最近、日本の株式市場はレンジ内でのもみ合いが継続しており、昨年からの含み損を抱えている投資家の方も多いのではないでしょうか。
市場全体が横ばいで推移する中、工夫しないとパフォーマンスをなかなか上げづらい状況ですが、「PTS取引」に着目する方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、通常の証券取引所と違う分、独特なリスクもあり、知らないと大きな損をしてしまう可能性もあります。
今回はPTSを簡単におさらいしたうえで、頭に入れておきたい3つのリスクをご説明します。
PTSとは
PTSは私設取引システム(Proprietary Trading System)の略で、いわば「証券会社が運営している証券取引所」です。
東証などの一般的な取引所は取引時間が9時~15時(途中、昼休憩あり)と決まっており、それ以外の時間では株式などの売買ができません。
そのため、日中の仕事が忙しい人や、夜勤のため日中寝ているといった人は通常の売買が難しい場合もあります。
しかし、PTSでは15時以降や夜間でも売買ができます。
売買できるのは株式のほか、上場投資信託・不動産投資信託など幅広く、信用取引も可能です。
売買できない銘柄がある
そんな便利なPTSですが、デメリットもあります。
まずは、売買できない銘柄があります。
東証の1部・2部市場、マザーズ市場、JASDAQ市場に上場している銘柄は売買できますが、外国株や上場投資信託では取り扱っていない銘柄もあります。
また、名古屋証券取引所や札幌証券取引所など、地方の証券取引所のみに上場している銘柄も、取り扱いしていないケースが多いです。
有望な銘柄を見つけた際には、PTSでも取引できる銘柄かどうかを確認しましょう。
希望の量を買えない・売れない可能性がある
PTSは確かに便利なサービスですが、東証などと比べて流動性が圧倒的に低いです。
流動性が低いとは具体的には、利用している投資家の数が少なく、売買のボリュームも小さいということです。
SBIホールディングス傘下で、PTSを運営しているジャパンネクスト証券のデータによると、PTSの売買代金は東証対比でだいたい4~9%のボリュームにとどまっています。
そのため、「あの株を1000株買いたい!」と思ったとしても、その分の売りが出ていなければ買うことはできません。
トヨタやソフトバンクグループなど人気のある大型株であれば可能性は低いですが、JASDAQ上場の小型株などであれば売買できないケースも多くなってくるでしょう。
「不人気な銘柄にこそ投資チャンスはある」とも考えられますが、希望する株数を買えるだけのボリュームがあるかという点も、忘れず意識しましょう。
思わぬ値段がつくことがある
流動性が低いことは、株価にも影響を与えます。
そもそも論になりますが、株価とは、日々多くの投資家がそれぞれの見立てのもと売買することで形成されます。いわば株価は「市場に参加している全投資家の見立ての平均値」と捉えることができ、当然、売買する投資家が多ければ多いほど、株価の妥当性は高くなります。
「アンケートは参加者の人数が多ければ多いほど、説得力が高い」という考え方に似ているかもしれません。
しかし、売買する投資家が少なくなるとどうなるでしょうか。突拍子もない見立ての投資家が極端に高いまたは安い値段での注文を出し、歪んだ株価がつけられてしまうかもしれません。
もちろん、極端に安い値段で買うことができれば、それは大きな投資チャンスとなるでしょう。
しかし、その逆も然りで、高値掴みとなってしまう可能性もあります。PTSにはこういった価格面でのリスクもあることを覚えておきましょう。
まとめ
夜間も取引ができるなどのメリットのあるPTSですが、裏には今回説明したようなリスクもあります。
簡単に利用できるサービスではありますが、事前にリスクもしっかり把握してきましょう。
参考資料
- SBI証券「「朝8:20~」「夜16:30~23:59まで」取引できるのがSBI証券のPTS取引!」
- ジャパンネクスト 「取引関連情報」