華やかに思われがちなJリーグの世界だが、その実情は厳しい。
選手の平均引退年齢は25歳前後と言われており、村井満チェアマンは新人研修の冒頭で、プロの門を叩いたばかりの若手たちに「10年で約半数が引退する」という現実を伝えるそうだ。
しかし、そうした環境でもひたむきに努力して結果を残し、下位のカテゴリーから着実にステップアップを果たした選手は確かに存在する。
そこで今回は、アマチュアリーグの最上位カテゴリーであるJFLからJ3、J2、J1と順に活躍の場を移していった選手をピックアップする。
1. 福満 隆貴
生年月日:1992/02/22 (26歳)
ポジション:MF
所属クラブ:セレッソ大阪(J1)
個人昇格歴:地域リーグ→JFL→J3→J2→J1
世界でも稀に見る昇進劇を果たしたのが福満隆貴だ。
そのスタートはなんと、地域リーグの一つである九州サッカーリーグ!そこからJFL、J3、J2と徐々にステップアップし、ついに今年セレッソ大阪でJ1を経験した。
在籍2シーズン目となる今季は開幕戦でスタメンの座も掴み、AFCチャンピオンズリーグにも出場。地域リーグでのデビューから9年、ついに福満はアジア最高峰の舞台にまで辿り着いた。
福満は昨年行われたプレシーズンマッチであのセビージャからもゴールを奪っており、そのステップアップぶりは「シンデレラストーリー」と呼ぶに相応しい。
なお、これまで福満はJFL、J3、J2と全ての舞台で得点を奪っており、仮にJ1でゴールをあげればこちらも記録的なものになるはずだ。
2. 小池 龍太
生年月日:1995/08/29 (22歳)
ポジション:DF
所属クラブ:柏レイソル(J1)
個人昇格歴:JFL→J3→J2→J1
福満同様、JFLの舞台からACLにまで駆け上がったのが小池龍太だ。
しかも、それだけのステップアップに要した年数はわずかに5年。Jリーグの公式サイトでも「小池龍太の成長物語」という特集が組まれたばかりだ。
あの中島翔哉を従兄に持つ小池は東京ヴェルディ・ジュニアユースのセレクションに落ち、横河武蔵野FCジュニアチームに加入。
JFAアカデミー福島の3期生として活躍するもプロチームからのオファーはなく、当時JFLに在籍していたレノファ山口に加わった。
するとすぐさまチームの主力選手に成長し、山口のJ3リーグ参入とJ2昇格に貢献。柏レイソルでも初年度から32試合に出場するなどチームの躍進を支え、ついに今年、ACLでもデビューを飾ったのだった。
3. 庄司 悦大
生年月日:1989/09/14 (28歳)
ポジション:MF
所属クラブ:ベガルタ仙台(J1)
個人昇格歴:JFL→J3→J2→J1
レノファ山口、FC岐阜という攻撃的なチームで欠かせぬ存在となった庄司悦大。今シーズンからベガルタ仙台に移籍しており、ついにJ1の舞台にやって来た。
庄司のプロデビューは2012年。
オズワルド・アルディレスが指揮するJ2参入初年度の町田ゼルビアで27試合に出場した。しかしチームは7勝11分24敗で最下位に沈み、再びJFLに降格してしまう。
その後、チームを1年で昇格させ今度はJ3に挑戦すると、2015年にはレノファ山口をJ2昇格に導く。2016シーズンは山口で背番号「10」を託され、小池龍太とともに全42試合出場を達成。
2017年には大木武監督率いるFC岐阜で革新的なパスサッカーを体現し、J2において2年連続でパス数No.1という偉業を成し遂げた。
4. 清原 翔平
生年月日:1987/06/25 (30歳)
ポジション:MF
所属クラブ:ツエーゲン金沢(J2)
個人昇格歴:JFL→J3→J2→J1
セレッソ大阪のJ1昇格に大きく貢献した清原翔平も、苦労人として語られることの多いフットボーラーだ。
札幌大学を卒業した清原は2010年、JFLに所属していたSAGAWA SHIGA FCに加入。翌年に22試合12得点とブレイクを果たすと、チームを優勝に導く活躍を見せた。
2013年、チームが活動停止になると同じJFLで戦っていたツエーゲン金沢に活躍の場を移し、ここでJ3とJ2の昇格を経験。そして2016年にC大阪に加わり、J1昇格プレーオフ決勝のファジアーノ岡山戦では決勝点をあげ、チームをJ1に導いた。
2017年はJ1で出場機会を与えられず、シーズン途中に徳島ヴォルティスへと移籍。そして今季からはかつて自身が柱となって躍動した金沢に復帰した。
背番号は当時と同じ「7」。ミッションはもちろん、前の在籍時には叶えられなかったチームのJ1昇格だ。
※今季サンフレッチェ広島に加入した馬渡和彰は、J3→J2→J1と個人昇格を果たしている