「家族のことも考えて、マイホームを買いたい」「毎月家賃を払い続けているくらいなら、家を買ってしまおう!」
ファミリー世帯の方も単身世帯の方も、自分の家を買うということに今まで少なからず興味を持たれた方は多いのではないかと思います。
一方で、大多数の方は住宅ローンを組んで住宅を購入するため、長期にわたる返済に不安を募らせる方もいらっしゃるでしょう。住宅ローンを組むことは、少なからずライフスタイルに影響を与えることでもあります。
そんな不安を抱える方へ、今回お伝えしたいのが「住宅ローンを利用するなら2021年のうちに」ということ。住宅ローン控除も含めて説明しますので、一緒にみていきましょう!
住宅ローン控除とは
住宅をこれから購入しようとする方は、住宅ローン控除という言葉を、必ずと言っていいほどお聞きになっていると思います。そもそもどういう内容なのでしょうか。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは?
要件を満たした住まいを、10年以上の住宅ローンを組んで購入することで、原則10年間、年末の住宅ローン残高の1%、所得税の還付を受けることができる制度。※上限あり
この要件は、築年数・床面積・年間所得に分けて考える必要があります。
築年数:20年以内に建築された住宅であること。※マンションなどの耐火建築物の場合、25年以内に建築された住宅であること。
床面積(登記簿謄本上の面積):50㎡以上であること。また40㎡以上50㎡未満の場合は合計所得金額が1000万円以下の年のみ適用。
年間所得:合計所得金額が3000万円以下であること。※左記を超える年は住宅ローン控除が利用できない。
令和3年の税制改正で、部屋の広さの要件が40㎡以上に下がりました。これによって、住宅ローン控除のメリットを受けやすくなったのではないかと感じています。
住宅ローンは「あえて」借りる方が有利
現在はみなさんもご存知のとおり、まれにみる超低金利時代です。住宅ローン金利も同様です。
では、2021年6月現在で、実際に住宅ローンを借りると金利はどのくらいになるのでしょうか?
変動金利か固定金利か。どちらを選ぶのかは永遠のテーマでもありますが、ネット銀行で変動金利タイプを選ぶと、今ですと0.4~0.5%くらいのものが多いようです。
例えば、金利0.5%で35年、元利均等返済で2000万円の住宅ローンを借りたとしてシュミレーションを行ってみた結果、初年度に支払う利息は、約10万円になります。1年間(12ヶ月)返済を続けると、ローンの残高は約1950万円に減ります。
住宅ローン控除の対象となっている場合であれば、控除対象の金額は残高の1%、約19万5000円になります。※収入や所得、所得控除などの内容によっては、全額が控除の恩恵を受けられない場合もあります。
ローンの返済で払った利息は約10万円。それに対して、住宅ローン控除で戻ってくる上限の金額は約19万5000円。
住宅ローン控除の恩恵を全額受けられる方であれば、支払った利息以上に、税金の還付が見込める状況です。ここ数年、この状態が続いています。
上記の例で言えば、住宅ローンを借りて購入した方が支払った利息の負担分を税金の還付という形で補えて、実質的な利息支払いは0円ということになります。さらに、約9万5000円、手元においておけるお金が増える、というお得な状態になる可能性もあるということです。
この状況をふまえて、この制度をうまく活用したいのであれば、繰上返済をするのはおトクとは言えないのが、おわかりいただけるのではないかと思います。
住宅ローン控除が利用できる10年間は、あえて繰上返済をせず、住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなったタイミングから繰上返済をできるように備えておく。このような方法も選択肢のひとつとして検討できるのではないかと筆者は考えます。
住宅ローン控除は見直しの可能性も
残念なのは、来年の税制改正で住宅ローン控除の内容を見直す方向で検討される可能性があるということです。今の低金利時代に1%の控除は合わないという指摘が、会計検査院から入ったためです。
住宅ローン控除で受けられる税金上のメリット、特にローン残高の1%が控除されるという点に関しては、来年以降、議論の対象となり、引き下げられるかもしれません。政府として「見直す」という方針が示されたということは、何らかの形で住宅ローン控除に影響は出てくることが予想されます。
この見直しは「超低金利時代」が長く続いているという背景が大いに影響しているからですが、もし住宅ローンを利用して住まいを購入する予定を立てている人がいれば、年内がよいのではないかと考えてしまいます。
まとめにかえて
すでに購入予定物件が決まっている方や購入を今年にするか来年にするかなど、ちかぢか具体的に購入を考えている方は、年内の購入も視野に入れて検討するとよいかもしれません。
しかし、特にマイホームを買いたいという気持ちがなかった方は慎重に住宅購入を検討されたほうがよいでしょう。
住宅の購入は一生に一度と言われることが多い、高い買い物です。購入するタイミングなどは、ご自身のライフプランなどを考えて慎重に決めて下さい。
「不動産はいつが買いどきですか?」と質問されたとき、私はいつもこう答えます。
「あなたが買いたいという気持ちになった時です」
みなさんの住宅選びが順調に進みますように。今後の住宅ローンの動向を注視していきましょう。
参考資料
国土交通省「すまい給付金 住宅ローン減税制度の概要」
国土交通省「すまい給付金 住宅ローン減税制度利用の要件」
財務省「令和3年度税制改正(令和3年3月発行)1,2 個人所得税・資産課税」