熱戦が続くロシアワールドカップ。
主役はもちろん国を代表して戦う選手だが、彼らが着用するユニフォームもある意味大会の主役だ。
ところで国の象徴といえば国旗だが、選手が身にまとう色とりどりのユニフォームとは、どの程度の共通性があるのだろうか。
そこで両方を同時にチェックするべく、W杯出場32か国のユニフォーム64着と国旗をまとめて掲載!
国旗とユニフォームはW杯のグループステージごとに掲載。国旗に関する豆データも簡単に記しているので、ユニフォームを見ながら色の意味などを考えてみると、これまでとは異なる側面が見えてくるかもしれない。
グループA
ロシア代表ユニフォーム/ロシア国旗
ユニフォームはホーム、アウェイとも国旗カラー。『スラブ三原色』と呼ばれる白・青・赤の3色。白は「高貴と率直」、青は「名誉と純潔性」、赤は「愛と勇気」を意味する。
ウルグアイ代表ユニフォーム/ウルグアイ国旗
ユニフォームは国旗カラー。白と青の9本の線は独立時の9つの州。左上のシンボルは「5月の太陽」。デザインはアルゼンチン国旗を参考にしている。
エジプト代表ユニフォーム/エジプト国旗
ユニフォームは国旗カラー。黒は「革命前の暗黒の日々の終わり」、赤は「革命」、白は「革命が血を流すことなく平和裏に行われたことを象徴」。中央の鷲は国章で「力と強さを象徴」。
サウジアラビア代表ユニフォーム/サウジアラビア国旗
ユニフォームは国旗カラーだが、文字色がホームカラー。緑は「イスラム教の聖なる色」。文字は「アッラーフの他に神はなし。ムハンマドはアッラーフの使徒である」というシャハーダ(聖句)。その下に国宝の刀“ラハイヤン”を描いている。
グループB
ポルトガル代表ユニフォーム/ポルトガル国旗
ホームは国旗カラーだが、アウェイの白は1910年まで使われていた旧国旗の色と同じ。緑は「未来への希望」、赤は「英雄の血」。天球儀の中には7つの城と5つの盾を描いている。
スペイン代表ユニフォーム/スペイン国旗
ホームは国旗カラー。赤は「祖先の勇気」、黄は「豊かな国土、または富」。この国旗は別名「血と金の旗」とも呼ばれる。
イラン代表ユニフォーム/イラン国旗
ユニフォームは国旗カラー。緑は「イスラム教」、白は「平和と永遠」、赤は「勇気」。この3色はイラン系民族色。中央に国章を配している。
モロッコ代表ユニフォーム/モロッコ国旗
ホームは国旗カラーで、アウェイにも赤を取り入れている。赤は「モロッコ国民の祖アラウィット家」、緑は「イスラム教の伝統色」。中央の星は「スレイマンの印章」で幸福のシンボルだ。
グループC
フランス代表ユニフォーム/フランス国旗
ユニフォームは国旗カラー。青は「自由」、白は「平等」、赤は「博愛」。このトリコロールは王家の色(白)と、パリ市の色(赤、青)が合わさって誕生した。
ペルー代表ユニフォーム/ペルー国旗
ユニフォームは国旗カラー。この色は建国の英雄サン・マルティン将軍が見た“翼が赤く胸が白い鳥”に由来する。白は「平和と名誉」、赤は「勇気と愛国心」。
デンマーク代表ユニフォーム/デンマーク国旗
ユニフォームは国旗カラー。世界最古の国旗の一つで、赤地に白十字の旗は“ダンネブロ”と呼ばれる。赤は「神聖ローマ帝国軍旗」、白は「キリスト教」を意味するとも言われる。
オーストラリア代表ユニフォーム/オーストラリア国旗
伝統的にユニフォームは国旗とは全く無関係の色が使われている。ホームの金(黄ではない)は国花のゴールデン・ワトル、アウェイのグリーンは森林の緑で、どちらもナショナルカラーだ。ちなみに国旗の大きな7角星は独立時の6つの州と1準州、5つ星は南十字星を描き、ユニオンジャックはイギリスとの歴史的な関係を意味する。
グループD
アルゼンチン代表ユニフォーム/アルゼンチン国旗
ホームはシンプルに国旗カラー。アウェイにも取り入れている。青は「青空、海」、白は「ラプラタ川」。中央には「五月の太陽」を配している。なお青は「正義、真実、友情」を、白は「平和」を象徴するとも言われる。
クロアチア代表ユニフォーム/クロアチア国旗
国旗は旧ユーゴスラビア時代の赤白青の汎スラブ色に、クロアチア国章を配したもの。この国章の市松模様(シャホヴニツァ)がユニフォームのデザインに使われている。赤は「尊い血の犠牲」、白は「輝く光明」、青は「空」と意味するとも言われる。
アイスランド代表ユニフォーム/アイスランド国旗
ユニフォームは国旗カラー。青は「海」、白は「氷河と雪原」、赤は「火山(溶岩)」。デザインは旧宗主国のデンマーク国旗に、アイスランドの伝統的な色を組み合せたもの。
