新型コロナウイルスの感染が広がるなか、2020年度の大学入試が終わった。今年はどんな高校が躍進したのか。大学通信の安田賢治常務が、大学・カテゴリーごとに「ランキングのツボ」を解説する。
今年のMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)5校の志願者数は、そろって減少した。これは1997年以来23年ぶりのことだ。5校合計で3万6819人、前年比8.2%のマイナスだ。大学入試改革をにらみ現役進学志向が高まったため、敬遠する受験生が多かった。
一方で合格者数は1739人、2.3%増だった。特に今年は例年以上に繰り上げ合格が多かった。現役志向の高まりで「チャレンジ組」が減少したためとみられる。チャレンジ組は合格を果たすとすぐに入学手続きを取る傾向にあるが、その層が減った分だけ入学手続きに至る合格者の割合が低下し、結果として欠員を埋めるための繰り上げ合格が多く出たとみられる。
そのMARCH合計合格者数トップは神奈川県立の川和で、昨年の9位からの躍進だ。昨年より131人増えて553人だった。内訳を見ると、明治大が昨年より76人増の243人で全国トップ。残りの4大学も昨年より合格者が増えている。神奈川には県が指定する県立の「学力向上進学重点校」が4校ある。横浜翠嵐、湘南、柏陽、厚木だ。さらに、「学力向上進学重点校エントリー校」として13校が指定され、その中に川和も含まれる。地元の塾関係者は「川和がエントリー校から重点校に上がる筆頭候補と言われています。もともとMARCHや早稲田大、慶應義塾大に強い高校ですが、今年は安全志向からMARCHの合格者が増えたのでしょう」と言う。
都立「進学指導重点校」の立川も躍進
2位は昨年の11位から躍進した山手学院(神奈川)で、合格者数は96人増の503人だった。内訳を見ると、昨年より13人増の68人となった青山学院大、44人増の132人で大宮開成(埼玉)と並んだ法政大の2大学で、全国トップだった。ちなみに、立教大のトップは11位の浦和第一女子(埼玉)の128人、中央大のトップは9位の立川(東京)の146人だった。立川はMARCH合計合格者数でも、昨年の45位から9位に躍進した。東京では大学進学に力を入れる「進学指導重点校」に都立の7校が指定されており、その中で立川がトップになった。
3位は柏陽、4位は湘南、5位は市川(千葉)、6位は大宮(埼玉)、大宮開成、国学院久我山(東京)の3校だった。上位4校が神奈川勢だ。MARCH各校のキャンパスが、神奈川県内や神奈川に隣接する東京の多摩地区に多く、神奈川から通いやすいこともあるとみられる。昨年トップの大宮開成は昨年に比べて160人減の432人だった。トップ10の中では唯一の減少だ。卒業生数が昨年の637人から470人に、167人減となったことが理由とみられる。
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MARCH合計合格者数「30人まで」全高校ランキング
\n(大学通信常務取締役/安田 賢治)