サッカーという競技における「左利き」は、ロマンの一つといっていいだろう。
左足を得意とする選手は感性や創造性に優れていると言われ、かつてマラドーナ、プスカシュ、ハジ、リヴェリーノといった数多のファンタジスタが、その類まれな才能によって見る者を魅了した。
現代のサッカー界でそのファンタジスタは絶滅危惧種となった。しかしそんな中でも「左利き」であることを生かして活躍している選手たちがいる。
そこで今回は、より最近での活躍に焦点を絞ってそんな選手たちを紹介しよう。
カイ・ハヴァーツ(レヴァークーゼン)
あのルディ・フェラーSDが「彼にはサッカー選手としての限界が存在しない」と絶賛する怪物。
188cmという体格に強烈なテクニック、クールさを兼ね備える彼を、フェラーは「ミヒャエル・バラックとメスト・エジルの融合させたような選手」と評しており、その左足の能力もずば抜けている。
各ビッグクラブが彼に熱視線を送るが、レヴァークーゼンは売却する条件として1億ユーロ(およそ118億円)を想定しているとも伝えられる。
アンドリュー・ロバートソン(リヴァプール)
現在、世界一のクラブといって過言ではないリヴァプール。
チームはユルゲン・クロップ監督の代名詞“ゲーゲンプレッシング”をもとにした高速サッカーを展開しているが、その速い攻撃を陰ながら支えているのが右サイドバックのアレクサンダー=アーノルド、左サイドバックのロバートソンの大きなサイドチェンジであろう。
25歳のスコットランド人DFは左足の精度が非常に高く、クロスボールからもアシストを多数記録している。
ハキム・ジヤシュ(アヤックス)
今季は残念ながらグループステージでの敗退となったが、昨季のアヤックスの躍進をフレンキー・デヨング、デリフトらと共に支えたのがジヤシュだろう。
創造性に富んだ彼は当初クラシカルなタイプの10番であると考えられたが、アヤックスが実践する近代戦術にも見事に適応。クラブを復権させるとともに、オランダ代表でも重要な存在となっている。
今夏は残留したもののビッグクラブへの移籍も時間の問題か。同じ左利きであり、彼を後継者と認めるラファエル・ファンデルファールトも、古巣トッテナムに獲得を進言している。
ファビアン・ルイス(ナポリ)
ベティスの下部組織出身、スペイン代表の大型ボランチ。
189cmと大柄ながら憧れているのがチャビということで、優れた戦術眼と高いボールキープを持つ。チャビとの違いはシュートレンジの広さで、左足から繰り出されるシュートは正確だ。
その評価額もうなぎ上りで、ナポリのアウレリオ・デ・ラウレンティス会長が「ファビアンには3,000万ユーロ(約36億円)を支払った。欧州のトップクラブが1億8,000万ユーロ(216億円)を提示するなら、彼の売却について話し合いを始めるかもね」と語るほど。
ベルナルド・シウヴァ(マンチェスター・シティ)
プレミアリーグの連覇を成し遂げたマンチェスター・シティで、攻撃を担ったのがダビド・シルバだった。
33歳になったスペインの伝説は今季限りで退団することになったが、それもこのベルナルド・シウヴァの存在あってこそだろう。小柄ながらその左足のテクニックは魔法のようであり、ペップ・グアルディオラ監督も恋に落ちるほど。
シティは今季リヴァプールに大きく水をあけられている状況だが、巻き返しには彼の活躍が不可欠だろう。
ルスラン・マリノフスキー(アタランタ)
シャフタール・ドネツク下部組織出身、ウクライナ代表のセンターハーフ。
ランパード監督のチェルシーが狙うということもあってかそのランパードに似た雰囲気があり、運動量に優れ攻守に戦える選手だ。また、その左足は技術に加えて相当なパワーを持っており、ロングシュートは大きな武器となっている。
所属するアタランタは今季UEFAチャンピオンズリーグに初出場し、グループステージの突破を決めたが、さらなる高みへと導けるだろうか。
ベン・チルウェル(レスター)
今季、“奇跡の優勝”を成し遂げた2015-16シーズンを彷彿とさせる快進撃を続けているレスター。
当時の左サイドバックは岡崎慎司とも仲良しのクリスティアン・フックスだったが、彼も退団し、現在のチームで主力を務めているのがスピードとクロスを武器とするチルウェルである。
ペップ・グアルディオラは彼にも惚れ込んでいるとされ、今夏シティへの移籍も噂されたが残留。レスター躍進の原動力となっている。
オーバート・スコウ(ホッフェンハイム)
スペイン生まれのデンマーク代表アタッカー。
スピードとドリブルに優れ、右サイドから切れ込む動きを得意とすることから「デンマークのギャレス・ベイル」と呼ばれており、昨季30以上を記録したゴールのうち8つがFK、4つがミドルシュートだったというデータも。
今季からブンデスリーガの舞台に挑戦しているが、大きな成功を収められるだろうか。
マーセル・ハルステンベルク(RBライプツィヒ)
近年ブンデスリーガと欧州の舞台で目覚ましい躍進を遂げるRBライプツィヒ不動の左サイドバック。
2011年に加入したドルトムントでは1試合の出場も得られなかったが、その後ザンクト・パウリで活躍。RBライプツィヒでさらに飛躍し、ドイツ代表へと上り詰めた。
その左足から繰り出されるシュート、フリーキックは強烈にして正確。9月にはその左足でドイツ代表での初ゴールも記録している。
リオネル・メッシ(バルセロナ)
先日、史上最多6度目となるバロンドールに輝いたメッシ。クリスティアーノ・ロナウドと並んでいたが、再び単独トップの座を奪い返した。
今年に関してはCLを制したリヴァプールのファンダイクが有力視されており、その受賞を疑問視する声もあった。しかし受賞後に行われたマジョルカとの試合において、久保建英の目の前でハットトリックを達成。
そのゴールがすごかった。
📽️ The highlights you've been waiting for...
— LaLiga (@LaLigaEN) December 7, 2019
Messi scored a hat-trick and @LuisSuarez9 a ridiculous backheel (0:57) in a memorable @FCBarcelona win! 💙❤️#BarçaRCDMallorca pic.twitter.com/CH7mH5lVuj
1点目(20秒~)、2点目(45秒~)、3点目(1分19秒~)と全てが怪物級のゴール…こりゃ半端ない。
今季はエジル、ハメス、ベイルといったレフティたちの調子が上がらない中、メッシは未だその「神の左足」で世界を支配し続けている。
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