ナイジェリア代表ユニフォーム/ナイジェリア国旗
ユニフォームは伝統的に国旗カラー。今回の独特なデザインのホームも一応国旗に沿った色となっている。緑は「農業、森林資源」、白は「平和」。
グループE
ブラジル代表ユニフォーム/ブラジル国旗
ユニフォームは基本的に国旗カラーだが、大部分を占める緑がメインではない。黄は「鉱物資源」、緑は「森林資源」。中央の円内の27個の星は、ブラジル連邦共和国を構成する26州と1連邦直轄区を表現している。
スイス代表ユニフォーム/スイス国旗
ユニフォームは国旗カラー。正方形というユニークな形状の国旗で、白十字は「キリスト教の精神」、赤は「主権」を表す。国旗はユニフォームの左胸にも付いている。
コスタリカ代表ユニフォーム/コスタリカ国旗
ユニフォームは基本的に国旗カラー。青は「空」、白は「白い雲」、赤は「独立の時代に流された血」。
セルビア代表ユニフォーム/セルビア国旗
ユニフォームは国旗カラー。アウェイには国旗色のストライプが入る。赤は「尊い血の犠牲」、青は「空」、白は「輝く光明」。紋章は双頭の白鷲が盾を持った“カラジョルジェビッチ家の紋章”と王家の冠。
グループF
ドイツ代表ユニフォーム/ドイツ国旗
国旗とユニフォームの色が異なることで有名なチームの一つがドイツ代表。色については諸説あるが、ホームはかつてのプロイセン王国の白黒国旗に由来するという説が有力。アウェイの緑はドイツサッカー連盟のロゴマークからという説がある。ちなみに国旗は黒が「勤勉」、赤が「情熱」、金が「名誉」。
メキシコ代表ユニフォーム/メキシコ国旗
ユニフォームは国旗カラー。緑は「希望、独立」、白は「統一と純粋」、赤は「愛国者の血」。蛇を咥える鷲の国章を中央に配している。
スウェーデン代表ユニフォーム/スウェーデン国旗
ユニフォームは国旗カラー。デザインはデンマーク国旗がモデルになっている。青は「澄んだ空」、黄は「キリスト教・自由・独立」。
韓国代表ユニフォーム/韓国国旗
ユニフォームは国旗カラー。白地は「国土」、赤と青は「陽と陰」。今回のアウェイの前身頃には“太極文様”を落とし込んでいる。
グループG
ベルギー代表ユニフォーム/ベルギー国旗
ユニフォームは国旗カラー。元はベルギー独立革命の際に作られた旗。色については国旗制定時とは異なり、現代の解釈では黒が「力」、黄は「充実」、赤は「勝利」を意味するとされている。
イングランド代表ユニフォーム/イングランド国旗
ユニフォームは国旗カラー。イングランドの守護聖人である聖ジョージを表す旗で、セント・ジョージ・クロスと呼ばれる。イギリス国旗(ユニオンジャック)の一部分でもある。
チュニジア代表ユニフォーム/チュニジア国旗
ユニフォームは国旗カラー。トルコ国旗をデザインの参考にしている。赤は「オスマン帝国時代の反抗勢力の名残り、または犠牲者の血」、白は「平和」。中央の“三日月と星”はイスラム教の象徴。
パナマ代表ユニフォーム/パナマ国旗
ユニフォームは国旗カラーだが、そもそもパナマ国旗は赤が「自由党」、青が「保守党」、白が「両党の協力」と、コロンビアからの独立当時の政治情勢が映し出され、国家の歴史やアイデンティティーが反映されているわけではない。デザインはアメリカ国旗に影響を受けている。
グループH
ポーランド代表ユニフォーム/ポーランド国旗
ユニフォームは国旗カラー。国旗の色はそれぞれ鷲をイメージしていて、白が「白鷲、平和、尊厳」、赤は「赤鷲、自由」を表すとされる。ユニフォームのエンブレムは国章をそのまま使っている。
コロンビア代表ユニフォーム/コロンビア国旗
ユニフォームは国旗カラー。黄は「豊かな鉱物資源」、青は「太平洋とカリブ海」、赤は「独立戦争で流れた血」。3色旗だが黄が半分を占めているユニークなデザインだ。
セネガル代表ユニフォーム/セネガル国旗
ユニフォームは純粋な国旗カラーではないが、緑を取り入れている。緑は「農業、希望」、黄は「富、資源」、赤は「独立闘争で流された血」。国旗中央の星は希望や自由の象徴。
日本代表ユニフォーム/日本国旗
日本代表のホームは“ジャパンブルー”と呼ばれ、国旗カラーと無関係。なお今回のアウェイはいくらか日の丸に近いイメージだ。
この青については、1930年に東京で開催された『第9回極東選手権』のために招集されたメンバーの大半が、東京帝国大学(現東京大学)の選手だったことから、当時の東帝大サッカー部のユニフォームカラーだった青を使用。この大会で好成績を収め、そのまま青を継続使用したことが青いユニフォームの起源とされている。