日々、その数を減らしている固定式オービス。一時、その設置ポイントは600箇所を超えていたが、ここ数年で100箇所以上の減少を見せている。が、そんな中、路線長270kmに38箇所と、過剰なくらい固定オービスが設置されている阪神高速は、「オービス銀座」という異名を未だに誇っている。そんな時代の流れに逆らっているとも言える阪神高速のオービスを検証してみよう。
旧型だらけなのに、なぜか撤去の気配無し!?
阪神高速のオービスが急激に増え始めたのは1990年頃。特に環状線を走り回るルーレット族という走り屋(暴走族?)を監視するという目的で、環状線と環状線から伸びる各放射線に阪神高速専用の元祖Hシステム(阪神型高速走行抑止システム)が大量に設置されたというわけだ。
この元祖Hシステム、デジタルカメラやデータの電送システムの採用により、従来のL型やR型の弱点を一機に払拭した、まさに画期的なオービス。後に、製造メーカーである三菱電機がRS2000という元祖Hの進化版である新Hシステムをデビューさせ、一時は全国のオービスの半数を超える設置数を記録しているが、結局は新型が誤測定疑惑などで全数撤去(予定)の憂き目に遭い、元祖Hは全数が未だに現役稼働しているという結果になってしまった。なんとも皮肉な話だ。
ちなみに、現在、阪神高速に設置されているオービスの内訳はHシステム(元祖H)/28機、L型/2機、R型/7機と、最新のLHやデジタル化された新L型は1機も設置されていない。すべてが一世代前の、いわゆる旧型ばかりなのだ。が、それにも関わらず、ここ数年で撤去されたのはわずかに1箇所のみと、まるで独自の道を歩んでいるように見えるのだ。もしかして新旧交代は現在、一般道に3機設置されているこれも大阪府警独特の固定レーザー式オービスのテスト結果次第とでもいうのだろうか。
参考までに、東京、神奈川、埼玉を走る首都高速道路のオービスポイントは、路線長約338kmに対して33箇所と設置密度は阪神高速を明らかに下回っている。機首の内訳もLH/6機、LS(首都高専用の縦型LHシステム)/7機、Hシステム/3機、L型/15機、R型/2機と、これも阪神高速に対して新型(デジタル版)の割合が多い。また、昨年から今年にかけて4箇所(L型1、R型1、Hシステム2)のオービスが撤去され、絶対数は減少する方向へ進んでいるというのも大きな違いだ。
では、その実態を見てみよう。
★阪神高速オービスMAP その1(1号環状線/3号神戸線/5号湾岸線)
★阪神高速オービスMAP その2(11号池田線/12号守口線/13号東大阪線/14号松原線/15号湾岸線/16号大阪港線)
阪神高速のオービスの特徴のひとつとしては、特定の区間に大量のオービスが集中して設置されているということがあげられる。例えば1号環状線は1周わずか10kmあまりに4箇所、3号神戸線は阿波座JCT~尼崎東ICの7km区間の上下線に4箇所ずつ、さらに14号松原線にいたっては夕陽丘JCT~駒川ICの4km区間の上下線に4箇所ずつと、ドライバーにとってはまさに息つく暇もない。莫大な費用をかけて、ここまで過剰に設置する必要があるのか、まさに 警察の意図不明といったところだ。
ただし、元祖Hはともかく、旧L型やR型は、ほとんどダミーという噂があるというのも事実。耐用年数を考えれば、根も葉もない噂とは言えないかも。
ちなみに、阪神高速に設置されている事前警告板に書いてある文言は、一般的な「自動速度取締機設置路線」ではなく、ほとんどが「速度自動監視機設置路線」となっている。確かに実際には監視しているだけではなく取り締まってはいるようだが、そもそも元祖Hはその名の通り「高速走行」を「抑止する」という目的で設置されたとも言われているだけに、そこにあるだけで威力を発揮しているというのも事実。急いで撤去する必要性があまりないといえばそういえるだろう。ま、大阪府は国内有数の財政難にあえいでいる自治体だから、撤去予算がそう簡単には組めないというのが実情なのだろうが。
いずれにしてもダミーか否かを確かめる術がない以上、すべてが稼働していると思っていた方が遙かに安全。というわけで、阪神高速を走る人は、まずは上のMAPをチェックして、安全かつ快適なドライブを心がけよう!
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