハらしさが、最後まで貫かれているのかなと思います。
――物語全体についてはいかがでしょうか?
西野:いろんなことが、すごいことになっている……混沌とした感じですかね(笑)。あとは、今までわかりきれていなかった部分が、わかっていくところも見どころです。最後の一秒まで、注目していただきたいです。油断せずに! (取材・文=nakamura omame)